「アバター近藤が解説する業界史~逆タイムマシン経営論888」
皆さん こんにちは アバター近藤です。
「逆タイムマシン経営論」として、業界唯一の経営情報誌であるフィットネスビジネス誌のバックナンバーを引用しながら、それぞれの年のトピックスや記事について、示唆することは何かをアバター近藤なりに解説していきます。
「歴史に学ぶ」とは良く使われる言葉ではありますが、フィットネス業界史について、詳細に検証した文献は恐らくないと思いますので、これから良い歴史を作るために何かしらのお役立てになれば大変うれしく思います。
~Fitness Business通巻第45号(2009.11.25発行)「真のサービスとは(商業アドバイザー・小柳剛照)」1~※名称等は当時、一部文章省略
サービス業には、実に多種多様な業種があります。
その中で、どの地域にも絶対欠かすことができないサービス業といえば、「自治体」でしょう。
特に住民の生活に直接関わる市町村の業務には、奉仕の精神をもって臨むことが、公務員一人ひとりに求められます。
昔は「お役所仕事」という言葉に象徴されるように、自治体は仕事が遅く、そのやり方も不親切、というイメージが強くありました。
しかし、民間とのサービスレベルの差が、住民の目からもチェックされるようになってきたため、自治体にも意識改革が次第に進んできたように感じられます。
そして、そういう自治体サービスの変革を象徴する活動といえば、千葉県松戸市役所が始めた「すぐやる課」が挙げられるでしょう。
誕生したのは今から40年前の1969年。
「すぐやらなければならないもので、すぐやり得るものは、すぐにやります」をモットーに、設立されたものです。
民間視点での自治体サービス
当時の松戸市長は、松本清氏。
そう、ドラッグストア「マツモトキヨシ」の創業者です。
松本氏は市長になり、住民サービスにスピードを取り入れるのは当然と考え、「すぐやる課」設立に至ったのです。
「すぐやる課」は住民からの要望があれば、すぐに駆けつけて、課題を解決します。
その業務内容は、実に多岐に渡ります。
スズメバチの巣の駆除から、マンホールの蓋に挟まった雀の救出まで。
しかし、それらに速やかに応えることで、すぐやる課の評価は高まっていきました。
松戸市の「すぐやる課」は、平成20年度は3676件の相談に対応し、発足当初からの累計相談数は、12万件を超えるという実績を築いています。
それを真似して、全国各地の自治体にも「すぐやる課」が誕生しました。
でも、それらのほとんどは、いつの間にか消えていきました。
松戸市は継続しているのに、多くの市町村が挫折した理由。
それは、システムの違いにありそうです。
一般的に、市町村の「課」は、上部に「部」や「局」があり、業務にあたるときは決済を得ることになります。
重要な案件ともなると、決済が何段階も必要になる、ということがありがちです。
ということは、上司がいない時に相談の電話を受けた場合、上司が帰ってくるまでは、対応できないことになります。
「すぐやる課」が、「すぐやる」体制でなければ、必要とされるサービスに応えられないのは当然でしょう。
それに対し、松戸市の「すぐやる課」は、市長直属の組織としてスタート。
だから、担当者の判断で、自由に動けるのです。
そこが、サービス能力を発揮できるかどうかの、分水嶺だったのでしょう。
~ここまで~
アバター近藤は、千葉県出身のため、「マツモトキヨシ」創業者が、松戸市長となり、「すぐやる課」を設立したという歴史を以前から知っておりました。
ネーミングといい、設立目的といい、さすが斬新なアイデアだと思った記憶があります。
そしてさらに本記事にて、市長直轄の組織であったことで、実行力が他の真似した自治体と明確な違いが出たことを知りました。
これは自身の業務を振り返っても分かることで、大手クラブ企業に勤務していた時代は、緊急の修繕をするに当たっても、いくつもの決裁印が必要で、実行までに数ヶ月かかるなんてこともありました。
それが現在は、小所帯ということもありますが、組織構造がフラットかつ、確認も代表伊藤さんに取れば良いだけなので、スピード感には雲泥の差があります。
もちろん金額が高い決裁には、慎重を期すべきものの、結局、何段階あろうとも、必ずしも精度が上がるわけではありませんので、単なる時間のロスであることが多いと個人的には実感しております。
お読みいただきありがとうございました。