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たった今考えたクソプロポーズを君に捧ぐよ。

 「たった今考えたプロポーズの言葉を君に捧ぐよ。」というカードゲームをご存じだろうか。

 オタクの間では一時期話題になったゲームなので、遊んだことはなくとも知っている人は多いだろうと思う。一方でオタク以外の認知度はもしかしたら低いかも知れない。

 簡単に言ってしまえば、様々な単語が書いてあるカードをランダムに引き、そのカードを組み合わせてプロポーズの言葉を完成させるというものだ。詳しいルールが知りたい方は以下を参照してほしい。

 ルール自体に複雑なところはなく、誰でも気軽に遊べるゲームである。しかし実のところは酒が入っていないと少々厳しい。なぜか? プロポーズなんて恥ずかしいから? 少し違う。

僕が笑顔のうちに君のご両親を大切にするよ

 こんな感じのクソプロポーズが量産されるからである。

 これは数年前に友人とこのゲームで遊んだときのものだ。今見返してみてもクソである。そんなわけで、今回のnoteは我々のクソプロポーズの数々をご紹介しようと思う。なぜ今なのか? 最近同級生の結婚ラッシュでこのゲームのことを思い出したからである。特に深い理由はない。


 まずご覧いただきたいのはこちら。

僕だけの未来になってほしいんだ
僕は君にとってピエロ ヤバい そう思うだろ?

 なにがヤバいのかわからないし同意を求められても困る。「ヤバい そう思うだろ? 結婚しよう」ラッパーのプロポーズか? バイブスだけで婚約を迫るな。

 前半だけでプロポーズとしては十分素敵に成立しているのに、「僕は君にとってピエロ」という謎ポエムを付け足すだけでは飽き足らず「ヤバい」ときた。手に汗握る展開である。そして最後は「そう思うだろ?」で〆。一体なにに同意してほしいのか。


感じるんだ 君と僕はきっと大丈夫
言わせてくれ 僕は人間を飼うのが夢なんだ

 なにも大丈夫じゃないが???

 途中までは良かったのに最後で台無しである。そもそも「を飼うのが夢なんだ」ってカードなに? なにをどう組み合わせれば正解になるの? まったくもってわからないが、開発者もまさかこんな使われ方をされるとは夢にも思わなかっただろう。


僕は鬼のように君を離さない
昂る僕のロマンティック 聞いてくれ

 シンガーソングライターのプロポーズか? このあとアコースティックギターで一曲演奏するのか? 昂ぶっているのはおまえのロマンティックだけであり、相手は裸足で逃げ出すレベルである。


愛してるって言ってよ みたいな

 プロポーズではぐらかすという大失態。人生一番の大舞台ではないのか。相手に愛を求める前に自分から愛を申告すべきではないのか。こんなプロポーズは嫌だ百選に選出される勢いのお手本のような駄目告白である。


結婚生活ぶち壊して
僕だけの君になってくれないか?

 これ……不倫してない? え……不倫してるよね……?


ご主人様 濡れた僕にそっと触れてごらん
あったかいだろ?

 プロポーズの意味をはき違えてはいないか。大丈夫か。というかご主人様ってなんだ。これはプロポーズをするゲームであって特殊なプレイをするゲームではない。こんなギリギリセーフを攻めるようなプロポーズは間違っていると言わざるをえないだろう。


はち切れそうさ どうにかなってしまいそうだ
ぽっかり空いた君の中にしたいんだ

 ギリギリでもなく普通にアウトである。


笑いながら消しさってあげるよ
美しい君を

 プロポーズするゲームだって言っただろうが。


君はおばさんのままでいいんだよ
僕だけの君の金

 徹頭徹尾なにを言っているのかわからない。金? 金がなんて? 結局金目当ての結婚ということだろうか。君のお金は僕だけのもの……お金さえあれば君はおばさんでもいいんだよ……ってコト? 控えめに言って最低である。


これ、なーんだ?
引き裂かれても君が嫌だと言っても
僕はセレブなのさ

 このプロポーズは、まず煽るように「これ、なーんだ?」と高級な指輪を見せびらかすところから始まる。なかなかにトリッキーな導入だ。そして最後には自らがセレブであることを宣言し、婚約を迫る。なんという成金趣味。「君が嫌だと言っても僕はセレブなのさ」おまえがセレブであることについては別に嫌じゃないが、このプロポーズは嫌である。


馬鹿だよね 僕はきっと君のためなら死ねる
我慢できないんだ 君も後悔したくないだろ

 途中まで情熱的でロマンティックなプロポーズだったのに、最後の一語で狂言自殺となっている絶妙な仕上がり。「僕君のために死ぬけど後悔せん?」これはもうただの脅迫文である。「馬鹿だよね」と自省する理性があるならどうか留まってほしい。


は? 尊い 君の胸
記念日でしかない なんちゃって

 語彙力のないオタクのプロポーズを見せられているようでなんとも心が痛い。「は?」も「尊い」も「でしかない」もあますところなくオタク感にあふれており、このカードが揃った奇跡には眩暈さえ覚える。その上最後に「なんちゃって」とつけることでおじ感まで付加されている。

 しかし何よりキモいのはプロポーズの場で「胸」に言及する卑猥さであり、これにはオタクもおじもびっくりである。


嘘じゃない
僕は君にメロメロ犬

 「メロメロ」で止まっていればいいのに最後に「犬」をつけずにはいられなかった芸人魂。あっぱれである。「嘘じゃない」という言葉で強調してまでメロメロ犬であることを主張したかったらしいがそもそもメロメロ犬ってなに?


僕と君は同じ苗字
僕は君のお父さんの愛の奴隷

 百歩譲って「君のお父さんの愛の奴隷」なのはわかるが(わからんが)それをプロポーズで言ってしまうという倫理観のなさがおしまいである。

 そもそもまだプロポーズの段階なのにすでに「僕と君は同じ苗字」なのがおかしい。もしかして「僕」と「君」は血がつながっているのではないか。その場合「君のお父さん」は「僕」の実父あるいは叔父なのではないか。もうなにもかもおしまいである。


 このように、様々なクソプロポーズが量産されるいとも愉快なゲームだ。みなさんもぜひ遊んでみてほしい。

 ちなみに私たちは「ストーカーブラック」という拡張パックを混ぜて遊んだ。ときどきヤンデレムーブが飛び出すのはそういった所以である。

 最後に忠告。プレイするときはお酒を忘れずに!

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