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経営者にデザインや技術の大切さをわかってもらうには?

よく講演をした後に、そのような質問を受けることが多い。

結論から言うと、経営者にデザインやエンジニアリングの重要性を伝えようと頑張るのは、オススメできない。なぜなら、それを大事にしてくれる別の経営者と仕事をする方が、はるかに簡単で手っ取り早いからだ。

基本的に、経営者の考えを転換させるコストは極めて高い。それだけの時間やコスト、能力や忍耐があれば、転職先や別のクライアントを見つける方が簡単だ。そもそも、ある程度は職を選べる能力がなければ、経営者の考えを変えることはおろか、アクセスすることすら難しい。

シンプルに、デザインやエンジニアリングを経営に持ち込みたい人は、そのような経営者と仕事をすべきだ。過去に色々なクライアントで、経営者や社長室、経営企画室、新規事業部の方々とお会いしてきたが、実質的にそれ以外の答えは無いと思う。

経験上、ほとんどの経営層は人的ロジスティクスの硬直化が起きるまで、つまり採用の枯渇問題に発展するまで、デザインや技術の重要性を本気で考えない。多くの優秀なデザイナやエンジニアが移動しだしてはじめて、デザインやエンジニアリングの重要性を、経営層がシリアスに意識する。

残念ながら人材リソースの枯渇こそが、万能の劇薬なのだ。

デザインや技術を大事にしたい会社には、僕は以下のようなことをオススメするのだが、悲しいかな実現することはほとんどない。


・トップファイブに技術やデザインの責任者を迎え入れる

・責任者とは別に、経営者直通の外部アドバイザを置く

・経営者がデザイナエンジニアと意見交換する場や、トレンドを学ぶ場を作る

・デザイン判断、技術判断を上流工程に入れる

・給与テーブルの改革

・調査研究開発への投資


結局のところ、この辺りを色々と弄らないとならないため、時間と手間はかかる。

まずは偉い人と話をしてみて、少なくともそっちに向かっていこうとしているのかを確認してみるのが良いと思う。


追記

ただし、その会社が大好きだったり、その会社でしかできないことがあるなら、もう気長に頑張るしかないと思う。諦めたらそこで試合終了ですよ。



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深津 貴之 (fladdict)
いただいたサポートは、コロナでオフィスいけてないので、コロナあけにnoteチームにピザおごったり、サービス設計の参考書籍代にします。