鳥海山追憶① 2022.5.5
スタートから5時間
ついに新山に立った
これまで歩んできた長い年月が思い返されて
涙がとめどなく溢れ出た
ここは9年間かけて少しずつ登ってきた、私の人生のひとつのピークでもあった
そこに懸けていた思いは半端なものではない
それまで運動経験が全くなく
筋トレをするための筋力すらなかった私が初めて登山靴に足を通したのが9年前
その2年後にスキーを1から始めた
2度の闘病もあり、道のりは決して楽ではなかったけれど
それでも諦めずに頑張ってこれたのは
山とスキーが大好きだったからと言うしかない
いよいよだ
向かいの七高山の稜線に沢山のギャラリーが見えた
(下手な滑りを笑われるかもしれない)
そんな思いもよぎったけれど、すぐに払い退けた
友人が一気に滑り出す
私もすぐ後に続いた
酷いストップ雪でスムーズに板が滑っていかない
けれど大事なのは気持ちだ
絶対板についていく、強い気持ちだ
この一本に私のすべてを込めた
登り返した七高山から新山の白い壁を振り返った
そこには9年におよぶ私の戦いの跡が、たしかに刻まれていた