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【トークイベント】依頼されやすいクリエイターになるには?【質問会まとめ】

「依頼されやすいクリエイターになるには?」をテーマに、企業アニメーションを中心にこれまで750件以上の案件に関わってきたベテランプロデューサー・松浪宜秀さんをお招きしたトークイベントを開催!

この記事では、当日の参加者から集まった質問と松浪さんの回答をまとめて紹介します。


イベントレポート

イベントのトーク内容はこちらの記事からご覧いただけます!


Q1:クリエイターを見つける際、どのような場所から探しますか?

A:X(旧Twitter)、ポートフォリオサイト、クラウドソーシングや制作会社が集まるプラットフォームを中心に見ています。
また、クリエイターエキスポなどの展示会にいき、その場で商談することもあります。


Q2:ポートフォリオには企業案件の実績を重視しますか?自主作品だけでも選ばれる可能性は?

A:企業案件があると、信頼感といった軸で評価が高いです。最後まで対企業とプロジェクトを進行し、納品したという何よりの証明になります。

自主作品においては、スキル面やその人の表現力を見ることが多いです。自主作品の出来がすごく良くて目に留まった場合、直接声をかけたこともあります。スキルや表現力がわかるものであれば、掲載して良いと思います。

ただし、自主作品の場合で注意すべき点が1つ。それは、独創性や作家性が極端に強い作品だと、商業ベースでいかせるか?という点においてはあまり高い評価を得られない可能性があることです。
好きなものを好きにつくる自分中心のクリエイターには、正直仕事を振りにくいのです。ビジネスとして、要望に沿ったものを作れるかに重点を置いています。


Q3:他業種から未経験で動画制作を始めました。クリエイティブに関係のない経験でも、プラスに見せることができますか?

A:まったく異なる前職の経験が活きることも十分あり得ます。
例えばクライアントのやり取りの中で、専門用語がある程度わかると、スムーズなコミュニケーションをとれるからです。
最近のケースでは、仮想通貨の動画制作をクライアントが希望した際、仮想通貨に少しでも知見のあるクリエイターを探しました。ブロックチェーンの仕組みなどが初見ですとやや複雑なので、そこに知見があるかどうかもポイントになったのです。

クリエイティブとして落とし込む際に、ある程度事前知識がある人の方が有利といえるでしょう。


Q4:ポートフォリオサイトを作るのと、1本のリールを広めるのとでは、どちらが効果的ですか?

A:リールだと、短い時間の中で最終的なアウトプットしか見れません。
その人がディレクションだけ担当したとしても、実績として掲載されているという場合もあり得ます。
魅力的なリールは「目に留まるきっかけ」にはなるかもしれませんが、個々の案件で、どこまで何を担当したのかがわかる状態がベストです。

コンテ、アニメーション、イラスト、ディレクションなどの担当領域を書いておくことをお勧めします。


Q5:ストック素材を使ったアニメーションを、ポートフォリオに入れても良いのでしょうか?

A:これはプロデューサーにもよりますが、ストック素材は見てすぐわかってしまう場合が多いので、オリジナルのほうが好まれやすい傾向です。
ストック=汎用的なもの。つまり他と被るケースもあるので、独自で描いている人の方が応用的といえるでしょう。
ただし、予算面やクライアントの意向により、ストック素材が要望されることもあります。


Q6:特にこれは選ばれやすい!という注目のテイストはありますか?

A:需要がめちゃくちゃ多いわけではありませんが、アニメ調のテイストが割と不足していると思います。イメージでいうとYouTubeの漫画広告のような感じです。
アニメ調、漫画チックな動画の場合、イラストレーターが描いた完成度の高いイラストが使用される場合が多いため、モーション自体は簡単なものだったとしても映えるというのも実は面白い領域だったりします。


Q7:絵が描けないクリエイターでも大丈夫なのでしょうか?

A:絵が描けなければ、絵が描けるイラストレーターを巻き込みましょう!
私自身イラストレーターとしての経験もありますが、イラストレーター的にはモーションの参入障壁が高いという声をよく聞きます。
イラストレーターからすると、「絵は描けるけど、アニメーションつけるなんて無理!」という人も少なくありません。
イラストはイラストができる人とタッグを組み、お互いの得意を活かしたチームで制作をするのも1つの手です。
イラストレーター的にも自分の絵を動かしてもらえると嬉しいものですよ。


Q8:動画制作のディレクションだけを専門としてやっていく道もあるのでしょうか?

A:ディレクター業は、アピールがしにくい領域です。クリエイターなら目に見える形で実績を掲載できますが、ディレクションですとそうも行きません。
しかし、チームとしてこういう体制が組めますよ、というのがわかれば強みになり得ます。クライアントやプロデューサーとしては、要望したものがあがってくればよいので、自分ができなくても、できる人がいるチームを作られれば良いのです。

ただ、体感的にディレクター業1本でやっている人は少ない印象です。ニーズはあるものの、なかなか理解は少ない業種なのかもしれません。
また最近の動向としても、「まるっと全部できる人」の方が依頼が集まりやすいですね。


Q9:クライアントやディレクターから、無理なお願いをされて困ることも。どう対応すればよいのでしょうか?

