グッドチームを考えてみる(その1)
大会上位を目指すこと!勝利にこだわること!が必要とされているのかを考えてみる
勝利至上主義から体罰・ハラスメントや、ケガ・故障、また早い段階でのバーンアウト(燃え尽き症候群)などの問題が取り上げられ、既存のジュニア指導方法のみならず、ジュニア育成の在り方について問われています。
自分達は総合型地域スポーツクラブ(以降、総合型クラブ)を通じ、スポーツの場づくりをしていますが、体罰などとは無縁です。ただそれは自分達の総合型クラブ活動が、大会上位を目指すという目標設定をそもそもしていないことや、習い事的なものが大半で指導者は仕事として携わり、サービスを提供する側と受ける側という関係が少なからずあるため、そのようなことが起きにくいという側面はあるかと思います。
そして上位を目指すことを目標設定したり、勝利にこだわるのが問題なのかというと、そうではないと思います。そこにいる子ども達の成長サポートに重きをおいて、その時期にやることとしてベストな選択肢だと考えられれば、勝利にこだわることや上位を目指しチャレンジすることもいいのではないかと思います。そこで大切なのは、それらが子ども達の成長過程の一つで、次の段階を子ども達自らが必要としているかだと思います。
頑張れないのならば楽しめばいい!という言葉
気になることとして『勝つことを目指す。そのために一生懸命頑張る』の対極(逆)として、『頑張らなくてもいいから、または頑張れないなら、楽しめばいい』という見方がされることです。現に自分達の総合型クラブは、後者の頑張れない子達が楽しむ場だと言われたこともありました。いわゆる精神論で考える既存ジュニアスポーツ育成からくる見方かと思います。意図的に渇をいれる言葉で使われたとしても、そういう言葉は、あまりに残念です。場の目的と子ども達の性格・志向のギャップから生まれやすいんだとは思いますが、子ども達のせいにしている感があり、指導者の指導力も疑ってしまいかねません。
またジュニアチームに携わる指導者から『上位で勝てる強いチームでなければ、新たな人は募集してもなかなか集まらないし、交流試合の相手もしてもらえない。強さに対して周りは評価する』と聞き、分からなくもないものの、違和感がありました。他の指導者も同様のことを言っており、おそらくそういう側面が大きいのが現状なんだと思います。
(総合型クラブの一環で活動する)自分達のミニバスチームがあるのですが、強いチームではないので、やはり練習試合相手が見つかりにくいのは実感しています。自分達のミニバスチームについて、少し触れれば、チームスポーツの楽しさを知ることを第一にして、さらにやりたいと思う子達は、中学生になってから、中学生クラブチームで一貫サポートしている活動です。ミニバス時期は週1~2回の活動で、試合も月1回程度ということもあり、その経験や習慣の違いから、他ミニバスチームと試合をしてもなかなか勝てません。なので、書いていることは弱いチームのひがみだと言われてしまえば、それまでかもしれませんが、それでも毎年6~10名の6年生を中心に20~30名が在籍し12年が経ちました。
グッドプレイヤー&グッドチーム!
自分達のミニバスチームは限られた活動時間のなかで、経験や練習量が倍以上違うような他チームとも好ゲームができるようにと、少ない時間で内容の濃く、効率的な練習をしようと頑張ってきましたが、結局は目指していたのは強いチーム・スキルの高いプレイヤーになっていくことには変わらず、かえって子ども達には負荷がかかることになっていたのではないかと思います(それでも子ども達はみんな頑張っており、多くは次のステージに進んでいます)。ただ本来ベースとなるはずの人間性の成長部分までサポートがもっとできたのではないかと感じています。
あらためて強いチーム・スキルの高いプレイヤーになる以前に、グッドプレイヤー・グッドチームを目指すことが、これからの時代のあるべき姿でもあり、メンバーの人間性(主体性、相互理解・コミュニケーション力)が成長していく場となり、そのうえで結果として強いチームとなっていけば、素晴らしいのではないかと思うようになりました。
強いチームは他者との比較で言われ、そこに行けるチームやコートにたてるプレイヤーは少ないものの(それゆえに価値があるとされるんだと思いますが)、グッドチームは自分達の成長の度合いでみることができるので、どのチームでも目指すことができ、また試合にあまり出ていないメンバーでもそれぞれが主役と考えることができます!
まだまだこれからの『グッドプレイヤー&グッドチーム』の取り組みではありますが、手探りで進めているところです。取り組みについてはまたの機会で書いていきたいと思います!
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