スキャニング、ファイリング、データ入力をしたい(知的障害・発達障害のある社員のためのお仕事ハック)~ 総務からはじめる、障害者雇用ノウハウ ~
はじめに(チームより)
「こどもたちのために、日本を変える。」事業開発、政策提言、文化創造の3つの軸で、こども・子育て領域の社会課題解決活動と価値創造を行う国内最大規模のNPOである「認定NPO法人フローレンス(詳しいご紹介はこちら>>)」において、総務関連チームで障害者雇用スタッフのサポートを担当しているジョブコーチ*1の和田です。自己紹介はこちら>>
知的障害・発達障害のある社員が持つ悩みに対して、本人やサポーターが今日から取り入れられる「ちょっとした、お仕事ハック」をご紹介しています。
▼本日のお悩み
「全社からスキャニングやデータ入力などの仕事を集めて、障害のあるスタッフに行ってもらいたいと思っていますが、何か工夫はありますか?」
ファイリングやスキャニング、データ入力作業は、障害のあるスタッフが行いやすい作業です。フローレンスでも、ファイリングやスキャニング(PDF化)の作業を全社から請け負い、毎日作業を行っております。
●スキャニング(PDF化)とは?
紙の書類を複合機等でスキャンしてPDF化し保存する作業です。PDFがちゃんと取り込まれているかチェックする工程が必要です。
●ファイリングとは?
紙の書類を保存しておくために、ファイリングして保存する作業です。保管期限が切れた不要な書類を処分する作業も含まれるため、すぐに書類を破棄するのではなく、保管期限のダブルチェックも必要です。
●データ入力とは?
手書きで書かれたアンケート内容などをExcelやWord等にテキストデータ化する作業です。「読めない文字や、読めない漢字がある時はどうする」などを事前にルール化します。入力後は正しく入力されているかチェックも行います。
お仕事ハック①依頼シートを準備しよう
全社からスキャンやファイリングの依頼を受ける場合は、スプレッドシート等で作った「依頼シート」にファイルやPDFの格納先を入力してもらうことで、作業管理がしやすくなります。
お仕事ハック②フォームから文字入力する(文字入力を効率的にやってみよう)
スプレッドシートやExcelは入力作業でパソコンのキーボードの『Enter』を多く使います。しかし、障害で両手をうまく動かせず、タブレットのタッチ操作で入力する人は『Enter』を押すのに時間がかかります。
そんな時は『Enter』を使わずに入力できる、Googleフォームなどのフォーム入力に変更にすると効率的に入力できます。
お仕事ハック③テキスト認識表示で文字入力する(文字入力を効率的にやってみよう)
スマートフォンやタブレットのカメラ機能には、カメラを起動させて、テキストが書かれた紙などを写すことで、文字をテキストとして選択し、コピー&ペーストができるようになります。実際とは異なる文字として認識される場合もあるので、多少の修正は必要ですが、テキストデータ化が効率的に行えます。
最後に
ファイリングやスキャニング、データ入力は、後回しにしがちな作業です。全社から集めることで、障害のあるスタッフが効率よく作業できるように、整えてみましょう。
*1「ジョブコーチ」 企業に在籍し、同じ企業に雇用されている障害のある労働者が職場適応できるよう様々な支援を行う人を、企業在籍型ジョブコーチといいます。
執筆の背景
障害者雇用関連の情報は、採用・育成の事例やノウハウばかりで、採用した障害者雇用の社員に「どのような業務を、どうやってもらうのか」のノウハウが足りていません。
そこで、実務ノウハウや、障害者雇用チームの立ち上げ経緯などを公開することで、障害のある社員自身や総務担当者が、はじめの一歩を踏み出せるシリーズを立ち上げました
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