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「ダイアグラム思考 ver.2024」アップデートされた図解思考を無料公開

2022年7月に公開した記事「あらゆるモノゴトを図解して整理する思考法『ダイアグラム思考』」(前編+後編)が大変ありがたいことに731スキ、2万を超えるビュー数をいただいております。(2024年11月現在)

さらにnoteの反響が凄まじく、『ダイアグラム思考 次世代型リーダーは図解でチームを動かす』が書籍となり、Amazonビジネス文書カテゴリで第1位を獲得しました、さらに重版も決定し、数多くのビジネスリーダーに愛される1冊となっています。

しかし、noteを公開した2022年から、書籍化された2024年の間でダイアグラム思考も大きくアップデートされました。内容がズレたまま皆様に読んでいただくのは心苦しい・・・。そこで、最新版ダイアグラム思考となる2024年verをnoteで公開することとしました。

  • 初めて図解にチャレンジしてみようと考えている方

  • 2022年verから2024年verへダイアグラム思考をアップデートしたい方

  • 書籍『ダイアグラム思考』の購入前に概要をつかんでおきたい方

上記のような読者のために「ダイアグラム思考 2024ver」を公開します。本記事を読んでいただき興味が湧いた方は、詳細の説明や実践事例も紹介している書籍も手に取っていただけると嬉しいです。


なぜダイアグラム思考が必要なのか

ダイアグラム思考で「次世代型リーダー」になれる

夜中の23時。残業で疲れ切った私が帰ろうとすると、薄暗いオフィスに現れるゾンビのような影。「…お疲れ様、俺は明日の資料作りが終わるまで残ってくわ」ゾンビの正体は上司の課長でした。この課長は、いつも現場と幹部の間で常に忙しく走り回っていました。毎日終電まで残業して、目の下のクマがチャームポイントになっていました。誰しも、このようなリーダーにはなりたくないのです。一方で、「時間を自由に使うことができるリーダー」は存在します。それこそが「次世代型リーダー」です。


次世代型リーダーの正体

次世代型リーダーとは上図の右上に位置するリーダーを指します。横軸の「P-p」とは、Performance の頭文字であり、リーダーの集団における目標達成や課題解決力を指します。具体的には、会議のファシリテーション能力や計画立案能力、メンバーに対して細かく指示を出す能力のことです。縦軸の「M-m」とは、Maintenance の頭文字であり、リーダーの集団を維持する力を指します。具体的には、常に円滑なコミュニケーションを心がける、冗談やユーモアを交えて会話する能力のことです。


図解が持つ3つの力

図解には次の3つの力があります。

  1. モノゴトを多視点から観察する力

  2. モノゴトを構造化してシンプルにする力

  3. モノゴトを可視化して共有する力

複雑性が高く、どこから手を付ければよいのかわからないような問題でも、
図解によって「多視点から構造化して可視化する」ことで、宙ぶらりんだっ
たロジックを明確にし、どこに何を集中すべきが見えてくるのです。


ダイアグラム思考とは

モード1とモード2

モード1は、情報を図解することで、自分の頭へインプットするための思考法です。モード2は、頭の中にある情報を図解によって、アウトプットするための思考法です。ダイアグラム思考のモード1とモード2の詳しい特徴を次の図にまとめています。モード2の図解はプレゼンテーションや解説のために用いられるため、広く一般的に知られていますが、図解はモード1のようなインプットのシーンでも価値を発揮します。


モード1の目的

ダイアグラム思考のモード1を使う目的は以下です。

  • アイデアを発見できる

  • 論理を確認できる

  • 抜け漏れを防げる


モード2の目的

ダイアグラム思考のモード2を使う目的は以下です。

  • 正確に伝えたい

  • 速く伝えたい

  • 共感を得たい


ダイアグラム思考のプロセス

ダイアグラム思考3つのステップ

ダイアグラム思考は3つのSTEP であらゆるモノゴトを素早く「多視点から構造化して可視化する」ことができます。

STEP1:モード選択

モノゴトを図解したいとき、まず、最初にやるべきことは「モード選択」です。ダイアグラム思考のモード1と、モード2のどちらのモードで図解を始めるかを決めることです。どちらのモードを選択しても、後続するダイアグラム思考のSTEP2とSTEP3の内容は変わりません。ただし、前提として、自分がこれから「どちらのモードで図解するのか」という意識を必ず持ちましょう。

