面白かったTEDTalks(12本)とメモ
1. ジョハン・ハリ:「依存症」―間違いだらけの常識
広く受け入れられている依存症は近代の考え方を引き摺っている(自己責任もそう)
依存症の根本原因は依存性物質ではなく「檻」ではないか,環境への適応反応ではないか(依存性ではなく繋がりではないかと考えるというのは國分功一郎も言及していた)
孤立や虐待を経験した人間は,人以外との繋がりの対象を探し始める
何かと繋がろうとするのが人間の本能
薬物中毒者というレッテルを張られることで再び人と繫がることが阻まれる→薬物依存にのめり込む
インターネットとスマホによって,かつてないほど人同士が繫がる社会になった…ようにみえるが実は人類史上最も孤独な社会→これは深い人間関係のような本物ではなく,類似品にすぎない
個人の厚生だけでなく,社会の立ち直りにも注目する必要
addiction の対義語は connection
2. Jill Bolte Taylor:My stroke of insight
人間の脳は2つの独立したものから構成されている
右脳と左脳は脳梁で結ばれているものの,それぞれは独自の活動をする
(思いつき:例えるなら右脳↔波...全体に拡がる,左脳↔粒…個に狭まる.量子のような二重性が人間にもあるんだろうか)
3. Albert-László Barabási:The real relationship between your age and your chance of success
実力と成功は別物である
実力はほとんど個人差がなく(高度な計測器がないとトップを決められない),有限なもの
それに対して成功は差がとても大きくなりうるし,際限もない
個人のレベルを測る実力と異なり,成功とは集合的な尺度で他者が与えるものである
どの論文やプロジェクトも成功する確率は同じである
研究者が年をとるごとに成功(論文の被引用数やノーベル賞)しづらくなるのは,年を取ることで創造性が失われるからではなく,生産性が落ちるため(買うくじの枚数が減る)
4. ニコラス・クリスタキス:社会的ネットワークの知られざる影響
その人がネットワーク上のどのような位置になるかは遺伝が47%
黒鉛とダイヤモンド:炭素原子自体に透明さや硬さがあるのではなく,それらを分けるのは炭素原子同士の「繋がり方」
群れ,超個体(思いつき:ヘーゲルの世界精神に似ているかも,気体分子の計算を連想した)
5. マニュエル・リマ:人類の知識を表す視覚的表現の歴史
6. フィリップ・ジンバルド:時間と健全に向き合う処方箋
7. フィリップ・ジンバルド:普通の人が どうやって怪物や英雄に変貌するか
エッシャーの絵,神のお気に入りであった天使ルシファーの堕落(神が悪の入れ物として地獄を作った)
もし人を変えたければ状況を変えること(システム=法,政治,経済,文化的背景が個人を堕落させる状況を作り出す.権力はシステムの中で腐った樽を作り出す→その樽に入ったリンゴは腐る)
人→状況,状況→人,状況を作り上げ保持するシステム
「善悪の基準は,あらゆる人間の心のなかにある」(外側にあるのではない)
8. カール・オノレイ:「スロ-」の勧め
9. ベン・アンブリッジ:心理学について9つのウソを暴く
10. ダニエル・カーネマン:経験と記憶の謎
11. レナータ・サレーツル:選択に対する不健全な執着
12. Elizabeth Cox:What is imposter syndrome and how can you combat it?
(おまけ) 浅田彰:TV進化論(1986年放映)
フラクタル,微分,積分,シミュレーション,セルオートマトンの話
落合陽一『デジタルネイチャー』(2018)で一貫して述べられていることを30年前に予告?(解析解から数値解へ)
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