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【小説】Permission to Dance(あるいは黒鳥)

 鍵を回すとかちゃりと音がした。私は留美と顔を見合わせる。にっと、その口角が上がった。扉を開けて、スタジオの中へ足を踏み入れる。真っ暗なそこをスマホのライトを頼りに進んで、お稽古場のドアを開けた。手を伸ばしてぱちりと電気をつける。暗闇が明るく反転した。  そこは、10年前から変わらない私たちのお稽古場だった。 「嘘、変わんない」  留美が声を上げた。靴を脱ぎ捨て、どさりと鞄を投げ出してお稽古場の真ん中へと躍り出る。くるくると回ってきゃいきゃい声を上げている。私も靴を脱ぎ