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フリーランスの真実 -Chapter01-

フリーランス至上主義

 最近、SNS やネットで「フリーランスは時間も自由でお金も稼げてサ イコー!」「サラリーマンなんか社畜だ、自由になろう!」みたいなのを見聞きすることはありませんか。個人的には半分正解で半分どうなのと思 います。確かに自由だしサラリーマンよりは稼げることはあります。

 でも、それはある一定のレベルをこえた人だけで、多くの人は時間にもお金にも困っています。私も独立して3年くらいは時間もお金もなく大変な思いをしていました。自己管理ができていないと徹夜で仕事をし、自分の価値基準が分からず料金設定を低めにしてしまい忙しい割にもうからな いなんてことも。フリーランスは自由なぶん、全て自分で決めないといけ ません。自己管理とマイルールがないといつまでも大変なままです。

 ちなみに、最近なぜフリーランス活用が進められているかご存じですか。 昔からフリーランスはいたし、SOHO とも言われていました。「仕事ばかりじゃなくて、ワークライフバランスを取って人生を楽しもう」という時代の流れはありますが、実はそれ以外に大人の事情もあるのです。

フリーランスが増えている理由

 最近ではインターネットが普及し、どこにいても仕事ができる世の中になってきました。パソコンがなくてもスマホだけで稼ぐ人だっています。 YouTuber、ブロガー、アフェリエイター、ライバー(17Live、LINE ライブ) など、インターネットがない時代には存在しなかった職業です。

 インターネットとスマホのおかげで、私も海外にいながら国内のミー ティングに参加でき、スタッフへの指示出しもできています。どこにいても仕事ができる環境が現代にはそろっています。Skype、Zoom、Google Meet など、オンラインミーティングも無料でできてしまう世の中です。

業種にもよりますが、働く場所や働く時間は自分で選べるようになってきました。朝8時に家を出て満員電車に乗って、9 時から18 時まで会社で時計を見ながら仕事して、帰り着くのは 20 時過ぎがスタンダードだった時代もありますが、それが変わってきています。自分の思うように時間を使って1日を過ごしたいと思ってフリーランスになる人もそりゃ増えてき ますよね。

 働く側の理由でフリーランスが増えているのもありますが、企業側の理由でフリーランスが増えているという側面もあります。企業が従業員を雇用するとおいそれと解雇はできません。雇用すると一生面倒を見る「終身雇用」という風潮が日本にはあります。アメリカなど海外の成果主義文化なら、成績が悪ければクビなんてあたりまえ。 でも、日本では「ぶら下がり社員」などと言われる人が会社の利益を食いつぶしていきます。景気の良い時代はいいですが、この不景気時代にそんなことをされては企業としてはたまったものではありません。あのトヨ タ自動車でも終身雇用は難しいと言っていますし、タニタでは社員を積極 的に独立させ自社の仕事を流しています。

 企業にとって人件費は1番の重荷であり、雇用を継続することは 1 番の責任でもあります。今の時代、新しく人を雇うリスクは大きくなっており、 そうなればおのずと外注を使うようですが、対企業だとコストが合わない ものが多いので、案件単価が安くても受けてくれるフリーランスが重宝されます。しかも、フリーランスは企業や従業員と違って残業や土日という概念がないので、短納期なものでも発注しやすくなります。

仕事内容にもよりますがクラウドソーシングに案件を落とせば、格安で受けてくれることも多いので企業としてはありがたい話です。実際にあった話ですが、企業のロゴ制作案件がクラウドソーシングに上がっていて、 オーダー単価 5,000 円で 100 件以上の応募がありました。しかも、コンペ式なので 100 件のロゴ案が来て、それを吟味して1つにしぼっても 5,000 円で済みます。価格が価格だからイマイチじゃないのと思うかもしれませ んがクオリティはかなり高いです。副業や趣味で登録している方なんかも いるのでプロ並みクオリティの場合もあります。

 行政は積極的に移住プロジェクトを行なっていますが、移住先は田舎が多く仕事があまりないのでサラリーマンに移住してもらっても職がないこともあります。その点、フリーランスは場所も時間もあまり関係ないので 移住してもらうにはもってこいです。しかも、人手不足の地方中小零細企業をフリーランスが助けてくれれば経済効果も出てくるので、フリーラン スを増やし地方経済を潤したいという気持ちがあります。

ただ、まだ地方でのフリーランス活用は難しく、企業側がどうフリーランスに仕事をお願いしていいか分かっていないし、地方フリーランスは企業と仕事することに少しびびっています。どうしてもパワーバランスが企業の方が強くなるので、フリーランスは不安になりがちです。業務委託で行政系の団体で働くビジネス系フリーランスは増えてきましたが、地方中小零細企業で働いているフリーランスはごくごくわずかです。

フリーランスにはキャリアアップの見本がない

 サラリーマンのキャリアアップには見本があります。分かりやすく言えば、先輩や上司がそれを示してくれるし、主任、課長、部長など役職ごとの必要なスキルを身につけることができます。組織の中で働いているので 見本になる人もいるし、キャリアップできる研修システムもあります。

