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気散じ旅の終わりに
東京に戻る東海道新幹線の中にいる。
旅が終わる。
この帰路が一番切なくて物悲しい。
新横浜駅に着いてしまえば、非日常だった現実が急速に日常に引き戻されてしまう。
もうすぐそこには東京(にちじょう)が待っている。
ただ歩き、ただ観光地を巡り、ただその土地の食べ物を食べていただけの事。
だけどなぜか物悲しさを感じてしまうのが不思議だ。
最初は刺激があったはずの東京という街も、住み慣れてしまえば何の事もない街になる。
そうやって、どこに住もうとも、何かを得る度に大事な感情を失っていく。
最初にあった心の火は燻り続け、燻製のように熟成して僕の中に染み込んだ。
理想を追い求めるよりも、生きる事に比重を置いた生活を繰り返す僕と、それを受け入れるこの街は同罪なのかもしれない。
そんな事を考えていたら、新幹線は無情にも新横浜駅に到着する。
旅に出る度に僕は帰ってくる意味を考え、見出す。
それが僕の旅に出る理由なのかもしれない。
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