「ChatGPTを使い尽くす! 深津式プロンプト読本」 補足めも
プロンプト入門本を日経BPさんから出しました。
プロンプト丸暗記系の初心者が、自分でプロンプトを構築できる中級者になるまでをガイドする本です。
対話形式でサクサクよめ、「まぁ細かい点はうろ覚えだけど、仕事でスイスイ使える」までの、社内AI推進には便利な本ではないかと思います。
自分の頭で考えられるようになります。
習得、実用のしやすさのために、概念をあるていど大雑把に簡略化しています。
というわけで、上級者やアカデミックな正確性のある資料を求めている型には、ちょっとミスマッチな本です。
以下、いくつか補足や修正などを集約するメモ。(増刷時に改定できそうなら盛り込みます)
P.69 Oneshot Promptingについて
正: One Shot Prompting
誤: Zero Shot Prompting
お手本なしの一発生成は、Zero Shot Promptingが名称として正しいです。たぶんインタビューでいい間違えて、そのまま校正を突破してしまいました。
OneShotPromptは「お手本を1つだけ示す」ことになります。
P.79 Chain of Thoughtについて
図において、「考え方やプロセスを与えてから回答させる」とありますが、「プロセスを経て段階的に回答させる」がより正確です。
インタビュー時の、「考え方」や「プロセス(CoT)」という話が、図の上で合体してしまいました。
なお、自分はCoTの推論ステップを人間側が指示するのが好みです。ユーザーが業務ドメインや文脈に詳しい場合は、こちらのほうが成果がでやすいです。いわゆる「ステップ・バイ・ステップで考えて」という投げっぱなし方式は、Zero Shot Chain of Thought といいます。
P. 82 Tree of Thoughtについて
「各ステップを、複数のアプローチに分岐させながら進める」のほうがわかりすいかもです。オリジナルのTree of Thoughtは、プログラムで深度探索を行う感じですが、本書では「人間が手動で行う」文脈上、ちょっと簡略化されてます。 図に関しては、今の図の右側に「ツリー上」に分岐してくような感じにするほうが適切だったかともいます。
P.84 ReACTについて
厳密にはオリジナルのReACTは、以下のように「思索」「アクション」「評価」をまとめて行ってしまっています。(でこれをループ処理します)
Aという作業を以下のフレームワークで行ってください
# フレームワーク
Thought:
Action:
Observation:
本書でやってるReactは自分なりに普段使いしているバージョンで、思索、行動、評価を、それぞれ別ステップで手動で行い助け舟を出しています。
これは3つのプロセスをまとめて行うと、どっかで挙動が脱線したときに、そのまま最後までいってしまうためです。(経験上、CoT等でも1ステップごとに別出力にするほうが、意図とはずれた挙動をしたときにコントロールしやすくてオススメです)。
そのた気付いた点、指摘点があれば随時修正していきます。