19/20 セリエA各クラブにおけるボールタッチとプレッシングの傾向【Part 1】
note初投稿。
一時は混戦だったものの、最後は結局ユヴェントスの連覇で終わった今季のセリエA。
私はユヴェンティーノでDAZN中継の試合は大体観たのだが、今季のユーヴェの印象として、
・(特に引かれた相手に対して)PA内を攻略できない
・ベンタンクールの成長もあり、プレッシング開始位置が高くなった?
の2点を感じていて、じゃあデータ上はどうなっているんだろうと気になった。
ついでに他のクラブも調べて、セリエA各クラブのデータが自分の印象とどれだけ一致もしくは乖離しているか確認してみる事にした。
長くなってしまったので、記事を2つに分ける。
調査項目
<データ参照元>
■各ゾーンにおけるタッチ数の割合
・ポゼッション率
・自陣側PA内でのタッチ数(%)
・ディフェンシブサードでのタッチ数(%)
・ミドルサードでのタッチ数(%)
・アタッキングサードでのタッチ数(%)
・相手側PA内でのタッチ数(%)
■各ゾーンにおけるプレッシングの割合
・プレッシング成功率
・ディフェンシブサードでのプレッシング(%)
・ミドルサードでのプレッシング(%)
・アタッキングサードでのプレッシング(%)
サマリー
■各ゾーンにおけるタッチ数の割合
■各ゾーンにおけるプレッシングの割合
各項目の上位と下位6クラブは色分けしている。
また、ポゼッション以外の項目はリーグ平均値との差を併記した。
ピッチの図は以下のサイトで作って画像編集ソフトで加工した。こういうのは慣れてないので(20クラブ+平均値)×2は流石に疲れた。。。
それでは各クラブのデータをアルファベット順に見ていく。
【アタランタ】
■各ゾーンにおけるタッチ数の割合
ポゼッション率はリーグ3位、アタッキングサードと相手側PA内での割合は共にリーグ1位。圧倒的に押し込んでいる事が分かる。
データ上でも、セリエA最強の攻撃力は伊達じゃなかった。
■各ゾーンにおけるプレッシングの割合
思ったほどハイプレスはしていないというデータになったが、圧巻はミドルサードの割合。2位に3%以上差をつけてぶっちぎりの1位である。
また、プレッシング成功率も1位であり、評判の攻撃力だけでなく中盤より前からの守備も素晴らしいと言えるのではないか。
【ボローニャ】
■各ゾーンにおけるタッチ数の割合
特徴としては、アタッキングサードでボールを持てている(リーグ6位)。
ポゼッション率もやや高めで、ディフェンシブサードの割合も少なく、早いタイミングで高い位置にボールを運べていると思われる。
あとは相手側PA内の割合が増えれば、もっと上位にいけるのではないか。
■各ゾーンにおけるプレッシングの割合
アタッキングサード(7位)とミドルサード(6位)の割合が高く、積極的に高い位置からプレッシングしている事が分かる。
成功率も悪くないので、機能していると言えよう。
【ブレシア】
■各ゾーンにおけるタッチ数の割合
ポゼッション率(最下位)、自陣側PA内(2位)、ディフェンシブサード(1位)と、完全に前に運べていない。これでは降格もやむなしか。
■各ゾーンにおけるプレッシングの割合
こちらも後ろ重心で、更にプレッシング成功率が最下位と機能不全と言えるだろう。
【カリアリ】
■各ゾーンにおけるタッチ数の割合
ゼンガになってからほぼ観てないので、前半の快進撃を続けていた頃の印象になってしまうが、もっと前線に運べているイメージだった。
特に相手側PA内は最下位である。
■各ゾーンにおけるプレッシングの割合
ミドルサード(最下位)、アタッキングサード(18位)とこちらも完全に後ろ重心である。
ただブレシアと違う点は、プレッシング成功率が平均以上で、自陣に引きこもっての守備はある程度機能していたという事か。
【フィオレンティーナ】
■各ゾーンにおけるタッチ数の割合
どの項目も中位の値だが、相手側PA内の割合だけ4位と好成績。
正直イアキーニ体制になってからそんなイメージは全くない。
まあ、今季はヴィオラはあまり観てないので、偉そうに言えないが。。。
■各ゾーンにおけるプレッシングの割合
こちらもアタッキングサードの成績が良い(5位)。
やはりイアキーニのイメージと全然合致しない。
それとも、モンテッラ体制の数字が残ってからなのか?
【ジェノア】
■各ゾーンにおけるタッチ数の割合
降格争いをしていただけに、アタッキングサード(最下位)と相手側PA(18位)の成績が低い。
ただ、その割にポゼッション率は悪くないので、自陣では繋げるものの前線にはボールを送れていなかったと言えるのではないか。
■各ゾーンにおけるプレッシングの割合
こちらもアタッキングサードの成績が悪い(16位)。
ただし、ミドルサード以降の成績を見るに、極端に引きこもっていた訳ではないようだ。
【エラス・ヴェローナ】
■各ゾーンにおけるタッチ数の割合
ユリッチの師匠ガスペリーニ率いるアタランタと同じ傾向になるかと思ったが、予想が外れた。
軒並み中位の成績だが、ミドルサードが6位と高い数字。
アムラバト&ヴェローゾのコンビが利いていたか。
■各ゾーンにおけるプレッシングの割合
もっと高い位置でのプレッシングが激しいと思っていたが、こちらも観ている印象とは違ったデータとなった。
ただし、プレッシング成功率は3位とアタランタに通ずるものがあるかもしれない。
【インテル】
■各ゾーンにおけるタッチ数の割合
ポゼッション率(6位)、相手側PA内(3位)で好成績を収めている。
これは2トップが特に機能していた証左ではないだろうか。
個人的には、ビルドアップの設計が丁寧なので、もっと後方の数字が高いと予想していた。
■各ゾーンにおけるプレッシングの割合
コンテは引いて守るイメージが強かったが、それに反してアタッキングサードが3位と好成績を記録している。
一方で、セリエA2位のクラブにしてはプレッシング成功率が低い(11位)。そんなにプレッシングが空回りしているイメージはないのだが。。。
【ユヴェントス】
■各ゾーンにおけるタッチ数の割合
優勝クラブらしく、ポゼッション率(2位)、ミドルサード(1位)、アタッキングサード(2位)とトップクラスの成績。
一方で、予想通り相手側PA内は16位という低い成績で、全く効率的に侵入できていない事が分かる。ターゲットがロナウドしかいない以上、昨季のようなクロス戦術が使えないのだから、ここの数字を改善する事が急務だろう(ピルロの手腕に期待)。
■各ゾーンにおけるプレッシングの割合
プレッシング成功率(6位)、ミドルサード(5位)、アタッキングサード(2位)と全て好成績で、中でもディフェンシブサードがリーグ最下位である。
ベンタンクールの成長により、プレッシングの基準点が高くなった印象だったが、要因はさておきデータ上はその通りであった。
【ラツィオ】
■各ゾーンにおけるタッチ数の割合
アタッキングサード(4位)と相手側PA内(5位)での順位が高い。
一方でミドルサードは13位と平均以下であり、これはボールを奪ってから手数をかけずカウンターを仕掛けている事の表れだろう。
■各ゾーンにおけるプレッシングの割合
プレッシング成功率が5位と高い。
しかし、ミドルサードが17位とかなり低いのには驚いた。
ラツィオの守備は、2トップはハイプレスせず中盤へのパスコースを潰す事に重点を置いているため、逆にミドルサードから後ろの数字はどちらも高くなると予想していたからだ。
残り10クラブは後編で見ていく。