世界は関係でできている
カルロ ロヴエッリの世界は関係でできている
この本で、物事が不確定である事が、論理的に理解できる。
物を対象に追い求めてきた科学だが、実は、究極の実在は存在しない。
自立した独立の存在は、どこにもなく、全ては関係性から、実在が浮き出でてくるのだ。
この関係性における相互作用から生まれる相対情報こそが、量子力学の中心概念だ。
関係性なので、固定ができない。つまり、不確定さを帯びる。
仏教では、元々、独立した存在はあり得ないという事を、空という専門用語で表しているが、ここで、科学が理論的にキャッチアップした。
ここで、話が終わらず、物理的現象と精神現象の違いについて、量子力学の立場から言及される。
従来の素朴な科学では、物質は質量と運動だけによる普遍的な実体であり、精神はその対極であって、単なる物質とは異なるという見方が主流だった。
これが量子力学により、どちらも関係性から生まれる不確定で流動的なものであり、お互いに近い存在になるという。
ただ、そうなると、精神現象は結局はアルゴリズムにすぎず、我々の主体や主観は幻とも読み取れてしまうが、これは次の課題かなと、個人的に捉える事にする。
元々、科学は哲学であり、宗教であることを再認識させてくれると共に、量子力学が切り開く可能性に、期待を持たせてくれる。