見出し画像

IBP | IBP リードという仕事

私は海外で IBP (Integrated Business Planning: 繋げる経営企画) に従事しています。肩書きは IBP リードです。LinkedIn や Glassdoor などで調べると出てきます。今回は、オリンパスの募集要項を見ながら、IBPリードという職種についてご紹介したいと思います。

LinkedInより

事例(オリンパスの募集要項):
業務について

グローバル IBP リードの主な役割は、世界中の事業部を繋ぐIBPプロセスを実行し、継続的な改善を行うことです。

責任範囲

  • 最高レベルのIBPの実現を目指し、全ての関係者を率いること

  • IBPプロセスに繋がる全てのデータの質と関連性を改善するため、IBPプロセスのインプットの責任者(商品ライフサイクルマネジメント、ディマンド計画、マスター計画、S&OE、財務計画、戦略の実行など)と協力し、関連するすべてのビジネスリーダーと緊密な連携を維持すること

  • 戦略の実行プロセスとしてIBPを推進するために、IBP の各ステップと議題を定義すること

  • 各IBPレビューから得られた一連の前提条件、数値、エスカレーション(より上位の権限者に判断を仰ぐこと)、および主要な結果を、他のプロセスおよび関連する利害関係者が常に知っている状態にすること

  • IBPプロセスの各ステップとその実行のためのテンプレートの設計と継続的な改善を主導すること

  • IBP分野における組織の専門家として、業界横断的な最新のベストプラクティスを常に把握し、関連する社外の専門家と繋がること

応募資格

  • 経営学、経済学、工学、または関連分野の修士号、または同等の職務経験

  • グローバルのマトリックス組織における数年間のリーダーシップ経験

  • 多様な文化環境における改革プロジェクトを主導した実績

  • 複雑で成熟度の低い環境において IBP/S&OP プロセスを構築する実証された能力

  • IBP、需要計画、プロセス設計と導入、変更管理、ステークホルダー管理に関する深い経験

  • 経営層との交流および影響力のある重要な経験

  • 英語での高いコミュニケーション能力、日本語に堪能であればなおよし

  • 労働時間の15%までの出張をいとわないこと

IBPリードという仕事

IBP の仕事を知らない人からすると、少し概念的でわかりづらいかも知れません。ざっくり言うと、IBP という経営プロセスを設計、実行、継続改善する社内コンサルタントです。IBP のオーナーシップは経営層にあるため、部門問わず経営層とコミュニケーションを取る必要があります。また、プロセスとしての IBP だけでなく、人の能力や組織構造、データや情報の流れも IBP のアウトプットの質に大きく関わってくるため、担当範囲は多岐にわたります。

応募資格に経営学修士 (MBA) とありますが、私も米国で MBA を取得しました。MBA で経営学を学んでいた頃はマーケティングやファイナンスなど個々の科目が頭の中でバラバラと分かれていました。IBP ではそれらを有機的に結合させ、アントレとは違い最初からある程度の規模のある組織の中で、経営を前に進める醍醐味があります。


ちなみに、お給料を書いてある案件が少なかったのですが、いくつかありました。米国勤務で1,600万円~3,000万円くらいでした。他のポジションと比べると決して破格の給与という訳ではありませんが、日本から見ると十分高いですね。若い人にはぜひ海外で稼いで頂きたい(そして日本に還元頂きたい)なと思います。

IBP リードに似て非なる職種

SAP IBP コンサルタント

IBPという仕事を検索すると、SAP IBP コンサルタントという職種もよく出てきます。SAP IBP は SAP 社が提供するサプライチェーン向けのソフトウェアです。

IBP リードは経営層と仕事をします。技術的な細かい話よりも、それが経営戦略の実行において何を意味するのか、適切なレベルの情報に翻訳する能力が求められます。SAP IBP のような IT ツールも知っておく必要がありますが、技術的な細かい点まで求められているというよりは、経営戦略を実行するために SAP IBP コンサルタントに適切なリクエストができることが重要だと思います。

デマンドプランナー

デマンドプランナー (Demand Planner) も、IBP リードと共によく出てくる職種です。財務予測のベースとなる需要予測・計画を担う重要なポジションです。日本ではきちんとデマンドプランナーとして定義されることが少ないようですが、海外ではデマンドプランナーとしての職種が確立されています。

デマンドプランナーは基本的に数量面でマーケティング・営業とサプライチェーンを繋ぎます。予測精度を上げることで、在庫も適切に管理することができます。財務面に関する繋ぎは財務計画・分析 (Financial Planning & Analysis: FP&A) 側が担当することが多いと思います。

以上、IBP リードのご紹介でした。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?