A:仕事で重要なのは、「できること」と「できないこと」を明確にするということです。
できないのに、できると言うのが一番トラブルを招きます
スケジュールが厳しければ、きちんと交渉した上で、それでも調整ができないということであれば、きっぱりと「そのスケジュールでは厳しい」と伝えましょう。

自分が最終的に納得できるかどうか?を考えるのも大事です。
まともな制作会社であれば、1回断ってしまったとしても、きちんとした理由を説明していれば再度声掛けをします。


Q10:企業案件をやったことのない駆け出しレベルのクリエイターを選んだことはありますか?また、万が一トラブルが起こった際、どのように対処しますか?

A:ほぼ経験がないクリエイターであることを分かった上で、お声掛けしたこともあります。費用が限られた案件や、軽めの案件を振っていきました。
以前プロデューサー・ディレクターとして所属していた制作会社では、「クリエイターの開拓」もミッションだったということもあり、ある程度特別なケアをしていきながら一緒にお仕事をしていきました。

ただ、今もそのような理念を掲げた制作代理店があるかどうかはわかりません…。エンドクライアント的には実績ベースでみたり、受注した以上は一定のクオリティを期待しているというのが現状です。


Q11:クリエイターが企画書や絵コンテをつくることはありますか?

A:いわゆるエディターと呼ばれるポジションの人は、コンテを作る必要はないことが一般的です。
ディレクターのように、コンテ制作+ディレクションが求められる場合もありますので、肩書によりますね。


Q12:クラウドソーシング以外で、ディレクターの人と繋がりを持てる場所はありますか?

A:動画制作代理店、動画制作会社で「クリエイター募集」をしているところを中心に応募してみると良いと思います。募集していないところに営業しても、拾い上げる場合はあるが、見る時間がないことがほとんどです。

クリエイターEXPO・いわゆるクリエポは、エンドクライアントと繋がれる場所でもありますので、挑戦してみるもの1つの手です。
ディレクターや取引先に限らず、無理に濃い関係を作ろうとする必要はありませんが、忘れられないようにする工夫はあると無駄になりません。

タイミングが合えば思い出してもらえたり、逆にそういうのを煙たがる人もいますので俗人的ではありますが…年始の挨拶くらいの適度な量であれば問題ないというのが個人的な意見です。


Q13:ポートフォリオはどのくらいの作品数を掲載しておくべき?

A:最低でも10本でしょうか。2-3本だけでは目に留まらないことがほとんどです。10本以上ある中で、その中から探しているテイストがあるか見ますね。


Q14:駆け出しの動画制作者です。どの程度のレベルが、企業案件に選べれる基準になりますか?

A:人にもよりますが、安くて早く、パワポレベルが最低限と考えています。
スタートとしてはその辺りを目指すと良いかもしれません。
案件によっては、パワポの資料をベースに簡単なアニメーションで説明していく、というのが希望されるケースもあります。
このレベルの場合、ポートフォリオに載せておいても前述のような案件でア目に留まる可能性がありますが、「パワポリッチな動画を作れます」という言い方にするなど、一工夫してみるとより仕事に繋がるのではないでしょうか。


Q15:オンラインスクールなどが増えて、駆け出しレベルの層が急増している印象。全体的に初心者のレベルが高くなっている気もしますが、その中でも抜きんでていて、仕事を頼みたい人とは?

A:構成力がある人。ビジネスとして、表現できるかどうか?が分かれ目になります。
独創的でアーティスティックな表現だけではなく、きちんと訴求するものが訴求できて、プロモーションやビジネスとしての見せ方を理解している人であることが大切です。


Q16:フリーランスで営業メールを送っていますが、低単価の案件にしか繋がりません。どのように良い条件の仕事を獲得していけるのでしょうか。

A:クリエイターやパートナーを募集している動画制作会社・代理店などに応募するのがおすすめです。
また、例えクラウドソーシングの場で、低単価だったとしでも、実績作りのためにトライしてみるのも1つの手だと思います(自分が納得できるのであれば)。
その他には、他業種でも動画制作の可能性がある場所にアプローチしてみるのも1つの道かと思います。

手当たり次第に営業するのではなく、まずは需要が確実にあるところからアプローチすることをおすすめします。

ただし、駆け出しの方に特に多い「安くて早い」ブランドは注意が必要です。代理店からは重宝されますが、それがずっと続いてしまう可能性があるからです。
関係が長ければ長くなるほど言い出しにくくなりますので、自分の経験や実績をベースに徐々に単価をあげていくと良いでしょう。

なかなか値上げのタイミングがわからない…という人は、「今までくらいに安くはないけれど、もう少しリッチな表現ができます」といった料金設定を追加するなど、自分の作品の中で松竹梅を用意するとわかりやすいと思います。


Q17:クリエイターを探す際には、どのようなキーワードで検索していますか?