ダイアグラム思考のモード1は「自分の理解のための図解」ですので、モノゴトを図解するプロセスが重要になります。図解した情報に抜け漏れがないかどうか、論理矛盾がないかどうか、あるいは新しい発見を見つけることができたかどうかを意識します。

一方、ダイアグラム思考モード2は「他者に共有するための図解」ですので、モノゴトを図解したアウトプットが重要になります。情報を正確に図解できているかどうか、わかりやすくシンプルになっているかどうかを意識することが必要になります。


STEP2:カテゴライズ

カテゴライズでは、あなたが図解したいモノゴトが、次に示す7つのビジュアルカテゴリのうち、どれに該当するのかを決めていきます。初心者の方は頭の中だけで考えずに、メッセージを文章にして1行に圧縮してからカテゴリを選ぶとよいでしょう。
ビジュアルカテゴリは、比較、推移、階層、分類、構成、相関、範囲の7
つあります。どんなに複雑かつ大規模なテーマでも、無駄な情報がそぎ落とされて、メッセージが1つに絞り込まれて、「クリスタライズ」されている状態であれば、必ず7つのビジュアルカテゴリのどれかに当てはまります。逆に、メッセージがどのカテゴリにも属さない、あるいは複数のカテゴリをまたいでしまう場合は、メッセージの絞り込みが足りない状態だと言えます。

カテゴライズがどうしてもうまくできないという方は情報をクリスタライズしてみましょう。クリスタライズとは無駄な情報をそぎ落とすことを指します。一般的にサマライズは情報を抽象化して要約すること意味しますが、クリスタライズは情報を抽象化せずに、具体性を残したままメッセージを作ります。図解のコツは余計な情報を断腸の思いで捨てていくことです。ぶくぶくに膨れ上がった情報を1枚の図にするのは図解のプロでもかなり難しいのです。


STEP3:ビジュアライズ

準備さえしっかりしていれば、図は簡単に描くことができます。逆に言えば、準備ができていないと、いざペンを手にとっても、目の前の真っ白な紙と向き合い続ける空白の時間が流れ続けることとなります。7つのビジュアルカテゴリは、上図のように3つのアクションをすることで図を完成させることができる設計になっています。たったの3つのアクションさえあれば、あらゆるモノゴトを図解することが可能です。


7つのビジュアルカテゴリ

比較:2軸図

2軸図は、2つの評価軸で直感的に「比較」をする際に用いるビジュアルカテゴリです。評価できる軸の数は基本2つ、できても3つが限界です。それ以上の軸数で評価したい場合はマトリクス図を用いることをおすすめします。ただし、マトリクス図よりも比較したいモノゴトのポジションについて環境や状況を同じ土俵に乗せて可視化できます。

2軸図は、次の3つのアクションで、簡単に描くことができます。

  1. 軸名を描く

  2. 比較対象を描く

  3. 縦軸と横軸を描く

2軸図という名前の通り、基本的には2種類の項目でしか比較ができない図です。しかし、プロットする比較対象を色分けすることで3軸目を取り入れることができます。


推移:プロセス図

対象のモノゴトをプロセスごとに分解して、「推移」を構造化して可視化し、理解することができます。視座を高め、視野を広げ、視点を多くしなければ、時系列という概念を思考に持ち込むことはできません。目の前の課題解決に没頭してしまうと、近視眼的な視座でしかモノゴトを捉えられなくなってしまいますが、プロセス図を描くことで強制的に時間軸の発想を得られます。

