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明日から始めるストーリーテリング

皆さんこんにちは、SalesforceでPMをしている深田です。今回はPMコミュニティでストーリーテリングについて発表したのでまとめます!

今回登壇で使用した資料はこちらになります。

今回の内容はこちらのUC Berkeleyの講座で学んだ内容をベースに、いかに自分のPMの業務に適応したかを中心に話します。UC Berkeleyのプロダクトマネジメント講座については以下の記事でまとめているので一緒に見ていただければと思います。

はじめに

日々プロダクトに関わるPMの方々は、ストーリーテリングという手法は知っていていて、PMにとってもとても重要なスキルであると認識していると思います。しかし、意外と実務で活かすことって難しかったりするのではないでしょうか?私もそうでした。そこで、今回は私がPMとして活動する中で、どのようにストーリーテリングを業務に取り入れていったのかお話しさせていだくことで、なるほど!これなら意外とすぐに活用できそう!明日からすぐにトライしたい!というイメージをつかんでいただければ嬉しいです。
前回のnoteで紹介した動画もストーリーテリングの技術を応用しています。

本日お話しするストーリー

せっかくなんで、今回もそのストーリーテリングのスキルを使って、どうストーリーテリングを業務に活かしていったのか紐解いていきます。

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Who I am

Salesforceに2020年に新卒として入社し、ソリューションエンジニア、いわゆるプリセールスや技術営業とよばれる職種で、お客様にとってセールスフォースにおける、どの製品が最適なのか、提案していく仕事からキャリアをスタートしました。入社前からプロダクト開発という領域に興味があったので、将来的にPMになろうとは考えていたのですが、色々な方々からの支援もあって今年の5月からPMとして活動させてもらっています。

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サンフランシスコに本社を構える外資系IT企業における日本法人でのプロダクトマネージャーというのは少し特徴的です。Salesforce Japanの社員なので、日本のお客様と日本法人と本社の開発チームの橋渡し、この三者をつなぐ役目をしていると思っています。何をやるかというと、日本国内のお客様に製品を使っていただいただき、その場に同席し、フィードバックや質問に答えつつ、VOC(Voice of Customer)や機能の改善要望、すなわち、顧客の声を集めていくというもの。そして、日本向けにプライオリタイズしていく。つまり「日本のお客様の声を本社に伝えていく」役割です。
そうして作られた製品や新しく出てくる製品のレディネスを整え、日本の営業やプリセールスの方に対して製品の価値を伝えて、日本のビジネスを成長させつつ顧客の成功を実現していく。これが日本のPMになります。

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PMになる前、技術営業をしていた時はSalesforceの製品を提案することで顧客の成功を支援する。すなわち、この二つの矢印のみに注力していました。並行して、自分の素晴らしいと思う製品について深掘りし、研究し、社内でアセットを共有し、展開していく活動をしていました。

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モチベーション

そんな中、PMになった私は、自分の好きで担当している製品の顧客の声を集めることで、もっともっと製品チームとつながり、製品を深く理解したり、製品の最新情報を手に入れるだけでなく、プロダクトマネジメント、Salesforceの開発というものを学びたい!と思っていたわけです。さらに、注力製品を市場展開の準備をし製品をローンチし、営業や技術営業に製品の価値を理解してもらうことで、製品と日本のビジネスを成長させたいと思っていました。自分でも新しい製品を顧客に説明し、価値を理解してもらいより良いフィードバックを集めていくことで、このサイクルを回していく。そうすることで、製品、顧客、プロダクトマネジメントを学びながらPMとして成長したいと思っていました。