A:動画+その時求められているテイストのキーワードなど。
例えば、
動画 / インフォグラフィックス、
動画 / デフォルメ といった感じです。

他にはクリエポでチラシをもらって、あとで検索するといった場合もあります。


Q18:これからきそう!なテイストや、今注目されている需要の高いテイストはありますか?

A:これからくる!というのはちょっとわからないのですが、今流行っているのは、やはり線画調(アウトライン)のイラストアニメーションですね。
日常生活の中で、駅の広告やテレビCMなどに目を向けてみましょう。
その中でも「これ、最近よく見るな…」というのがその時の流行りです。


Q19:料金設定について。クライアントからすると費用感がわからない人も多いのですが、予算感をいきなり提示するのか、サンプルを提示するのか、どのような伝え方がベストですか?

A:入口によりけりですが、お客さんから予算が告げられていれば、その予算内でできるサンプルを見せるのが良いと思います。
予算は言われていなく、希望のテイストだけわかっている場合は、それを作りたいなら〇〇ですという回答になります。
ただし、おおよその費用レンジをポートフォリオサイトに掲載すると、そこのニーズにあったクライアントと繋がれる可能性があると思います。


Q20:動画制作の相場観がわかりません。安すぎるのではないか?と思うこともあるのですが、実際の現場で共通認識としての相場観はありますか?

A:これは案件にもよりますし、難しいところではありますが、自分としては数千円はまずあり得ないですね。
ただ、制作代理店がかなり増えてきていて、「安く早く」の母数も急増しているのが現状です。そういった代理店は、クラウドソーシングサイトなどの玉石混交のクリエイターの中からアサインしていることも。

正直、二分化している印象です。ミドルレンジが細くなっているというか。
30秒だった場合、安くても5万~のはずが、そういったクラウドソーシングサイトやプラットフォームでは数千円でやり取りされていることも。それで会社が成り立ってしまっているので、止まらないんですよね。

何はともあれ、数千円単位ではやるべきではないというの個人の意見です。自分の価値を正しく評価してもらえるよう、また価値を提供できるよう、目指したい方向性に合わせて日々努力をしていきましょう。


Q21:動画制作におけるレベルの上げ方について。実案件を積み重ねて伸ばしていくのが一番だと思いますが、それ以外に方法はありますか?

A:自分が興味のあるものを強化していくと良いと思います。
企業案件をこなすよりも、勉強して技術をつけていく。自発的に研究し、手を動かし、尖らせていくことが後々のあなたの武器になります。
デザインが好きならデザインを掘り下げる、イラストが得意ならイラストのテイストを研究するなど、自分の得意をのばして強みにしていきましょう。

そのために、まず好きな物を見つけてみてください。表現したい、という根底があるから私たちはクリエイターなのではないでしょうか?
どんな軸で表現したいのか?を考えてみると同時に、そこがなるべく人と被っていないと注目もされやすいですよ。


Q22:動画制作で好きなテイストを極めるという点において、それが企業案件であまり使われないテイストでもよいのでしょうか?

A:どこを目的にするかによりますね。独自性を出し、表現の1つとして使ってもらいたいアーティストに近い存在になりたいのか、お金を稼ぎたいのかで変わります。
前者の場合、すぐに企業案件に結び付く可能性は低いかもしれませんが、それなら自分の表現したいテイストに人を集めていけばよいのです。

人が集まったところに動きができ、仕事が生まれます。需要が最初はなくて遠回りだとしても、継続して発信し、ファンを増やしていくと、両方達成できる道も見えてくるはずです。


Q23:AfterEffectsでは様々な表現ができますが、リグアニメーションは需要がありますか?

A:ケースバイケースではありますが、高額案件など見栄えが求められるもの
・細かさが求められるものはリグアニメーションが必然的に求められます。
初心者レベルのいわゆる「パワポリッチ」なアニメーションやリニアの動きではなく、「予備動作」や「後追い」などの細かいこだわり、丁寧なアニメーションが求められるのです。

安くて早いアニメーションをつくる人は沢山いて、ライバルも多くなりますが、予備動作やリグなどの細かいアニメーションを作れる人は少ないです。これができるか・できないか、で差別化のポイントや頭一つ抜きんでた存在になる境目になり得ると思います。
もちろん、出来た方が良いですよね。案件数自体は減ちますが、単価は高く、需要は確実にあります。



本インタビューを通じて、松浪さんのクリエイター選定のポイントや動画制作業界の現状がよく理解できたのではないでしょうか。
クリエイターが仕事を得るための行動は多岐にわたります。
異業種でも未経験でも努力と工夫次第で本格的に仕事に結びつけることは可能です。

本記事が、クリエイターを目指す方々や現役のクリエイターにとって、少しでも役立つ情報となり、今後の業務において参考となることを願っています。
この記事を基に、さらに多くのクリエイターが業界で成功を収めることを期待しています。








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