「やはり」
と思った。
吉祥寺駅北口のカフェに入ったとき、
かつて自分の喜怒哀楽を全て左右されるほど好きだったひとに似ている男性が窓際に座っていた。
心がざわめいた。
胸が高鳴った。
この感覚は、懐かしく狂おしい。
「やはり」
「いまでも」
容易に感情が当時によみがえる。
髪型やうなじのさま、
横顔までもが、似ていた。
「ああ、やはり、会いたいのだな」
思えば半年間、底に秘めていた想いが素直な形であらわれた。
スマートフォンを手に取る、
吉祥寺21:58。
『久しぶりに、』
ひさびさに開く懐かしい画面に指を走らせる。
22:00に、なる前に。
#吉祥寺 #昔の恋