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池袋を歩くと高校時代を思い出して無性にベボベが聴きたくなる話

自分は埼玉に住みながら東京の高校に通っていた。

家族からも埼玉の近所の高校に行くなら東京でしっかり勉強したほうがいい、公立よりも私立の環境で勉強させたほうがいいと勧められていた。

母子家庭の家で私立に行かせるなんて英断だったと思う。そんなこともつゆ知らず、受験勉強せず(受験のテストは受けたけども)中学の成績と模試の結果だけで、高校に行けるなんてラッキーなんて甘い考えで、池袋にある高校へ進学を決めた。

毎日上福岡駅から東武東上線に乗り、急行で30分。準急に乗ったら40分かかるし、副都心線直通に乗っちゃったら、乗り換えないといけない。駅からも15分くらい歩くし、今思うとなかなか面倒くさい通学路で、学校へ足を運んでいた。

その中で、自分のイヤホンには毎日のようにBase Ball Bearが流れていた。正直、高校時代の思い出はあんまりない。楽しい思い出も苦しい思い出もそこまでない。部活もやっていなかったし、何かに必死になって打ち込んでいた訳でもない。たしかに勉強はかなりできたし(頭はよくない)、それなりの教養は身についたと思う。勉強して友達と話して勉強して昼ごはん食べて…の繰り返し。よく自分を戒めるようにベボベの『ダビングデイズ』を聴いていた。

高校時代は別にクラスの中心に立つ訳でもなく、だからといって隅のほうにいる訳でもない。ただ何かにカテゴライズされるのが嫌で、とにかくいろんな人と会話をした。この捻くれた性格が逆に人への興味や知的好奇心の成長につながっていたのかもしれない。

あとは校内で使っちゃいけない携帯を使いまくってバレたりとか学園祭で実行委員長やって変に張り切ったりとか、大学生になった知らない女の卒業生4人組が、みんな髪の毛を同じような茶色にして高校にやって来て、挨拶してくる後輩に先輩風吹かせているのを見て、あんな大学生だけにはなりたくないなと思ったとか。

思い返してみたら意外と覚えていることはいっぱいあるかも。あとは当時の担任の教師に将来についての個人面談で「顔が良いから芸能界に行くのはどうか」と検討された話は面白かったので、今でも話のネタにしている。当時は即断ったが、あれを本気でやりたいと答えたら、当時の教師はなんて反応していたのかは気になる。

そんな何もない生活も、今となっては貴重な思い出だし、池袋に来るとベボベを聴きたくなるのはそういった生活を思いふけりたくなるからだろう。きっともうあの高校に自分が足を踏み入れることはないと思うけど、あそこまで歩きながら聴いていたベボベたちは、何もない生活に彩りを与えてくれた。

高校の3年間でベボベが出した作品はそれなりにあった。『PERFECT BLUE』のシングルと『ファンファーレがきこえる』と『senkou_hanabi』の両A面シングル。RHYMESTERと歌っている『theCUT』と『二十九歳』のアルバム、そして『バンドBのベスト』というベストアルバムだ。ある意味この3年間のうちにベストアルバムを出してくれたおかげで高校3年間で、ベボベのほぼ全曲を聴いたかもしれない。特にシングルの曲や、ダビングデイズも入っている『新呼吸』のアルバムは散々聴いていたと思う。だから、今でも池袋に行くと『新呼吸』のアルバムを再生する。

この前、久しぶりに池袋を歩いた。いくつになってもベボベを聴きたくなるのは、高校時代を思い出したくなるからだと自覚した。当時、何もなかった自分に彩りを与えてくれたベボベ。あれから人数が減ったり色々変化があったし、自分も歳を重ねてたくさんの変化があった。ただ今でも変わらないことは自分がベボベが好きということ、今でも日常に彩りを与えてくれていること。目まぐるしく変わっていく毎日を生きている社会人の自分から、高校生の頃の自分に伝えたい。「ベボベは今でもお前の一番だぞ」と。

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