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ITベンチャーが日本全体のDXを底上げすると思う理由


行政では紙ベースの手続きが主流

利用者側の手間

役所に諸々の手続きをしに行く時、次々と紙を渡されて、持ち帰って記入して、役所に出向いて提出して、不備があったらまた持ち帰って修正して、また出向いて…といった経験が何度かあります。
役所では未だにほとんどの手続きが紙ベースで、面倒に感じます。

予算や人的コストの無駄

しかも渡される書類も、結構いい紙や綺麗なカラー印刷がされていたりするんですよね。紙やパンフレットをどさっと渡されると、「これも税金で作ってるんだよな〜」と思ってしまいます。

さらに、紙やパンフレットは大体汎用的なもので、万人に共通するものが渡されます。個人単位で見るとほんの一部の記入でよい場合が多く、その分、紙やインクが勿体無いです。環境面でもよくありません。
また、どこに何を記入したらいいかわかりにくく、利用者側が苦労するのはもちろん、窓口の人もそのために一人一人に丁寧に同じ説明をしなくてはならず、生産性が下がります。その点を効率化できれば、人的コストを別のことに割けて、最適化が進むでしょう。

なぜ、日本の行政のDX化は遅れているのか

日本政府や行政は近年、デジタル改革として、デジタル庁の発足やIT関連の予算立て、ICT教育などの政策をしていますが、諸外国と比べたらけっこう遅れています。
遅れている原因として、以下のようなものが挙げられます。

1. 高齢化

DX化が遅れている全ての原因の根幹といっても過言ではないのが、高齢化でしょう。
周知の通り、議会、行政組織、民間人、共に深刻な高齢化が進んでいます。
まず、議員のほとんどがITに疎い高齢者なので、ITに関する法整備が進みません。
そして行政でも高齢化が進んでいるので、トップダウンである行政組織では、若手も年配者の職員の慣習に従わなければいけません。また、年配職員はDXの重要性をあまり感じていないことも多く、改革がなかなか起こりません。
また、昨今では行政を利用する民間人も高齢者が多いので、高齢者の利用者向けに紙での手続きの継続を維持したままとなってしまいます。

2. 政府の慣習や文化、法的・制度的な障壁

行政上の手続きは、法律や規制が複雑です。DXを進めるにあたっては、法律や規制に適合するシステムを構築する必要が出て、それには往々にして時間やコストがかかるため、DXが遅れているとされています。

3. ITへの低い出資比率

日本政府は、ITにかける予算が他の先進国に比べて少なく、OECD平均よりも低い支出比率になっています。
(アメリカ、中国、韓国などと比較すると、日本のICT予算は、分野にもよりますが、数百分の1程度といったことも多いです。)
また日本では、高齢化対策や社会保障費などの分野に多くの予算が割かれており、ICTに対する予算が不十分な状況が続いています。

4. 縦割り行政

日本の行政では縦割りが根強く、部門ごとの情報を共有が難しいことで、情報共有や意思決定が滞りやすいのも、DXが進みにくい原因の一つになっています。

5. 行政組織におけるIT人材の不足

日本の行政組織では、IT人材の採用枠が少ないです。行政では総合職としての採用枠が主流であり、ITのような専門職の採用枠が限られています。
例えば、私の地元の県の県庁でのIT人材の採用は、年間で1人、2人といった程度です。また、応募条件は民間企業での勤務経験者に限ります。経験のある即戦力のIT人材は、よほど公務員になりたい理由がない限り、良い条件で働ける民間企業を選ぶと思います。


民間の力によって、DXを底上げする

市民間での地盤固め

やっと本題に入りますが、先に述べたように日本の中央政府や自治体のDX政策は遅れており、今後も政策の推進には時間がかかると思います。
ではどうすればいいのかと言えば、行政が主導するよりも時間はかかりますが、民間企業がDXを進め、社会全体にICTサービスを普及させ、その利用者を増やすことで、民間企業や市民間でDXの地盤を固め、そこから中央政府や自治体に影響を及ぼしていくことが目指せると思います。

紙ベースでやりとりしていたビジネスを、デジタルで簡単にやりとりできるようなサービスを作って普及させ、紙やファックスでの仕事を減らして、民間でICTをより身近にしていくのです。

そのためには、
・売り手側が、誰でも使いやすいICTサービスを提供する
・縦割りで属人的な従来の働き方を見直す
ことが重要だと考えます。

誰でも使いやすいICTサービス

まず、ICTに疎い人でも、直感的に分かりやすく使えるサービスを作ることが重要です。IT企業やエンジニアに向けた専門性の高いサービスでなければ、基本的には、誰でも使いやすい・使うことに抵抗を感じないサービスを目指すべきと思います。いくらすごいプログラムを書いていても、使ってもらえなければあまり意味をなしません。

横割りの組織

また、特にITベンチャー企業で普及しつつありますが、オープンでフラットな、意見やスキルを共有し合える職場環境作りも大切だと思います。縦割りで属人的な従来の働き方を維持していると、年配者が大きな裁量権を持つこととなり、ICTに強い若手の意見やスキルが反映されにくいです。

なぜ、ベンチャーなのか

日本のDX化には、民間企業の力が必要と述べましたが、民間企業の中でも特に、ベンチャー企業がキーになると思います。

もちろん大企業でも積極的にDXを進め、大企業ならではの影響力で社会にインパクトをもたらしている企業もたくさん存在しますし、素晴らしいと思います。影響力のある大企業が変革をもたらしていくことは重要だと思います。
しかし中には、大企業でも、DXが進みにくい…むしろ大企業だからこその難しさを抱えている企業もあるかと思います。大企業は年功序列で組織化され、重役や管理職のほとんどが年配者であることも多く、その場合、先ほどの行政の話のように、従来の慣例を崩すのが大変だったり、ICTに疎い年配職員の影響でDXが進みにくかったりします。

これから仕組みを作っていけるベンチャー企業であれば、横割りの組織で新鮮なアイデアを出し合いながら、誰でも利用しやすい、やさしいサービスを提供し、それを普及させていくことをしやすいと思います。

まとめ

DXについて国全体で考えた時、行政組織的な問題や高齢化問題などによる壁は厚いですが、民間の力でその壁を破っていくことはできると思います。個人→小さな組織→大きな組織→自治体→国→世界…と、ボトムアップでDXを進めることが、今の日本には必要だと思います。

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