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最後の粉雪(2024.3.20)


今度こそ最後のパウダースノーになるのだろう。

積もりたてのきめ細かくなめらかな雪。

板が雪面をつるりと撫でる。

私の足の裏はそれらを繊細に感じ取る。

友人が口にする何気ないひと言の数々が、わたしの幸福を高めた。

「勿体無いからゆっくり滑ろうかな」

「スキーが喜んでる!」

「これはパウダーの赤ちゃんだな」

私たちのスキーは、先端から粉飛沫を舞い上げながら、斜度のないブナの林を走り抜けた。

冬に別れを告げる時がきたのだ。

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