センティウ Googleマップに出ない秘密のレストラン?!迷って知った温かいもてなしとは?
なぜかGoogleマップが間違っていたレストランがありました。
鹿児島県鹿屋市新川町587番地のGoogleマップに従ってタクシーの運転手さんに行ってもらったところは、近郊の何もない住宅地。それらしきレストランが見当たりません。Googleマップにも載っていない秘密のレストランなのでしょうか?そのお店の実体は?
お店に電話したところ、女性が出て「正しい場所は鹿屋商工会議所近くの川のそば」とのことです。??確かに商工会議所はありましたが、お店はわかりません。近くのラーメン屋辺りから再度連絡すると、「私が見えますか~~??」とその女性は言います。
遠くの方で両手を振る女の人がいました。それこそお店のマダムだったのです。近付いて行くと、両手で思い切り手を振ってくれるのが見えます。「あ、見えたーー!!」お互いに姿が見えるのに電話し続けています。携帯で大笑いしながら、車は無事お店に到着。
ちなみに間違っていたのはGoogleマップだけで、食べログの地図は正しかったのです。(ちなみに現在はGoogleマップも訂正され正しい場所になっています)
なんだか盛大な楽しい出迎えを受け、皆が笑顔でお店に入ったのです。話を聞くと、2年ちょっと前にここに移った際、番地がないので好きな番地を選べと言われて選んだけれど、それがGoogleには伝わっていなかったそう。
何はともあれ、霧島温泉の滞在先から約2時間、延々と走った末にたどり着いてよかった!!
「センティウ」のオーナーシェフ内田康彦氏は奥様であるマダムと2人でこのお店を切り盛りされています。
坂の上で7年、今の場所に移って2年ちょっとだそうです。シェフは佐賀県の出身ですが、マダムは地元の方だとか。ちょっとユニークな店名は、SENTIは感じ取る、聞いてほしいのような意味で、Uは内田さんの頭文字という造語だそうです。
12時からのランチは7000円のコースを頂きました。約8皿の充実した内容でした。
まず最初に出たのが、冬瓜とシャインマスカット、アオリイカのお皿。見るからに清々しい透明感にあふれたお皿です。味の方もさっぱりしてまろやかで、作り手の優しさが滲みでてくるような感じです。
次が甘鯛の鱗焼きです。カリカリで身はほっくり柔らかく、モロヘイヤや島ラッキョウなどを合わせているのも絶妙です。
黒鮑は柔らかく、肝の苦みと里芋のピューレ、カラス貝の出汁で旨味が引き立っています。上に載せたそうめん南瓜のシャキシャキした食感もいいのです。
シェフのセンスの良さはすべてのお皿に現れています。食材の合わせ方が素晴らしく、引き出しの多さに感心します。
次のお皿は生ウニと海老。黒ニンニクを使っています。ツルムラサキや桜島の海のヒジキも。
リゾットは蓮芋の茎を使ってさっぱりした味わい。青唐辛子でほんのりピリ辛に仕上げ、上には柔らかい鶏肉を添えてあります。
お皿は次々に出ますが、少しずつなのでどんどん食べられます。
パスタの2皿目はリングイネです。青カニの身が入っていて、おか海苔のペーストとそのままを使っています。素直に美味しい。
メインのお肉は黒毛和牛のもも肉。これはしっかり噛み応えがありました。私には少し筋が感じられ噛み切りにくかったのが残念。竹の子、むかご、銀杏、白茄子の皮を炙ってペーストにした黒いソースの味は良かったです。
デザートの生の落花生のパンナコッタと新生姜のジェラートも、爽やかな取り合わせで、最後まで飽きることがなかったです。
これほど素晴らしい料理だったら、東京でも間違いなく人気店になるはずです。辺鄙な場所にあるなんてもったいない!
そう思いがちですが、こういう場所にあるからこそできるローカルガストロノミーを追求していってほしいとも思い直しました。みんなではるばる訪れる楽しみができますから。
お店を出て帰る際も、シェフとマダムは行きと同様大きく両手を振りながら、見えなくなるまで見送ってくれました。
優しくて美味しい料理と、お二人の優しいおもてなしの心。両方もらって幸せな午後でした。
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