ノラカドウ_発見16 沈黙交易ノラカドウ
柿の青い実がなぜかフェンスにところに置かれてた訳です。燐家の庭の柿の木から、転げ落ちた青柿が偶然にそこに嵌まったのかとも思いましたが、フェンスの構造上、明らかにこれは誰かに置かれたものなわけです。あらら、景色に「置かれていた」という人為が入っていましたよ!まあ、青柿はまことに可愛く美しい佇まいですから、ノラカドウ的観賞に充分に耐えるもので、それをもってノラカドウと断じても良いのですが、興味の矛先はやっぱりこの人為の痕跡に向いちゃう訳ですね。で、この柿を見ながら、なんだか急に、沈黙交易ってやつを思い出しました。誰かがこの柿を置いていった。なにかと交換したいらしい。という想像をしてしまったのです。たぶん沈黙交易って、意味が判らないような!判るような? 価値が有るような!無いような?ものが、媒介になって成り立つんだろうなと思うのです。まさしくこの青柿は、意味やら価値やらを位置づけがたくそこに存在していた。で、この意味や価値が定まらないところに、どうしても「ナニカのカタチで決着をつけたくなる」という気分が沸いてくるのです。考えてみれば、自然な状態の中に明らかに異物が現れれば、人はその異物を異物ではないものに転化したいと考える生き物なのかもしれません。そういう習性をうまく利用したものが沈黙交易だったのか?などとひとりごちたりするわけです。そんな風に考える人は多くはないと思いますが、もしそういう人がいて、青柿がなにか別のものに置き換わっていたという事態が起これば、大変に興奮します。でもね、この青柿は数ヶ月後の間放置され、干涸びていったのです。残念。というか自分が青柿に換えて、何かを置けば良かったのかもしれません。なにを置けば面白かったんだろう?そんな事を考えてみたりして。とまあ、そんなわけで今回の発見はノラカドウと沈黙交易はなんか似ているぞ!というお話になりました。………。