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課題

面白いことに、本社のPMの中には、言語の壁で中々アプローチできない、日本のいち顧客の声に対して真摯に耳を傾けてくれるPMも多かったです。しかし、彼らが常に求めているのは日本の顧客がどう製品を使っているのか?です。それらの問いに対して、何をどう伝えれば良いかわかりませんでした。また対日本においては、本社から提供される製品の価値を中々理解してもらえず、自分がこれはものすごく素晴らしい製品で、本社としてもものすごく注力しているから日本でも注力すべきだと主張しても、あまり響いていない感じがしました。
日本の社員がそうであれば、対顧客に関しても同じです。顧客に製品を話した時に、一部の顧客からは「すごい良い製品だ!まさに今私たちが課題に抱えていることを解決できそう!」という声をもらうことありました。ここはさすがSalesforceの開発チーム、直接声を聞いていない日本の顧客にも刺さるような世界共通の製品を作っているなと感心しつつも、やはり多くの顧客に対しては、あまりうまく製品の価値が伝わっていない、疑問点が多そうだな、、と感じることが多かったんですね。
この図をよく見ると、自分起点での矢印に課題を感じていることがわかりました。

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ストーリーテリングの価値

どうにかしてうまくやりたいな、と考えていた時に行き着いたのストーリーテリングでした。機能ではなく、顧客が製品を使って何をしたいのか?製品を使用することでどう変わったのか?ということによりフォーカスしました。製品や機能を紹介するような箇条書きの長いパワーポイントをユーザーに見せると、脳の左部分(言葉を意味に変える言語処理の部分)だけが活性化されます。一方、ストーリーを語ると、言語、感情、視覚、感覚、運動など、脳全体が活性化されます。よりユーザー視点を保ち、顧客や営業の方々の記憶に残り、製品の価値を明確化できるようになったと感じました。

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どう変わったのか、ビジネス向けのノーコードプラットフォームで例にすると、これまでの機能フォーカスの私は、機能ばかり語っていたんですね。
そうではなく、顧客が製品を使いたいと思うことをベースにして、お客様の言葉で話すようにしました。すると、出だしから全く変わりました。顧客がどのようなことを達成したくて、何に葛藤しているのか?どうそこに製品の価値があるのかを話せるようになりました。

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このアプローチは顧客に製品を話す際にも、日本の社員に製品を話す時も、本社の開発チームに日本の顧客の製品の使い方を話す時も価値を発揮しました。すなわち、この中心からの矢印におけるコミュニケーションを促進し、各ステークホルダーとより強固な関係を作れるようになりました。

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その結果どうなるかというと、連鎖的に内側の矢印も強化されるわけです。すなわち、より良い情報とより良いフィードバックを得られるようになりました。そうすることで、より製品や顧客の理解につながりました。

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ストーリーボードはどう機能するか?

その時に活用したのがストーリーボードです。これに当てはめることで構造的なストーリーを語れます。詳細は下のスライドを確認ください。

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Why Storytelling

ここまで、私が何者で、どういうモチベーションで、何を課題に感じていて、ストーリーテリングでどう変わり、ストーリーボードはどう機能したのか?ということを話しました。ここからは、なぜストーリーが重要なのか?ということを話そうと思います。

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AppleとSamsungの関係を考えてみます。iPhoneよりもSamsungの方が高品質であることは、何百もの記事で紹介されていますが、実際には重要ではありません。もちろん、ユーザーが期待する基本的なスマートフォンの品質はありますが、その先にある真の差別化要因は感情です。アップルは、サムスンよりもはるかに強い感情的なつながりをお客様と共有しています。それは、サムスンが機能を宣伝するのに対し、アップルは感情を宣伝するからです。

次の広告を見てみましょう。この広告を見たお客様は、次のようなメッセージを受け取ります。サムスンを買えば、ウルトラ5Gが手に入る。なるほど、すごいですね。5Gが何なのかよくわからないけど、ウルトラだからいいに決まっている!!!でも、もしAppleを買ったら?私は映画監督になれる。落としても壊れない携帯を手に入れて安心して使える。Appleが自分の願望を後押ししてくれるので、顧客はインスピレーションを感じます。サムスンの広告では、スマートフォンが主人公であるのに対し、アップルの広告では、ユーザーが主人公です。

