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お金持ちを、ほめよう!

「持つもの」と「持たざるもの」の闘争は、インターネットの風物詩。でも、対立構造を煽っても問題はほとんど解決しません。むしろ、お金持ちがよろこんで富を再分配したくなる、そんな仕組みが必要です。

そんなことを書いてたら、ちょうど前澤さんも同じようなことをツイートしてました。良い機会なので、考えを整理してみるテスト。


お金持ちを殴っても、なにも進展しない

想像してみてください。

いきなり「搾取野郎!」とか暴言を浴びせられ、「あいつは人民の敵だ打倒しろ!」とか「会社を焼け、富を取り戻せ!」とか言われたら、人はどう感じるでしょうか?

「あぁ、僕はなんて罪深いんだ… よし、彼らにお金を配ろう!」とは絶対になりません。

普通に考えて、「げ、なんかヤベェやつ来たよ。関わりたくない、逃げよう!」と思っちゃいます。

つまり防衛行動として、距離をとっちゃうわけですね。

対立構造をもって富の再分配をしようとしても、かえって相手を硬化させてしまうわけです。(基本的に対立を煽るアプローチは手っ取り早いが、中長期ではデメリットのほうが大きいです)


気持ちよくお金を払ってもらおう

ですので正解のアプローチは、逆だと思うわけです。
お金持ちを褒めて!褒めて!褒め称える!というのが重要。

お金持ちは、べつに搾取したいわけでも、お金を払いたくないわけでもありません。「理由のないところに、お金をいれる意味がわからない」というだけなのです。

なので、重要なのは、「お金持ちが納得し、自主的に払いたくなるような合理性のある価値」を創出することです。

そのためには、どうしたらいいでしょうか?


社会的報酬の取引市場を作ろう

個人的に、一番オススメは、「名誉」や「地位」や「人気」とお金を交換する仕組みを作ることです。

なぜかっていうと、お金持ちにとって「社会的な立ち位置」というのは、お金やモノ以上に価値があるものなのです。自己実現や承認欲求は、お金持ちに大変需要がある商品です。


いっぽうで、「名誉」や「人気」は生産コストがほぼゼロです。

だったら、富を富裕層から移転したければ、お金持ちに「名誉」や「人気」や「自尊心」を買ってもらうのが、いちばん合理的です。 持たざるものにとって名誉や承認欲求というのは、富裕層に売れる最高の商品なのですね。


お金がすきな人は、寄付や福祉が好きになりやすい

ついでに言うと、お金稼ぐときに脳が活性化する部分と、寄付で脳が活性化する部分は、同じ「側坐核」です。

さらに「自発的寄付」は、強制寄付よりもこの部位が活性化する傾向です。つまりお金を稼ぐのが大好きな人は、福祉や寄付も大好きになる確率が高いと思われます。相性、バツグン。

きっかけさえあれば、お金持ちは福祉にメッチャハマってくれます。

そうすると、「福祉にコミットする入り口」を気持ちよく作り、リピート率をあげることが一番大事そうですね。つまり、対立構造とか作ってる場合じゃないわけです。


お金を配りたくなるロードマップ

どうせ作るなら、奪い取る社会や、嘘でおべんちゃらを言う社会よりも、お金持ちが普通に尊敬されて、お金持ちが普通に善意で世の中をよくする(ノブレスオブリージェン)な世界にしたいですね。

そのためには、日本はとくに宗教的な寄進基盤が弱いので、入り口をしっかり作ることだ大事でしょう。イスラムやキリスト教はそこがしっかりできてる。

中長期で考えるなら、奪いとるより、以下のような考えかたがよさそうです。

「入り口は経済インセンティブ」からはじめ、「社会報酬」にシフトさせ、そのあとに「ロールモデル化」することで、お金持ち全体に社会的な価値観を根付かせる作戦ですね。



トップクラスのお金持ちにやってほしいこと

個人的には、前澤さんや孫さんクラスのお金持ちが、個別の福祉や再分配に巻き込まれても、よいことはないと思うんですよね。

そういう人が炊き出ししたりスープを配るのは、美談かもしれない。だけど社会活動としては生産性が微妙なんです。地道な活動は小さなNPOにまかせるべきで、大きく動ける彼らには、もっとすべきことがある。

例えば、前澤基金とか孫基金とかを作り、「寄付した人トップ10は、彼らとディナーを食べながら、日本の未来について語り合える」みたいなことをやるほうが、大きな波を作れるかもしれない。福祉活動してる人しか入れない富豪クラブとかもそう。

ロックスターなお金持ちのチャリティー活動なら、「お金持ちが寄付したくなる空気」を作ることが、一番コスパがよいのではないかと思うわけです。

もし富を再分配するにしても、そういう普通のNPOにできないことが走ると素敵だなぁと。単純なお金の配布よりも、行動規範を作ってくれるほうが、よっぽど価値がある。

そういう考えや世界観が、もっと広まったらいいなぁと思います。相続税も100%にするより、「死ぬときに全額寄付して、財団とか学校作っちゃうの素敵!」って感じで流行らせたい。


以上、ツイッターに書いた、以下の話の補足でした。


<追記>
ここでは自主的に払うことについてを主に語ってますが、徴税による再分配でも同じですね。お金持ちは力があってルールを作れるので、「彼らが強い不満」を感じたら、ルールを曲げたり抜け道を作ることも不可能ではありません。

なので、結局のところ徴税で再分配するにしろ、「彼らが気持ちよくお金を払える世界」を作るのは、必要になるわけです。

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深津 貴之 (fladdict)
いただいたサポートは、コロナでオフィスいけてないので、コロナあけにnoteチームにピザおごったり、サービス設計の参考書籍代にします。