自作するな、そこはお前の戦場じゃない

スタートアップのメンタリングをしていると、しばしば「全部を自分で作りたい病」に遭遇する。

作っちゃダメ!スタートアップのリソースは有限

スタートアップはリソースが限られている。だからこそ、本当にコアな価値に集中する必要がある。開発・経営リソースは 競争優位性を生む部分に集中投下すべき であり、それ以外は可能な限り外部のリソースを活用するのが賢明だ。

しかし、現場ではこうした言葉をよく耳にする。

  • 「このツール、使いにくいから自作しよう」

  • 「このツール、高すぎるから開発しました」

  • 「微妙に業務と合わないので、社内で作りました」

一見合理的な判断に思えるが、実際には 大きな落とし穴 となり、中長期的に技術負債を抱えることになる。

ほっとけばGAFAが解決する課題は作るな

もし、その機能や仕組みが 半年〜1年でGAFA(Google、Amazon、Facebook、Apple)などの大手が提供しそうなもの なら、自作は無駄だ。

また、特化サービスが資本を投じて開発している領域も、自前でやるべきではない。彼らの投資規模や開発スピードに個別のスタートアップが対抗するのは、ほぼ不可能だからだ。

たとえば、

  • ChatGPTの性能を5%向上させるハック

  • AWSより効率の良いキャッシュサーバー

  • 独自ノウハウ仕様のすごいコンバージョンのログイン画面

こうした領域は スタートアップのコア事業でない限り、開発すべきではない。

こういったものを頑張って作っても、その競争性は一瞬しかもたない。

開発すべきは「誰も解決してくれない必須パーツ」

スタートアップがリソースを投じるべきは、 半年〜1年経っても誰も解決してくれない、自社にとって本当に必要なパーツ だ。

それ以外の領域では、

* 多少高くても既存ツールを買う
* 行務フローに合わないなら、業務設計を変える

これが鉄則だ。

無駄な開発を続ければ、戦場が無限に広がり、リソースが分散し、本来の競争優位性を築くべき部分が後回し になってしまう。

  • 場が無限に広がり、リソースが分散

  • 本来の競争優位性を築くべき部分が後回し

  • 作ったパーツがメンテされず、技術的負債化

結果として、ツール代をケチったつもりが、 トータルコストでは本質価値にボトルネックが発生し、逆に大きな損をする ことになる。


高くてもいい、使いにくくてもいい

スタートアップの初期においては、本質的な価値と競争力に繋がらない部分は、すべて既存ツールや外部リソースに任せるべき だ。

「ソリューション代が高い?」
そんなものは「コアチームが本質的な開発だけに集中できる代」と考えれば、むしろ安い。

不要な開発を続ければ、コア業務に関わらない開発メンバーが肥大化し、さらにコストがかさむ

己の戦場を探せ

スタートアップはリソースが限られている。「他人の戦場」や「他人が解決する課題」にコミットする余裕はない。

だからこそ、

「己の戦場を探せ」

この考えを、投資先やVCのメンタリング先で伝えている。


いいなと思ったら応援しよう!

深津 貴之 (fladdict)
いただいたサポートは、コロナでオフィスいけてないので、コロナあけにnoteチームにピザおごったり、サービス設計の参考書籍代にします。