なぜ総合型地域スポーツクラブを立ち上げたのか?
既存(環境・仕組み)の限界!「仕方がない」を「仕方はある」に変えたい!
もともとは、IT企業の会社員として働き、週末は地域で市体育協会というスポーツ振興組織でボランティア的な活動をしたり、スポーツ(バスケットボール)交流を目的としたサークルを主催して過ごしていました。
交流サークルに親子で参加する小学生保護者からは勝利至上主義でないスポーツの楽しさや基本を教えてほしいという声があったり、中高生からは部活に入部したものの人間関係などで辞めてしまいやりたいたいけど場がない、そのほかにも、スポーツの場について問合せ相談を多く受けるようになりました。
既存ジュニアスポーツ団体関係者に、それらを相談すると「そこまでは手がまわらない」「そもそも頑張れない子達にも問題があるのでは?」といった具合だったため、それならば新たな場をつくれないかと思い、市体育協会の関係者に相談するも、「今は難しいのではないか」、「仕方がない」と話が進みませんでした。新しいことへの取り組みが消極的なことに関しては、地域スポーツ組織の閉塞感や、形骸化している雰囲気自体に問題があるのではないかと思い、ある日の市体育協会の理事会で、新たな地域スポーツの場づくりの考えを提案するも「若い人の考えは難しくてよく分からない」と言われる始末でした。
バスケ交流サークルなどのできることをしながらも、悶々とする日が続きましたが、ある時に「総合型地域スポーツクラブ」の存在を知り、新たなコミュニティづくり、そして仕組みとして活用することによってもたらされる可能性を感じます。
2004年(平成16年)に、旧上福岡市体育協会で検討委員会(旧大井町とふじみ野市としての合併・法人化・総合型クラブの3つがテーマ)が立ち上がったため検討委員として参加しました。しかし、内容のほとんどは体育協会の合併の際の新定款および体制づくりで、総合型クラブについては一度視察に行った程度だったため、総合型クラブについてはどうなるのかと聞くと、今アクションするのは難しく自立案件として、まずやってみてはどうかとのことでした。
こうなったら「総合型クラブを立ち上げ、仕方がないを仕方があるに変える」を自分でやってやる!(体育協会とは連携支援をお願いする)と、市体育協会とは別の自立した動きで、基本的にはゼロからのスタートでしたが、理念やビジョンに共感してくれた地域スポーツ関係者や交流サークルの有志、またラケットテニスなどのニュースポーツ普及を進めていたスポーツ推進委員の有志、埼玉ブロンコス(埼玉県のプロバスケチーム)との連携などにより、スポーツ体験交流イベントや講習会などをイベント開催。さらに地元ローカル紙に総合型クラブをテーマとしたコラムも連載するなどして、2009年(平成21年)3月8日、総合型地域スポーツクラブを正式設立しました。
総合型クラブ(総合型地域スポーツクラブ)とは?
総合型地域スポーツクラブについて改めてふれると、多種目、多世代が、自分にあった志向やレベルで参加することができる、地域の身近な場所にある公的なスポーツクラブです。スポーツが文化になっているドイツをはじめとしたヨーロッパにあるスポーツクラブに倣っている側面もあります。日本では1995年(平成7年)に開始され、日本スポーツ協会が事業の育成をサポートし、進められてきました。
総合型地域スポーツクラブを立ち上げる前に、既に設立している全国のいろんなクラブの事例を見て学びましたが、そのクラブのある地域性(山間部か、海周辺部か、ベッドタウンかなど)や、クラブの事情(サッカーがメイン種目か、シニア向けの健康づくりの種目中心かなど)によって、取り組む事業内容には違いがあり、いわゆる新たなコミュニティづくりをテーマにしているところは、どこのクラブも共通ながら、さらに進めることによってもたらせるものは、クラブによって違いがあることも知りました。
総合型地域スポーツクラブがどうあるべきかを考えながら、常にのぞむ!
「自分達の総合型クラブはどうあるべきか」は、クラブ正式設立準備期間中の2年間は、かなり考えました。当初は前例がないことだけに、総合型地域スポーツクラブとは何なのかを地域に浸透させていくのが大変難しかったのはもちろん、スタッフ自体もよくわからない中で、まずはやってみようのスタンスで進めていきました。その頃に何度か受講したクラブマネジャー講習会の中において、先進クラブ(先進的な活動実績があるクラブ)運営者から話をきくケーススタディがあり、地域づくり(今でいうコミュニティデザイン的な観点)に精通されている方がいらっしゃって大きな刺激を受けました。そして生業(仕事)として、専従でのぞむことを決心することになりました。12年目となる今も、参加する人達やクラブを支えてくれる人達と対話しながら「自分達の総合型クラブは何なのか(どうあるべきか)」を常に問うようにしています。
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