管理職・リーダーのためのコミュニケーション能力(その4)
これまでに、「聴く」と「伝える」について書いてきましたが、今日は「心の持ち方」について書いてみます。
みなさんは「鬼手仏心」という言葉をご存知でしょうか?
もともとは仏教用語だそうですが、相手を思いやるからこそ相手に対して厳しく接するという意味です。
管理職・リーダーであれば、メンバーを褒めることもあれば叱ることも必要でしょう。あるいは、あえて高い目標を与えて苦労させることが必要な場面もあるでしょう。
その時に、接し方や与えるタスクは厳しくても、心は穏やかに相手の成長を願っているという状態が望ましく、その状態を「鬼手仏心」という言葉は端的に表していると思います。
弊社で提供しているOutward Mindsetセミナー(米国Arbinger Instituteが開発し、アービンジャー・インティチュート・ジャパン株式会社の監修の下に実施)では、このことを「二つの心の持ち方」として説明しています。
どういうことか、簡単に説明してみます。
たとえば、あなたが誰かに謝罪するとします。
謝罪するという「行動」は同じであっても、あなたの「心の持ち方」は実は二とおりあるのです。
ひとつは、「本当に申し訳なかった、相手に償いたい」と思って謝る心の持ち方。これを「外向き思考」と読んでいます。
もうひとつは、「本当は自分は悪くないけれど、自分の立場を守ためにとりあえず形だけ謝っておこう」という心の持ち方。これを「内向き思考」と読んでいます。
いかがでしょうか?
謝罪するという外見上の行動は同じだけれど、心の中の状態は真逆であるということをお分かりいただけましたでしょうか?
「外向き思考」のときは、相手の成果や組織全体の目標達成にも意識が向いています。しかし、「内向き思考」に陥ってしまうと、自分の成果ばかり考えるようになってしまいます。
そして、自分の「心の持ち方」は、相手にそのまま伝わってしまいます。
メンバーを叱るとき、もし「外向き思考」で(相手のために、相手の成長を願って)叱れば、相手はそれを素直に受け入れることができます。一方、「内向き思考」で(相手のことを見下し、自分の成果を求めて)叱れば、相手はへそを曲げてしまい、こちらが思うように行動を変えてくれることはありません。
「外向き思考」でいれば、周りの人たちによい影響を与えることができるし、組織全体の目標も達成しやすくなります。
「内向き思考」に陥ってしまうと、人間関係がうまくいかなくなり、組織としてのパフォーマンスも低下してしまいます。
怖いですよね。
管理職・リーダーのためのコミュニケーション能力、
その4は「外向き思考で行動する」です。
もう少し詳しく知りたい方には、以下の書籍に目を通していただくことをお勧めします。
「自分の小さな『箱』から脱出する方法」大和書房
「2日で人生が変わる『箱』の法則」祥伝社
「管理しない会社がうまくいくワケ」大和書房
また、アービンジャー・インティチュート・ジャパン株式会社や弊社でも無料説明会を行っていますので、ぜひご検討ください。
いかがでしたでしょうか。
次回は「相手の身になる」ということについて書いてみたいと思います。
株式会社F&Lアソシエイツ
代表取締役 大竹哲郎
https://www.fl-a.co.jp/