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【2024】#今年の9枚

 2024年を振り返って印象に残っている韓国音楽の作品(アルバム、EP)を9枚選びました。今年はグループ、ソロ混合でお届けします。それでは行ってみましょう!


①dress / How Deep Is Your Love

 最近ではNCT・マークのソロ曲の制作に関わっていることでも話題の人気プロデューサー、dressが単独でリリースした待望の正規アルバムは、ジャケットのイメージそのままに、素朴ながら癒しを届けてくれるような全8曲です。それぞれの楽曲ごとにSionやMeego、JUNNYなど、多くの参加アーティストが自らのカラーで彩りを加えています。このアルバムを聴きながらゆったりと過ぎていく30分間は、私にとってかけがえのない時間となりました。


②The Wind / Our : YouthTeen

 第5世代清涼系アイドルの代表格と呼んでも良いくらい、デビューからブレることなく、10代の感情を丁寧に描き続けているThe Windですが、今作のタイトル曲①「H! TEEN」ではサビにヴィヴァルディの『四季』より「春」をサンプリングをしながら、これから訪れる春や新たな出会いへのときめきを感じさせる楽曲に仕上がっていました。心が弾むようなメロディー、美しい歌詞、そして彼らのエネルギッシュな歌声とパフォーマンスで形になった4曲を通して、彼らと同世代のリスナーには共感を、それ以上の世代には懐かしさを感じさせるようなEPです。


③Moon Sujin / BLESSED

 フィーチャリングでも引っ張りだこのシンガー・ムンスジンが全曲の作詞、作曲アレンジに関わったこちらのEPは、GEMINIやパク・ジェボムを客演に迎えた楽曲では官能的な香りを感じさせつつも、全体的には混乱する現代社会で感じる「孤独」が描かれています。絶望してしまうような世の中にあっても、「BLESSED」という名を冠したEPから届けられる彼女の歌声に包まれていると、どこかに救いがあるのではないかと希望を感じさせてくれるような作品でした。


④ONF / Beautiful Shadow

 以前Weverse Magazineのインタビューの中でプロデューサーのファン・ヒョン氏が、前作『LOVE EFFECT』について「このアルバムは新たなスタートではなく、これからの変化のためのブリッジ」と話していましたが、まさにその次の作品に当たる『Beautiful Shadow』は、ONFがより一層の進化を遂げ、今年の韓国音楽界に衝撃を与えた作品と言えます。なんといってもタイトル曲①「Bye My Monster」はラフマニノフの交響曲第2番第3楽章をモチーフとして壮大に使いつつも、その壮大さの中に繊細さを併せ持っており、2面性を一曲の中で見事に表現した楽曲です。音楽番組でのパフォーマンスも印象に残っていて、特にM COUNTDOWNでのオーケストラをバックに披露した回(詳しくはこちら)は必見です。今年はこれまで以上に、素晴らしいプロデューサー、そしてそのプロデューサーの思いを汲み取り、表現するアーティストが共に作り上げた作品をこうして楽しむことができているということに感謝したいと、ONFの楽曲を通して感じた1年でした。


⑤82MAJOR / BEAT by 82

 QMをはじめMILLIC、 IOAH、XINSAYNEなどK-HipHop、K-R&Bに欠かせない豪華な制作陣と82MAJORのメンバーたちによって作られた歌詞やトラック、そしてMVや振り付けなど、隅々にバスケットの要素が盛り込まれています。タイトル曲①「Choke」での初カムバックとは思えない貫禄と自信溢れる姿と、対比するようにK-POPアイドルらしさを覗かせた②「Birthday」、リリース前から親しまれていた③「Illegal」、そして全員がラップで魅せる、こちらも以前から知られていた彼らのアンセム④「82」(元ネタはQM, Odee「BIG BOY」)など、充実のラインナップです。デビュー1年目ながら、名前の通り「韓国を代表するグループ」になる日も近いかもしれない、と予感させる2024年の彼らの活躍ぶりでした。


⑥Red Velvet / Cosmic

 ②「Sunflower」や④「Love Arcade」のような可愛らしい楽曲から③「Last Drop」や⑥「Night Drive」などの幻夢的なミディアムテンポの楽曲、そして明るさの中に不穏さを感じさせるタイトル曲①「Cosmic」など、これまでRed Velvetがさまざまな楽曲を通して構築してきた独自の世界観を凝縮したような作品でした。8月にリリースされた「Sweet Dreams」も含めて、デビュー10周年という節目にあたり、「サマークイーン」Red Velvetからのこの上ない贈り物となったEPでした。


⑦YOUNG POSSE / XXL

 ここであえて2023年を振り返りますが、昨年10月にYOUNG POSSEがリリースしたEP「MACARONI CHEESE」は最も衝撃的なデビュー作でした。マカロニチーズについて歌うという奇抜さと破茶滅茶さ、そしてその題材をハイレベルなパフォーマンススキルでカッコよく昇華させる彼女たちの姿は、初期のTLCを初めてYouTubeで観た時の衝撃と似たようなものを感じました。そんな彼女たちが「ROOKIE OF THE YEAR?」と自ら宣言してリリースした2ndミニアルバムは、タイトル曲②「XXL」ではソテジワアイドゥルの「Come Back Home」をサンプリングし、③「DND」ではレーベルメイトであるKARDのBMをフィーチャーするなど、先輩たちの力を借りてより一層勢いをつけた作品と言えます。ハングリー精神に溢れ、ヒップホップというジャンルをとにかく楽しみながら表現活動をする彼女たちには来年も「大暴れ」してほしいと思います。


⑧RESCENE / SCENEDROME

 今年2月にデビューしたRESCENEは、デビュー曲である「YoYo」「UhUh」を通して、上品なガールズグループの路線を確立しました。そんな彼女たちがその上品さに程よくZ世代の要素を加えてリリースした夏らしいこのEPでは、前半2曲は照りつける太陽のようにゴージャスで、後半2曲では少し陰りが感じられる落ち着いた楽曲が収録されています。そしてメンバーたちがそれらをお洒落に歌いこなし、RESCENE印をより確立させたような作品です。RESCENEはデビューしてから今まで良曲しかリリースしていない恐ろしい新人です。。


⑨KISS OF LIFE / Lose Yourself

 今年のKISS OF LIFEといえば、なんといってもシングル「Midas Touch」「Sticky」が連続してヒットしたことで、韓国音楽界での存在感をこれまで以上に強めたグループの1組と言えます。シングルのヒットの勢いそのままにリリースされた3枚目のミニアルバムでは、特に「Midas Touch」とそのカップリング「Nothing」で感じられた、90〜00年代のガールズグループの系譜を継ぐような楽曲が、今作でも多く収録されていることが印象的でした。アルバムの中に自然な流れで②「R.E.M」や④「Igloo」⑦「No One But Us」などオール英語曲が収録されているのもKISS OF LIFEらしい構成の仕方です。出す作品ごとに爪痕を残しまくった今年の彼女たちがグループ、そして個人で来年どのような活動を展開するのか非常に楽しみです。


 最後になりましたが、29日に発生した事故による犠牲者の方々、ご遺族に深い哀悼の意を表します。
 来年も、今回ご紹介した9作品のようにずっと大切に聴きたいと思えるようなアルバムやアーティストに出会えることを楽しみにしています。そして(おこがましいですが)そのような作品、アーティストに出会うきっかけを皆様へ与えられるようなnoteを書いていきたいという決意を胸に刻んで、2024年を締めくくりたいと思います。今年1年間読んでくださりありがとうございました!

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