超わかる!ユーザーエクスペリエンス(雑)
社内メンバー全員が、ユーザーエクスペリエンスをざっくり理解するための資料。(注: 以下は、ざっくり最速で基礎知識を説明するものです。厳密な定義は、ちゃんとした資料をご覧ください)。
5秒でわかる雑なUXモデル
まず「だいたいあってる、ざっくりした概念図」を出します。
「すき焼き(コンテンツ)を、お箸(インターフェース)で、食べたら美味しかった(エクスペリエンス)!」
シンプルに示せば、UXとはこれだけです。(注)ここのコンテンツはモノ、サービス、概念なども含みます。
そして「よいエクスペリエンス(雑)」とは、「ユーザーの精神活動をポジティヴにしていくこと」の積み重ねです。
もうちょっと広げると、生活や人生をいい感じにすることも含みます。肉体的な変化とか、スキルアップとか…専門家に細かく言わせると、色々でてきますが…
まぁ日常使いのケース90%ぐらいでは、この認識でOK。
「よいエクスペリエンス(雑)」とは、「ユーザーの精神活動をいい感じにしていくこと」の積み重ね。
エクスペリエンスの質はUIで変わる
おなじコンテンツでも、インターフェース(UI)が適切かどうかで、得られる体験は大きく変わります。
どんなにコンテンツ(すき焼き)が最高でも、不適切なインターフェース(ストロー)で食べれば、舌を火傷(バッドエクスペリエンス)してしまいます。
コンテンツの質、UIの質を問わず、TPOが不適切なら、UIの品質は本質的な意味をなしません。
UIはコンテンツの質を覆せない
同じように、料理が最悪であったらば、どんなに素敵なお箸を使っても、得られる体験は最悪でしょう。
インターフェースがコンテンツの質を覆せることは、稀です。
エクスペリエンスは人でも変わる
たとえばユーザーが海外からの観光客で、お箸が苦手だったら…
最高のすき焼きと、最高のお箸を提供したのに、体験が最高にはならないかもしれません。
よいエクスペリエンスを生み出せるかは、ユーザーや、TPOによってケースバイケースで変動します。あるユーザーにとってよいエクスペリエンスが、万人にとってよいエクスペリエンスとは限りません。
彼にとってよいインターフェースは、スプーンとフォークかもしれません。
もっと言えば、アレルギーのケース、空腹でないケース、菜食主義者だったケースと、TPOは無限に存在しています。なので「よいエクスペリエンス」に求められるのは、カバー範囲や打率だったりもします。
もうちょっと正確なエクスペリエンス
ユーザーエクスペリエンス(UX)を、もうちょっと丁寧にあらわすと…
「ユーザーが対象と関わりはじめてから、縁が切れるまで、脳内で発生した精神活動のすべて」です。
喜怒哀楽、記憶、予見、思い出、偏見、判断、感触…これらはみんなエクスペリエンスの一部です。
たとえば「iPhoneのエクスペリエンス」は、「iPhoneにまつわる精神活動」と言い換えてもよいでしょう。以下は、すべてUXです。
iPhoneってよいらしい(伝聞)
iPhone欲しい(欲望)
iPhone買おうかな(迷い)
iPhoneを開封するぞ!(期待)
iPhoneサクサク動く(感触)
iPhone楽しい(感情)
iPhoneでこんなことした(エピソード)
iPhoneスキ(総体評価)
iPhoneで人生が変わった
このため、よいエクスペリエンスを作ろうとすると、プロダクトを触っている間だけでなく、その手前や、その後ろの時間軸についても設計、考慮する必要がでてきます。
UXデザインが総合格闘技とされるゆえんです。
UIとUXの違いとは?
UIとUXは名前が似ているだけで、まったく違う概念。
インターフェースとは、セカイとユーザーの境界面です。あなたの体験するあらゆるインプットとアウトプットは、全て何かしらのインターフェースを介して行われます。
お箸、マウス、ディスプレイ、ボタンは、すべてインターフェース。目や耳や手もインターフェースです。
エクスペリエンス
ユーザーの脳内で発生する精神活動。予想、妄想、偏見、感触、情動、判断、思い出、評価などはすべてエクスペリエンスです。
肉体的な変化(ケガとか)、財産の変化、能力の変化…なども、厳密にはエクスペリエンスの一種ですが、結局それらも「脳で処理」されて、最終的にエクスペリエンスになる、と解釈してもよいでしょう。
そんなわけで、ちまたではUI/UXとセットで表現されることも多いのですが…「UI/UX」という表記は、「お箸/美味しい」と同じぐらいトンチンカンです。使わないようにしましょう。
いかがでしょうか、ここでは厳密さよりも、チーム横断で共通理解をつくるための、ざっくりとしたエクスペリエンス(UX)のモデルを説明してみました。
もっと厳密な、正しい知識が欲しい人には、ISO9241-210をガッツリ読むか、下記の「UXデザインの教科書」をオススメします。