SDR(内勤営業)のKPIを会社のフェーズによって変更せよ!!
プロローグ
新卒よりIT企業における外勤営業として、いくつかの会社で働いていきました。時には、エンタープライズを担当する既存深耕型、ある時には、少数精鋭のベンチャー企業の代表に直接提案をする営業など、幅広く経験してきました。
その中で、グローバルでも名前を言えば誰でも知っている企業でなく、まだまだ日本法人は100名程度の会社で、規模が大きくなるにつれて直面する課題の違いについて考えさせらることがあったので、投稿いたします。
あくまで個人の意見ですので、会社を代表する意見ではないことご理解ください。この内容が必ずしも全て正しく、どんな条件に当てはまると思っているわけではないことを前提に投稿しています。
テーマは、
SDR(内勤営業)のKPIを会社のフェーズによって変更せよ!!
いきなりですが、イノベータ理論から入ります!
なぜなら、今回は、「Innovators」→「Early Adopters」→「Early Majority」のフェーズを経て経験する課題について書いているためです。
言い換えれば、シード期を経て、ソリューションがフィット抜群のお客様の
多くにご導入いただき、これから認知していただいていないターゲット層にどうアプローチしていくか。売上も右肩上がりのフェーズから平場を迎えた状態を想定してもらえると理解していただきやすいかもです。
Early AdoptersまでのSDR KPI
ある会社Aでは、非常に優れた製品を開発したことで、Early Adoptersを中心
ものすごい勢いで顧客数が増えていきます。
いわゆるマーケットが口を開けて待っているなんて表現もしますが、
内勤の営業部隊は、毎日Inbound Leadが入ってくるので、ウハウハです。
この時のSDRのKPIは、以下2つでした。
「どれだけのSDRがMTGをセットできたか」
そして
「どれだけの商談をそこから作成できたか」
この時期は、顧客が導入の意図を持って検討するなど、製品購入に前向きなので、比較的簡単にアポにもつながります。
網掛けをするように大量にマスメールを繰り返し送る内勤営業も見たりはしましたが、根気強く興味のないお客様にピッチするフェーズではありません。
このようなケースの場合、ロールモデルとして重宝されるSDRは、数をガンガン回して、アポを大量に生み出すようなタイプです。
しかし、こういったケースも、良質なLeadが入ってくる時は、良いのですが、、、
いずれ、マーケットは少しずつ口を閉じ始めます。
ちらほらいた情報収集だけ。なんてお客様とのアポも増え始めます。
そうすると出てくる課題がこちらです。
外勤営業が疲弊する情報収集だけのアポ祭り
これまで同様数を稼ぐことを良いことに、考えずにアポを取る方向に走ると
外勤の営業にパスする商談の質はどうしても見過ごされることも増えていきます。
興味のないお客様に対して、買う気にさせるのが営業の腕の見せ所なんていう人もいましたが、お客様がアポ取得時の電話で「情報収集でよければ」といっている場合は、必ず理由があります。
いくら良い製品でも、予算がなかったり、他の優先PJTがあったり、検証する人手を捻出できなかったりと覆す難易度が非常に高いハードルがあるケースがあります。
もちろん、単に興味本意で時間を割いてくれる人もいますが、、
よ・う・す・る・に
情報収集アポが増えると、外勤の営業の数字を下げる要因の一つになります。
一週間で対応できる外勤営業のアポ数については、時間的な限界があるのです。
情報収集アポが増えると本来注力すべき、温度感の高いお客様への時間がどんどん削られていきます。
外勤の営業では「何をやるべきか」より「何をやらないべきか」を考える方が重要だと考えます。
営業は、やろうと思えば、いくらでもやれてしまうからこそ、リソースの振り分け先を誤ると悲惨な目にあうのですが、ひとまずボリュームでカバーすること安心するタイプは注意です。
SDRの話に戻ると
・どんな手段でアポが取れたのか
・職種
・管掌範囲
以外に少なくとも
・なぜ打ち合わせの時間を作ってくれるのか
・商談に対する期待値
・課題認識
の情報を取得して外勤営業へパスをするべきです。
ただマーケティングイベントに参加した内容を見てフォローコールをして
なんの内容も聞かず、アポをセットするコールマシンは外注に安く頼めばいいと考えています。
わざわざ内勤の営業を雇って、高い給料を払っているからには、製品知識や業界知識を織り交ぜたピッチと、課題を引き出す「会話力」が求められるべきです。会社に所属していて教育もできるし、社内リソースが落ちているのだから。
商談クローズ率をSDRのKPIに入れよ!!!