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ここからもわかるように、"顧客は製品を買っているのではなく、ストーリーを買っている"のです。顧客は製品が自分の現在のストーリーをどうよくしてくれるのか?ということを想像して製品を購入するわけです。また、ストーリーは、ユーザーと製品との関係だけでなく、ブランドそのものの印象を大きく変えていきます。

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ストーリーは顧客中心のイノベーションを促進し、プロダクト/ブランド/カルチャーの核となります。ストーリーが重要な理由を以下の四つに要素化しました。

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では、どうストーリーは生まれるのでしょう?イノベーションがこの三つの領域の交差点であることはよく言われます。ここで生まれるどんなイノベーションにもストーリーが存在します。

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人々はストーリーを見つけるために、様々な手法を取りますが、その一つが皆さんもよくご存知なデザイン思考です。製品を開発する時に、ソリューションからではなく、プロブレム起点で進めると思います。顧客と対話の対話と観察を通して、顧客が何に共感しているのか?本当に求めているものを洗い出し、そして、それらをヒントに潜在的な問題を定義していきます。ユーザーのニーズを定義できたところで、ブレーンストーミングなどの手法を用いて、それを解決するアイデアやアプローチ手法を話し合っていき、プロトタイプによってアイデアをテストしていきます。

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先程のダイヤモンドは一回では終わらず、何回も何回もイテレーションを回し、プロブレムスペースとソリューションスペースを行き来することでストーリーが生まれます。どんな種類のPMであれ、皆さんもこの中で顧客にとって価値のある製品を日々模索していると思います。こちらをストーリーという観点でもう一段階紐解いていきます。

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PMの仕事は、顧客が現在、何を思っていて、何を求めているのかをストーリーとして深く理解する、すなわち現在の顧客のストーリーを見つける”Story In”です。そして、さらにPMの醍醐味は、それらのストーリーを大きく変革し、新しい世界で顧客が生活する、すなわち新しいストーリーを語る”Story Out”です。これらの二つの種類のストーリーを一つに綺麗にまとめ、チーム、顧客、パートナーを魅了して動かしていくことがPMの腕の見せ所の一つではないかなと思います。

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しかし、ここで難しいのが、どうこれを語るかですよね。
「どこまでがStory InでどこからがStory Outか?」,「バランスの良いストーリーの構成は?」,「ソリューション、機能、課題など各要素をどの順番で話せば良いのか?」こういった疑問が生まれてくると思います。

そこで、先程のストーリーボードの出番になります。これを活用することで、顧客、インサイト、課題、提供する価値、どう機能するか、そのコンテクストをストーリーとして盛り込めます。

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さらにそれだけでなく、先程のボードにおいて上段が顧客の現在のストーリーである"Story in", 下段が顧客の新しいストーリーを語る"Story Out"に対応しています。そのため、このテンプレートに合わせるだけで皆さんが普段デザイン思考などのフレームワークで整理した各要素で構成される二種類のストーリーを一つにまとめ上げ、魅力的なひとまとまりのストーリーを語れる。これが明日から始めるストーリーテリングになります。

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いかがでしたでしょうか。今回私のnote構成もこのストーリーテリングの考え方を活用して作成したので、より皆さんの記憶に残るnoteになり、皆さんにもこのスキルを明日から活用したい!と思っていただければ嬉しいです。

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さいごに

今回私がこれを作成するにあたって参考にした資料はすべてこのNotionにまとめているので、ぜひご覧ください。今回のコンテンツはUC Berkeley Haasが提供しているPM Studioというプロダクトマネジメントのプログラムにおけるストーリーテリングのパートからもインサイトを得ています。個人的にこのコースはとても勉強になったのでおすすめします。

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質問やコメント、テンプレートを使ってみたいなどあればTwitterのDMやこのnoteへのコメントでご連絡ください!ぜひ皆さんも活用して様々な製品のストーリーを見てみたいので一緒にボードを作り上げていきましょう!

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最後まで読んでいただきありがとうございました。もし記事が参考になれば、Twitterのフォローとnoteのスキお願いします!

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