3月31日(木):「専門化」と「スペシャリスト」
先週の日経MJにはドン・キホーテを経営するパン・パシフィック・インターナショナルホールディングスでの新たな展開に触れた記事がありました。
同記事で取り上げていたのはドン・キホーテの新業態として、カテゴリーに特化した専門店を立ち上げる動きです。
具体的には「お菓子ドンキ」や「お酒ドンキ」、「コスメドンキ」といったラインナップで展開を始めています。
例えばお菓子ドンキなら数十円の昔ながらの駄菓子をはじめ海外から輸入したチョコレートなど幅広いお菓子を多数そろえ、お酒ドンキでは約1,200品目の酒類を取り扱うほか、遊び心を交えた高級ウイスキーが当たる「ウイスキーガチャ」のコーナーを設けるといった具合です。
専門店化によって各カテゴリーでのディープな世界観を演出しつつ、店内はいずれも所狭しと並ぶ商品陳列や色鮮やかなPOPでの商品の紹介など、ドンキらしさが踏襲されているみたいですね。
今回のドンキは総合型から専門店化への流れで、これ自体はマーケティングにおける常套手段である「細分化」のアプローチだと言えます。
そんな動きを本日は少し違った視点から見てみます。
というのもつい先日までは生物の生存戦略に触れていたので、その文脈で捉えてみることにしました。
生物でいえば「総合型=ゼネラリスト(広範な環境で暮らすことができる)」、「専門店=スペシャリスト(特定の環境を得意とする)」に置き換えることができます。
書籍「38億年の生命史に学ぶ生存戦略」によれば、まず生物の世界ではゼネラリストよりも圧倒的にスペシャリストのほうが数は多いみたいですね。
ただ、これらは単純な優劣ということではなくどちらにも存在価値があるなか、環境におけるトレードオフの度合いによって左右される面が大きいといいます。
やはり、ある環境で有利になることは別な環境では不利になることを意味するので、トレードオフのオフの関係が強いほどスペシャリストになる必要性が高まり、それとは反対にトレードオフの関係が弱いとゼネラリストが有利になるということでした。
ドンキでいえば今回のコロナによって主要な顧客層でもあった訪日客を失ったし、コンビニなどと同様に都心部の店舗ほど自粛やテレワーク等により、利用者・売上の回復が鈍くなっています。
そうした従来との大きな環境変化、営業上の制約が生じた状況を踏まえると、現在の状況に適応するべくその環境での優位性をつくろうとした結果がゼネラリストからスペシャリストへ、という生物上の変化にも合致して見えます。
従来のマーケティングとは違った生態学から見ても、今回のドンキのアプローチに対する妥当性が掴めて自分のなかではこれまで以上に腹落ちした感はありましたね。
物事を多面的に捉えるのは大事なことで私たちに置き換えれば、フィットネスしか知らないものはフィットネスすら知りえない、ということを改めて分かった気がします。
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