とはいえ、KPIが
「どれだけのSDRがMTGをセットできたか」
「どれだけの商談をそこから作成できたか」
の場合、数が正義です。
KPIは評価に直結するため、非常に強力な行動を制御する装置とも言えます。
では、頭を使ってアポを取ってくれるSDR組織を形成するには、どうすべきか
「成約率」をKPIに入れれば良いのです。
そうすると、情報収集だけのアポを投げるのは時間の無駄なので、SDRも違う選択肢を模索し始めます。
これは、Early Majorityにも導入が進み、Hot Lead自体の数も減ってくるフェーズだと特に重要と言えるでしょう。
また、この議論をしたときに、
「成約率」にするのか、「商談作成の初回MTGからデモに進んだ率」にKPIを置くのか意見が分かれました。
私は、どちらも正解だと思っています。
「成約率」の場合は、製品のリードサイクルが長い場合は、特に計測までに時間がかかりすぎで、SDRのモチベーションを保つのも難しくなりますし
成約までに様々な変数が入ってくるため、内勤営業からしたら厳しいKPIと言えるでしょう。
一方、「商談作成の初回MTGからデモに進んだ率」の場合
要するに製品紹介だけで終わらず、お客様も検討を本格的に進めるケースが多く占めるなかで、SDRのKPI測定への期間も短く、KPIを満たす可能性も「成約率」と比較すると上がります。
SDRのモチベーションキープには良いと言えるでしょう。
製品のリードタイムが短いや案件の数を多く回せるようなベンチャー・中小企業向けの営業組織では、「成約率」を優先しても良いかと思いますが、
こちらは、正直ケースバイケースと思います。
お願いします!!ゴニョゴニョが減る!
「成約率」「商談作成の初回MTGからデモに進んだ率」をKPIに入れると副次的に、次のような効果もあると考えます。
なくなるとは思っていませんが、内勤の営業が、外勤営業に裏でお願いをして、無理やり商談化を促す行動が減ります。
マネージャー視点では、特にダマの商談が発生することについて看過していけません。
内勤の営業の気持ちもわかりますが、このような行動が増えると結果としてマネージャーである自分自身の首を絞めることになります。
商談が作られて、すぐにLost登録されているような場合は、特に気をつけましょう。Salesforceで商談維持期間をレポートとして出すべきです。
KPI変更で注意すべきこと
とはいえ、KPIを変更するって簡単なことではないですよね。
まず、気にすべきは、これまで数が正義で頑張ってきたロールモデルの内勤営業へのケアです。
KPI変更をするべき背景をきちんと伝えること。
会社のフェーズが変わり、顧客へのアプローチを変えるべきタイミングであること
また、外勤営業への近道として、考える習慣の意識づけや、
アポどりの電話の時に、擬似的に自分が外勤営業のように課題ヒアリングができるようになると、実際に外勤営業として活動を始める時早く成果を上げられるなど、動機づけをしてあげると良いかもしれません。
悩み
KPI変更にあたり、私も答えが出ていない悩みがあります。
グローバル企業だと、ローカライズが進まないまま、たとえばHQがあるアメリカ本国の運用を全世界に適応させることでガバナンスを効かせるケースがあります。
ただ、マーケットの状況が各国で違う中、どこまでローカライズを許容するのか。
現地のリーダ陣が、きちんと考えをエスカレーションすべきですが、KPI変更は大きな行動変容を伴うため、なかなか進みずらい施策だとも思っています。
こんな中、どう本国の説得を進め、改革をすべきか。
スモールスタートで数値を取るのか、論理武装で行くのか。
ぜひ、皆さんのアドバイスもいただきたいです。
最後に
前提として、批判でなくこれから社会人として一歩を踏み出す新社会人の皆さんや、転職を考えている方に向けて少しでも働くことが幸せな時間になってほしいと思って書いております。
またあくまでも、個人の感想であり会社の意見を代表するものでないこと。
あくまでも限りなく現実味を帯びたフィクションとして投稿していること
ご理解下さい。
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