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工藤純子『あした、また学校で』講談社〔2021年首都圏中学入試頻出作品/背景説明・登場人物紹介・あらすじ/急いで筋を知りたい受験生向け/無料〕

工藤純子『あした、また学校で』講談社2019年

 この作品は2021年に

・関東学院中学校
・駒場東邦中学校

で出題されました。


★背景説明

 この物語を読むときには章ごとの視点に気をつけましょう。視点というのは「だれの目から物語を見ているか」ということです。ふつう、物語は主人公の視点で進むものですが、この物語ではときどきべつの登場人物へと視点が移ることがあります。


★登場人物

滝川一将〔たきがわ かずまさ〕
 主人公。小学六年生。六年一組の代表委員。勉強が苦手。

滝川将人〔たきがわ まさと〕
 一将の弟。小学二年生。運動が苦手。

新見咲良〔にいみ さくら〕
 一将の幼なじみでクラスメイト。六年一組の代表委員。優等生。

梶尾博樹〔かじお ひろき〕
 小学五年生。代表委員。囲碁将棋クラブに入っている。中学受験のための塾へ通っている。

石井梨沙〔いしい りさ〕
 小学六年生。六年二組の代表委員。囲碁将棋クラブに入っている。二年生のときから祖母と二人で暮らしている。

荻野〔おぎの〕

 怖いと有名な女の先生。大縄跳びの指導をしている。

橋本健太〔はしもと けんた〕
 代表委員会の若い先生。みんなから「ハシケン先生」と呼ばれている。

千波〔ちなみ〕
 咲良の叔母。フリーライター。

大間泰造〔おおま たいぞう〕
 学校支援地域本部の本部長。囲碁将棋クラブのコーチ。


★あらすじ

 一将の通う小学校は大縄跳び大会に加わっています。十二月の初めに地域の五つの小学校が集まって競争する大会で、学年別にチームを作ります。大会には出たい子が出るしくみです。一将の弟の将人は運動が苦手なのに、この大縄跳び大会に出ると決めました。しかし、指導をしている荻野先生にみんなの前で怒られ、チームのメンバーたちからも出るなと言われてしまったため、傷ついて学校へ行かなくなってしまいます。一将といっしょに六年一組の代表委員をつとめる咲良はそのことを聞いて怒り、代表委員会で話し合うことにします。咲良は代表委員会で将人のことを話し、「学校をよくするために何かしたい」とうったえます。しかし、ほかの委員たちはとりあってくれませんでした。とくに冷たい反応をしたのは六年二組の代表委員の石井梨沙と五年生の梶尾博樹でした。二人はそれぞれの事情で忙しく、代表委員会に時間をかけることができなかったのです。一将と咲良は、代表委員会を見てくれている橋本先生が荻野先生に意見を言って欲しいと思いますが、橋本先生は引き受けず、「学校はだれのものかって考えたことはありませんか?」と一将たちにたずねます。一将は考えこんでしまいます。

 次の日、一将と咲良は荻野先生に話をしにいきます。将人が荻野先生にしかられたために学校へ来なくなっていると伝えると、荻野先生は一将の家に電話をしてきます。先生は一将の母親にひたすら謝りますが、自分のほうが間違っていたとは言いませんでした。将人は先生に迷惑をかけたからと家でもしかられてしまいます。一将は罪悪感にかられます。咲良は雑誌などに記事を書く仕事をしている叔母の千波に相談します。千波は大縄跳び大会をだれが開いているかを調べてくれます。
 そのうちに将人はまた学校へ行きはじめるようになりました。一将はほっとし、将人のことをもう一度代表委員会で話し合いたいと咲良に話そうと思います。そんなとき、一将と咲良は将人が同級生三人に「本当に大縄跳び大会に出ないの?」とたずねられているところを見てしまいます。将人が出ないと答えると、三人は「やった~!」と喜びました。そのとき、石井梨沙が三人をきびしく注意します。梨沙は「アニキのくせに、ああいうのを見過ごすわけ?」と一将をとがめ、「学校をよくするためにどうするつもりなのか?」と咲良にたずねます。咲良は大縄跳び大会を開いている人たちに相談したらどうかと答えます。大会を開いているのは学校支援地域本部という集まりでした。本部長の大間泰造は囲碁将棋クラブのコーチです。梨沙と博樹は囲碁将棋クラブに入っているため、大間さんとは知り合いでした。一将と咲良、梨沙と博樹は大間さんのところへ相談に行きます。すると、大間さんは、大会に先生たちも参加して欲しいと五つの学校に頼んでくれました。大会で勝つことにこだわってきびしい指導をしている荻野先生は、ほかの先生たちの大縄跳びが下手過ぎて困ってしまいます。


 そうして迎えた大縄跳び大会の当日、将人はチームを応援するために大会を見に行きます。一将たちの学校で優勝できたのは六年生だけでしたが、大縄跳びに出ていた子たちは、大会のあとでいっせいに荻野先生にお礼を言いました。大間さんは閉会のあいさつをするとき突然一将を呼んで一言話すように言います。一将は将人のことを話し、「学校はぼくたちのものだと思いました」と伝えます。
 

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