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遅いデジタル投資は、コストだけがかかる

仕事上、デジタル・トランスフォーメーションの相談が、ちょいちょい発生します。

DXの苦戦例というと運用体制や制度変更せずに、無理やり技術導入してる…がありがちですが、それ以前に「タイミングを逃した」導入ケースも多いイメージです。

共通課題すぎるので、よくするテクノロジー導入の例え話をnoteにまとめておくことに。

戦国時代の鉄砲導入を例えにした小話です。


最初に火縄銃を導入した人

一番手は高コストかつ、ハイリスク・ハイリターン。そもそも一番最初は、この技術がアタリかも不明瞭。自分でリスクと手間をかけて、運用体制や使い方を確立しなければならない。

ただし技術導入に成功したときには、圧倒的に無敵なポジションを取れる。押し寄せる武田の騎馬隊を、コテンパンにできる!

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成功事例をみて即座に導入した人

一番コスパが良い賢いプレイヤー。ミドルコスト、ミドルリスク・ハイリターン。他人がコンセプト実証をしてくれたおかげで、美味しいところだけありつける。ただし運用ノウハウは、まだ流通しきってないので、手探りが必要。

大半の大名は、まだ鉄砲隊を持っていないので、存分にアドバンテージを生かして暴れられる。研究開発コストを圧縮できるので、費用をかけまくれば、最初期プレイヤーに追いつくことも夢じゃない。

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中盤に遅れじと導入した人

ミドルコスト、ローリスク、ミドルリターン。技術はこなれてきてるので、だいぶお安く導入できるようになってくる。一方で、この技術のエキスパートは取り合いで、人材獲得の難易度やコストが高まってくぞ。

頑張って導入しても、周囲のみんなは半数が鉄砲を持ってちゃってるのがタマに傷。お金がかかったわりに、思ったより競争優位にはならない。それでも、時代遅れな相手を蹂躙するには十分。覇者にはなれないけど、小大名としてならば、十分生き残れる。

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後半に慌てて導入した人

ハイコスト、ローリスク、ローリターン。頑張って導入しても、まわりは全員が鉄砲を持ってるので、優位性はまったく得られない。

そもそも、周囲の鉄砲隊はみんな運用ノウハウ持ってるので、結局はまだまだ後塵を拝することに。お金ばっかりかかるのに、効果はまったく実感できない…

あと、頑張って導入してもすぐに、「次の新技術」がやってくる。だから見かけの導入コスト以上に、コストパフォーマンスが悪い。多くのコストばかりかかるDXは、ここが原因のことも。

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新技術を導入しない人

滅びる。


あわせて、全員が技術投資しなければ、みんなコストがかからずハッピーだけど…遠からず黒船がきて滅びます。

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まとめ

……というように、車でも火縄銃でもAIでも、テクノロジーで競合優位性が欲しければ、「周りが持っていない時期に、自分が持っている」という状態を作らなければならない。

みんなが入手したあとに、テクノロジーを導入しても、「コストだけかかるが競合優位性は手に入らない」のだ。(費用対効果と順位が連動する)。

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世の中の、すごいお金かかった割に、なんかうまくいってないDXは結構な確率でコレ。

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競合優位性や費用対効果を考えたテクノロジー導入戦略は、「単発の特定技術」ではないのかなと。「導入」という行為そのものは、優位性をもたらさない。なぜならテクノロジーの優位性は、「競合との技術差」で生まれるからです。

テクノロジー投資というのは、「上位20%グループにいる状態のキープこそが本質かなぁと思います。

そいうわけで、最近のデジタルトランスフォーメーション。後発のプレイヤーは、テック投資をしても、あんまり効果を実感できません。マラソンの先頭集団に追いつくまでは、ひたすら泣きながらコストを払い続けることになります。頑張るしかない。(追いつかない程度の投資をしてると、永久にコストだけを払い続けます)。


この辺、手っ取り早く体験してみたい人は、「Through the Ages」というボードゲームがオススメ。日本語でできます。スマホよりはiPadとか画面でかいほうが良いかも。これの軍事投資や研究開発をプレイするとわかりやすい。


<追記>
史実としては例えが雑なのはスマヌ… あくまでわかりやすさ優先にした例え話なので…


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深津 貴之 (fladdict)
いただいたサポートは、コロナでオフィスいけてないので、コロナあけにnoteチームにピザおごったり、サービス設計の参考書籍代にします。