プロセス図は、次の3つのアクションで、簡単に描くことができます。

  1. 事象を洗い出す

  2. 事象を時系列に並び替える

  3. 補足事項を付け足す

プロセス図は「分岐」「並行」した時間軸にも対応できます。例えば上図に示したようなカレーライスの作り方を参照してみましょう。カレーライスにはカレーとご飯がそれぞれ必要ですが、ご飯が炊けるまで他の作業を中止していたら、いつまで経っても完成しません。「米を炊く」というアクションは、他の作業と並行して行えるので図にも示しておきます。このように途中で作業が分かれる「分岐」や、「並行」してアクションを進める内容もプロセス図で図解することが可能です。


階層:ピラミッド図

組織やヒエラルキーなどのレベル感、「階層」を可視化することができます。また、能力・技術・技量・等級・主従などの目に見えにくい概念を構造化できるのも特長の1つです。

ピラミッド図は、次の3つのアクションで、簡単に描くことができます。

  1. フレームを描く(階層の数は任意)

  2. 軸を描く

  3. 階層ごとの名前をプロットする

ピラミッド図の三角形は上下をひっくり返すことで「ファネル図」という図になります。例えば、ファネル図は次の図に示すような、消費者の購買行動プロセスを段階的にあらわした「AIDMA」と呼ばれるマーケティング戦略などに用いられます。上位に行くほど希少性が高いというピラミッド図の性質を逆手に取ること 7つのビジュアルカテゴリで、下位に行くほど希少性や優先順位が高いというメッセージを図解することが可能になります。


分類:マトリクス図

マトリクス図は、モノゴトを2つ以上の要素に「分類」したいときに使うビジュアルカテゴリです。情報を縦軸(列)と横軸(行)の項目からなる変数を設定して2次元空間を活用して配置する表でもあります。Excel などで普段から目にすることも多いので、なじみ深い図だと思います。マトリクス図で対応できる情報の種類は多く、仕事中にも頻繁に用いられるビジュアルカテゴリです。

マトリクス図は、次の3つのアクションで、簡単に描くことができます。

  1. フレームを描く(マス目の数は任意)

  2. 行・列の見出しを描く

  3. 組み合わせ結果を描く

行と列の見出しをどちらに配置するか迷ったら、次の2つを思い出してください。「組み合わせ結果が数字だけなら、分類したい対象をに並べる」、「組み合わせ結果に文字も含まれるなら、分類したい対象をに並べる」。これだけ覚えておくだけでも資料作成の出来栄えが変わります。


構成:ツリー図

ツリー図は、個々の要素を分解し、要素の集合を構造化する「構成」の図解フレームです。図解することで視座が高まり、対象となる情報の要素と全体像を同時に把握できます。いわゆる「木を見て森も見る」の状態です。また、主題と要素の関係を論理的に示す場合にも活躍するマルチなビジュアルカテゴリです。

ツリー図は、次の3つのアクションで、簡単に描くことができます。

  1. 上位概念(主張・テーマ・主題)を描く

  2. 抽象度を合わせて要素に分解する

  3. さらに要素に分解していく

すでに世の中に存在する、先人たちの知恵が残したビジネスフレームワークを活用しましょう。いくつか、ツリー図に使えるビジネスフレームワークを示します。ビジネスフレームワークとは、ビジネスにおける課題の解決や、目標設定、戦略立案などをスムーズに行うための思考の枠組みです。事業活動に関係する情報整理や意思決定の場において力を発揮します。


相関:モデル図

ステークホルダーを箱であらわし、それぞれの関係性や人・モノ・カネ・情報・サービスの流れを矢印で示すシンプルな図解です。モノゴト全体の関係性が直感的に捉えやすく、プレゼンテーションでも用いられることが多いビジュアルカテゴリです。モデル図は、ステークホルダーの関係性やモノの交換などの「相関」を図解する際のビジュアルカテゴリです。

