管理職・リーダーのためのコミュニケーション能力(その9)
管理職やリーダーのみなさんには、多かれ少なかれ、リーダーシップが求められます。
部下やメンバーに対して進むべき方向を示したり、やり方を教えたり、細かく監督したり、一緒に取り組んだりと、部下やメンバーへの関わり方はいろいろあります。
では、どのような関わり方が理想なのでしょうか?
この問いに対する明快な答えというものはありません。
組織の置かれている状況や部下・メンバーの状態がそれぞれ違うので、どんな状況にもあてはまる「理想的な関わり方」というものは存在しないと言えるでしょう。
では、状況に応じて関わり方を変えるとしたら、どうしたらよいのか?
1977年にハーシー(P.Hersey)とブランチャード(K.H.Blanchard) が提唱した「シチュエーショナル・リーダーシップ理論」(SL理論)が参考になるので、弊社の管理職研修でも紹介させていただいています。
ハーシー&ブランチャードは、「課題に対する部下の成熟度」に合わせて関わり方を変えるべきだと提唱しました。
上の図をご覧ください。
部下への関わり方を、以下の4つに類型化します。
Q1「指導方」
Q2「コーチ型」
Q3「参加型」
Q4「委任型」
それぞれ、「指示を多くするか否か」、「協働(一緒に取り組むこと)を多くするか否か」を表しています。
部下の成熟度が低い時は、Q1「指導方」、すなわち細かく指示をして監督するという関わり方をとります。
部下の成熟度がやや上がってきたら、徐々にQ2「コーチ型」に移行します。すなわち、指示を減らして一緒に取り組む割合を増やします。
さらに成熟度が高まれば、Q3「参加型」となります。一緒に取り組みながら、指示を減らしていきます。
成熟度が最高レベルに達したら、Q4「委任型」です。指示もあまりしないし、協働もあまりしない、「任せる」という関わり方です。
ここで注意したいのは、図の中で赤字で示したように、「課題に対する部下の成熟度」で判断すべきということです。単純に「新入社員だからQ1、ベテラン社員だからQ4」ということではなく、取り組んでいる業務課題と本人の能力を勘案して関わり方を決めるということが重要です。
元帥・海軍大将として活躍した山本五十六氏の以下の言葉はとても有名なので、一度は耳にしたことがあるのではないでしょうか?
「やってみせ、言って聞かせて、させてみせ、ほめてやらねば、人は動かじ」
実は、この言葉には続き(2番・3番)があります。
「話し合い、耳を傾け、承認し、任せてやらねば、人は育たず」
「やっている、姿を感謝で見守って、信頼せねば、人は実らず」
1番は実際に山本五十六が色紙などに書き残しているのですが、2番・3番については本当に氏が言ったかどうかは疑問が残ります。
それにしても、よくできている言葉なので、ここでも敢えて紹介させていただきました。
この言葉はハーシー&ブランチャードのSL理論と見事に符合します。
1番は、まさにSL理論のQ1にあたります。
そして2番はQ2とQ3、3番がQ4というように理解できると思います。
管理職・リーダーのためのコミュニケーション能力、
その9は「部下・メンバーの成熟度に合わせて関わり方を変える」です。
いかがでしたでしょうか?
次回は「自分自身の状態」について書いてみたいと思います。
株式会社F&Lアソシエイツ
代表取締役 大竹哲郎
https://www.fl-a.co.jp/
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?