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【#5】なぜトレーニングが必要なのか。〜S&Cとしての私の考え方〜

S&Cコーチは、トレーニング指導の専門家です。
トレーニングといっても、一般的に考えられているであろう、ウエイトトレーニングのみならず、スプリントスキルや方向転換走の指導や、コンディショニングメニュー(ここでは大まかに)の作成・実施なども行います。

そしてそれらは、選手のニーズを把握した上で、どのように指導するのか、その上でどのようなメニューを用いるのか、どこにポイントを置くのかなどによって様々な方法が挙げられます。

しかし、それらを実施するのは、選手たち自身です。メニューを作ること、やり方を指導することだけが役割ではなく、あくまで実施した選手たちのパフォーマンス向上が目的であり、それらをもとに(トレーニング以外の要因の方が大きいかもですが)目標を達成することで初めて、トレーニングの専門家としての役割を果たしたといえると思います。

私は選手にトレーニングを指導する立場ですから、もちろんトレーニングは必要だと思っています。ただ、必要と唱える上で、そこに”自分の軸”とする考えはあるのか。という疑問が生じました。これは整理する必要があるなと。これがないと選手への指導がブレるんじゃないかなと。

今回は『アスリートはトレーニングをする必要がある』という自分の意見についての考えをまとめていこうと思います。


そもそも選手の最終目的はなにか?

アスリートを指導する上で、ここは避けては通れない表題なのではないでしょうか。選手は何を目指して、その競技に取り組んでいるのか。ただ目の前の試合に勝ちたいのか、所属リーグで優勝したいのか、ただ競技を楽しみたいのか、はたまたそのチームに所属しているだけで満足なのか、、、、

これによって、我々の役割は変化すると考えています。というか、目的によっては我々が介入しないケースも大いにあるかと思います。
ただそうなると、そもそも今回の話に繋がっていかないので、今回は競技での勝利(漠然としていますが)を目標とする選手が指導ターゲットという前提で書き進めます。


トレーニングで何を得られるか。

『トレーニングは必要である。』と考えるということはすなわち、トレーニングをすることで得られる恩恵があり、その恩恵を元に必要だと結論付けているのです。
トレーニングは、一つの”方法”に過ぎません。方法ですから、あくまで、目標に向けて選択する一つのやり方に過ぎず、他の方法と天秤にかけ、必要がなければやらなければよいのです。
しかし、私はトレーニングは他の方法以上に、以下のことを得る上でベストな選択肢だと感じています。だから必要だと思うのです。

私は
①怪我をしにくい身体
②競技パフォーマンスにおける基礎
主に上記2点の得られるため、トレーニングは必要と考えています。

①怪我をしにくい身体

トレーニングには様々な効果がありますが、ここについては、アスリートを指導する上で外せないのではないでしょうか。
トレーニングでは、筋肥大や発揮筋力の向上、可動性の向上などの効果が見込まれます。

コンタクトスポーツ(アメフトやラグビー)などでは、無差別級の相手と身体同士をぶつけることがあります。相手よりも体重が軽い、または出力が弱いと受ける衝撃も大きくなりますから、それだけでリスクです。(4tトラックと軽自動車が衝突したら軽自動車がボコボコになるでしょ)
そうならないために、筋肥大(≒体重増)、発揮筋力の向上は必要でしょう。

またコンタクトがないスポーツでも、筋力不足が怪我につながってしまうことがあります。例えば、大腿四頭筋とハムストリングの発揮筋力の差が大きいと下肢の傷害につながることがあります。(発揮筋力が大腿四頭筋>ハムストリングの場合の、ハムストリングの肉離れなど)
それらのバランスを補うためにもトレーニングをする必要はあると考えます。

そして、怪我を防ぐことや怪我のリスクを下げることで選手は、競技を長く続けることができます。(現役の期間を延ばすだけでなく、純粋に多くの時間、競技練習に参加することができます。
競技練習に多く参加できた方が、競技技術の向上にはプラスなはずですから、これも大きな恩恵となり得ると考えています。


②競技パフォーマンスにおける基礎

トレーニング指導者ではありますが、トレーニングでの数値や筋肉量≠競技パフォーマンスだと考えています。

確かに、筋断面積が大きい方がいいし、トレーニングで発揮できる筋力も大きい方が有利です。
ただ、アスリートのパフォーマンスという観点で考えるとそれが最優先ではありません。あくまで、”その競技で強いこと”(その他うまい、速いなどなども当てはまると思います)がその競技で勝利を掴むために必要なのです。

じゃあトレーニングは必要ないじゃんとは言いません。(そりゃあトレーニング指導者ですからね。)

筋断面積も発揮筋力も可動性も敏捷性も有酸素持久力も、、、トレーニングで得られることは全て、競技を行う上での”基礎”となります。
それらを競技に生かすか殺すかはその後に行う競技練習によって決まるのです。

”基礎”は高いに越したことありません。
高い水準の基礎があることで、競技技術が同じくらいの選手と比べた場合より高度なプレーができるはずです。

例えば、200kgでフルレンジのスクワットができる選手と、50kgでしかできない選手がいるとして、どちらがより高くジャンプする(地面により強い力を加える)ことができるか。
または、40ydが4.2秒の選手(NFL級やん)と6秒の選手、どちらがより早く目標の位置まで移動できるか。

答えはどちらも前者だと思います。
全ての競技において基礎が高いことが有利になるとは言い切れないかもしれませんが、基礎が高いことは、大きなアドバンテージになるはずです。その基礎を上げるお手伝いをするのが、S&Cコーチであり、その基礎向上のためにトレーニングは必要だと考えています。

まとめ

今回は『アスリートはトレーニングをする必要がある』という自分の意見についての考えをまとめました。

昨今、SNSの普及などで様々な情報を得やすい社会となりました。トレーニングにおいても、検索すれば色々なトレーニングのやり方が出てきます。

見様見真似でトレーニングを行う前に、この記事を読んでいただくことで、自分自身にとってのトレーニングの必要性を今一度考え直して、本当に自分に必要なトレーニングなのか考え直すきっかけになれば幸いです。


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