モデル図は、次の3つのアクションで、簡単に描くことができます。

  1. ステークホルダーの箱を作る

  2. 関係性を矢印でつなげる

  3. 相関している矢印に名前をつける

しばらくモデル図を描いていると、矢印が一方通行になっているステークホルダーが現れることがあります。特に、ビジネスモデルを図解しているときに、このようなステークホルダーが登場したら要注意です。基本的にビジネスモデルではすべての登場人物がGive & Take の関係になっています。一方通行のステークホルダーがいたら、何かを見落としていないかを確認してみましょう。例えば、上図では、「情報提供を定期的に行っているが、これが新しいビジネスになりそうかどうか」という思考をすることができます。このような抜け漏れの発見ができることがダイアグラム思考の強みです。


範囲:ベン図

ベン図はイギリスの数学者であるジョン・ベンによって開発されました。ジョン・ベンは、1881年にベン図を発表し、数学界においてさまざまな解をあらわした人物です。現在では、ベン図は数学のみならず、あらゆる事象の範囲を構造化するための図解フレームとして定着しています。ベン図はモノゴトや集団の共通点や異なる部分を明らかにする「範囲」を示すためのビジュアルカテゴリです。どこからどこまでが対象とすべき範囲なのか、複数条件の重なりはどこなのかに気づけます。また、事業のシナジーや、ターゲットのフォーカスポイントなど、経営に役立つ図解を描くこともできるビジュアルカテゴリです。

ベン図は、次の3つのアクションで、簡単に描くことができます。

  1. グループを円で描く

  2. グループ名を描く

  3. 重なっている箇所のグループ名を描く

登場するすべての範囲が重なるときは、最大でも3つの円にとどめておくようにしましょう。なぜならば、上図のように4つの円が重なっている状態を図解しようとすると、「A かつD だけど、B でもC でもない」という範囲を表現できないからです。正確には、このようにすべての組み合わせを網羅していない図を、考案者である18世紀の数学者、レオンハルト・オイラーにちなんで「オイラー図」と呼びます。しかし、真円ではなく、楕円を使えば、次の図のような4つの重なりのすべてのパターンを網羅した図を描くことが可能です。

まとめ

最後まで読んでいただきありがとうございます。
「ダイアグラム思考 ver.2024」いかがでしたでしょうか。2022年の記事も読んでいた方にとっては、ダイアグラム思考がより洗練され、無駄がなく、シャープに尖ったような印象を受けたのではないでしょうか。

私は、“図解を日本人のアイデンティティとする”社会の実現を目指しています。現代の日本には、複雑なモノゴトを「多視点から構造化して可視化する」力が必要です。そして「図解先進国、日本」を実現します。

ダイアグラム思考はビジネススキルにフォーカスしていますが、最近は図解を単なる道具としてだけでなく、哲学・文化論・認知科学の視点から、現代社会に必要な新たな思想へと昇華させる構想を練り上げています。

この記事で本格的に図解が気になってしまった方は、ぜひ書籍『ダイアグラム思考』を手に取ってみてください。

図解を通じて、個々の思考を深め、円滑なコミュニケーションを促し、日本のビジネス・教育・文化を再興するための活動を展開しています。今後のMetagramや髙野雄一の活動にご注目ください。


株式会社Metagramとは

Metagramは「日本を図解先進国」にするために代表取締役:髙野雄一が立ち上げました。図解には、あらゆるモノゴトを多視点から構造化して可視化するチカラがあります。『ダイアグラム思考』を用いることで、個人の思考を深めるだけでなく、 人々のコミュニケーションを認識のズレなく円滑にすることができます。そして、図解を単なるビジネススキルとしてだけでなく、哲学・文化論・認知科学の視点から、現代社会に必要な新たな思想へと昇華させています。

図解を通じて、個々の思考を深め、円滑なコミュニケーションを促し、日本のビジネス・教育・文化を再興するための活動を展開しています。国や地域、業種や業界、年齢や役職を問わずに、 誰もが図解でコミュニケーションできるリーダーの育成を目指します。



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