しかし、フリーランスは言ってみればいきなり社長です。平社員が独立してフリーランスになればその日からいきなり社長なのです。しかも、基本一人で仕事をすることが多いフリーランスにはキャリアアップのシステ ムなどありません。自ら外に出て、メンターを探し、インプット・アウト プットを繰り返して成長していくしかありません。 自分がどうなりたいか、自分は何をしたいのかを自問自答しながら生き ていかないとフリーランスとして食べていくのは難しくなってきます。

 もし、あなたがフリーランスで自分の今後に不安があるならYouTubeなどの動画を浴びるように見るといいと思います。世界中の人の考えや行 動、世界の動きなどを凝縮して知ることができます。最初は意味が分から ないことも多いでしょうが、見続けることで点が線になりあなたの頭の中はアップデートされていくでしょう。私は News Picks や HORIE ONE、TEDなどをよく見ます。News Picks、HORIE ONEは、いろんな最新ニュー スを著名人が分かりやすく解説してくれるし、TED は世界中のマニアックな分野のことを知る事ができます。

 逆にオススメしないのは、あなたと同じくらいのレベルの仲間と飲み会などで傷をなめ合うことです。「私たちならできる、頑張ろう!」と励まし合うのは良いですが、頑張るのは私たちではなく、あなた自身です。そこを勘違いすると、夢だけ見てあっという間に数年たってしまいます。新型コロナの影響で「リモート飲み会」が増えてきているそうです。参加しやすいぶん、あなたの大切な時間が削られてしまいます。時間は有限、惰性は無限なので要注意です。

フリーランスの P/D/A タイプ

 フリーランスに限らずですが、プロデューサータイプ(P タイプ)とディレクタータイプ(D タイプ)とアシスタントタイプ(A タイプ)の人がいます。Pタイプは大きなことを決めるのは得意だけど細かいことは苦手な天才型。Dタイプは状況を把握して整理整頓して仕事をスムーズに進めら れる秀才型。Aタイプは言われたことを愚直にやる指示待ち型。Aタイプはフリーランスに向いていないので気をつけた方が良いですね。指示をもらわないと動けない人に、全て自分で決めて動くフリーランスは荷が重い でしょう。

もし、あなたが PかDのタイプなら、自分の特性を今のうちから理解しておくと今後のビジネスがスムーズになります。ちなみに、私はDタイプです。大きなことを決めたり、人を巻き込んでムーブメントをおこしたりするのは苦手ですが、目的が明確なことに対しては、どう組み立てて、 誰をどこに配置して、どこがボトルネックでなど、スムーズに目的が達成できるよう進めるのは得意です。 この特性を間違えるとあなたのパフォーマンスは半減してしまいます。

 P タイプなのに細かいことに目を向けることや、D タイプなのに度胸のい ることをしようとしてもうまくはいきません。
ビジネスパートナーを選ぶ時もこれを基準に考えるとビジネススピードが上がります。例えば Pタイプ同士は気質が似ているので仲良くなりやすく「一緒にやりましょう!」とはなるのですが、細かいことが苦手なのでそこからなかなか進みません。逆にDタイプ同士だと、細かな話はできるのですが、ビジネスを進める推進力が足りなくなりがちです。

PタイプとDタイプの組み合わせだと、お互いの足りない分が捕捉されるのでスムーズに事が進みます。あとは、ビジネスパートナーとして一緒にできるかの信頼関係が築けるかどうかですね。欲を言えば、Aタイプの副業サラリーマンもいるといいでしょう。Pタイプが営業して、Dタイプ が整えて、A タイプが作業をする。お互いの長所が生かされてパフォーマンスの高い仕事ができます。

 余談ですが、中小零細企業の経営者はPタイプが多く、ビジネスが上手くいっている企業にはDタイプのセカンドが必ずいます。フリーランスマフィアはこの「セカンド」として動けるフリーランスを増やすことを目指しています。社会貢献性・将来性はあるのに、セカンドがいないから伸び悩んでいる地方中小零細企業はたくさんあります。そこをカバーできれ ば世の中はもっとスムーズに回り始めると考えています。


このブログは2020年7月29日に発売された書籍「ビジネス系フリーランス2.0 FREELANCEMAFIA~30代から考えるフリーランスの新しい働き方〜」を転載したものになります。

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【ネクパブPODアワード2021 審査員特別賞受賞作品】
<審査員(株)インプレスR&D 井芹社長コメント>
”ご自身の経験を元にした、フリーランスの進化系「フリーランスマフィア」についての提案書です。フリーランスマフィアを「個人事業主でありながら、複数のジャンルの仕事をこなし、人や企業をつなげて収入を得たり共に働いたりする仕事」と定義し、ファッションブランドマーケティングやマフィアコラボな新しい概念を提示しています。

時代はいまコロナ禍で、テレワークを代表とする働き方の激変が進行中です。時代は、仕事を場所や時間の制約から解放し分散化していると思われますが、本書の「フリーランスが企業や人をつなげていく」という提案はまさにこの流れに合ったものだと思います。また、ビジネスの中に社会貢献を取り入れSDGsも意識しようという呼びかけにも共感しました。

著者は、Webサイト、ブログ、SNSなどネットメディアを上手に活用されていますが、今回のPOD出版はそれらと連携しながらも出版物として個別に美しくデザインされており、デジタル時代における出版メディアの意義と位置づけを提案していることも評価させていただきました。”

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