ビター
ドーナツと一緒に メロンソーダではなくて
コーヒーを飲むようになった
小4の夏 自転車で 図書館に行って本を5冊借りたあと
帰り道に店に寄って食べるのは
決まってドーナツとメロンソーダで。
甘いドーナツと甘い緑のシュワシュワが大好きだった
あれから何年経ったかさだかでないが、
25の晩秋
11月なのにどこか夏のような外の景色を見ながら
今ではコーヒーを飲むために ドーナツをつまんでいる
ドーナツもできるだけ 甘さ控えめ
コーヒーは まだミルク多めのまま
コーヒー入りのミルクを飲む私の心は
まだまだ5歳のままで
泣きたくて 怒りたくて 褒めてほしくてたまらない
それなのに課されるタスクはどんどん大人になって
『甘える』は『甘え』になって
『忍耐』は『強み』になる世界にかき回される
このまま コーヒーに溶かされる砂糖のように
私の心も跡形もなく溶かされるのではないかと
木製のマドラーで混ぜたあとの
コーヒーの渦を見て思った…それだけ。