「リーダーになりたいけど、なりたくない人」は今すぐマインドをアップデートすべき
本当にリーダーは損な役回りなのか
男女500人を対象にしたアンケートでは、60.6% の人が管理職への昇進を打診されたら「断る」と回答しました。いったいなぜでしょうか。同アンケート調査によると、リーダーになることに踏み切れない人の理由1位は「責任が重い」、2位は「仕事・残業が増える」、3位は「割に合わないと感じる」という結果でした。(※1)
つまり、「リーダーになると自由に使える時間がなくなる」と思い込んでしまっているために、「リーダーになりたいけど、なりたくない人」が量産されてしまっているのです。
実際に、20代後半~30代前半のリーダー候補たちに話を聞いてみると次
のような「古いリーダー像」を持っていることがわかりました。
リーダーは、部下よりも多くの時間を働かなければならない
リーダーは、部下のマネジメントで仕事が増える
リーダーは、手間のかかる汚れ仕事を引き受けなければならない
このようなリーダーの自己犠牲の姿勢が目立ってしまい、昇格や昇給などの見返りと釣り合わないことから、「リーダーは自由な時間がなくなってしまう損な役回りだ」と判断されてしまうのです。
リーダー像を「次世代型リーダー」へアップデートする
小林紗綾氏はランサーズ株式会社で「開発部のオカン」と呼ばれているリーダーです。彼女のチームの特長は「トップダウンではなく、ボトムアップで動いてくれる」チームであることです。
彼女のチームでは、メンバーがそれぞれ能動的に動いてくれることから、相対的にリーダーの負荷は下がっていきます。古いリーダーは自らが指揮を執って、細かくメンバーに情報伝達を徹底し、自らが火中の栗を拾う必要がありました。しかし、次世代型リーダーのチームは、メンバーがそれぞれ自分の意志で行動し、自動的に共通認識が構築されていき、メンバー全員が前のめりになって熱々の栗を拾いに行くことができるのです。
実は、「リーダーは損な役回りだ」と思い込んでしまっているリーダー候補こそが、本当に損をしてしまっています。「開発部のオカン」のような次世代型リーダーこそが、今求められているリーダーの形なのです。今すぐに古いリーダーの価値観から抜け出して、次世代型リーダーへと考え方をアップデートしましょう。
次世代型リーダーの正体
「汗と血と涙を流して初めて一人前になれるんだよ」
飲み会でいつもこの話をする超体育会系の先輩社員がいました。彼は自ら意味も必要もない仕事を増やし、毎日残業していました。そして、彼は、自分の言葉の通り、血尿を流すことになり退職してしまいました。このような古いリーダーと次世代型リーダーの違いはどこからくるのでしょうか。
大阪大学人間科学部教授だった三隅二不二氏が提唱する「PM 理論」を使うと、次の図のように説明できます。(※2)
次世代型リーダーとは上図の右上に位置するリーダーを指します。横軸の「P-p」とは、Performance の頭文字であり、リーダーの集団における目標達成や課題解決力を指します。具体的には、会議のファシリテーション能力や計画立案能力、メンバーに対して細かく指示を出す能力のことです。縦軸の「M-m」とは、Maintenance の頭文字であり、リーダーの集団を維持する力を指します。具体的には、常に円滑なコミュニケーションを心がける、冗談やユーモアを交えて会話する能力のことです。
「pMタイプ」のリーダーは「他力本願型」のリーダーです。集団をまとめることには長けていますが、成果を挙げるにはグリップ力が足りないリーダーです。仕事が「仲良しごっこ」になりがちであり、目標を達成するためのプランニングや、プロジェクトマネジメントなどの業務が苦手です。
「Pm タイプ」のリーダーは「自己犠牲型」のリーダーです。緻密な計画や進捗管理をすることには長けていますが、長期的なチームビルディングが苦手です。口うるさく指導するために、メンバーのモチベーションは低いことが多いです。プロジェクト推進の能力はあるので、最終的には仕事を全部自分で抱えて爆発してしまうこともあります。血尿の先輩は「Pm タイプのリーダー」だったのです。
そして、「PM タイプ」のリーダーが「次世代型リーダー」です。高い目標達成能力と集団維持能力を備えている、理想的なリーダーです。「PM」のリーダーがいるチームは高い成果を挙げるだけでなく、働きがいを感じやすいということが三隅教授の実験によって明らかにされています。「開発部のオカン」は「PMタイプのリーダー」だったのです。
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