10月2日(日):認知症薬と健康習慣
先般には製薬会社のエーザイが米製薬会社のバイオジェンと共同開発するアルツハイマー病治療薬「レカネマブ」について、治験での有効性が確認できた旨の発表がありました。
同薬の作用としては認知症に至る原因物質とも言われ、脳内に蓄積するアミロイドβを除去して神経細胞の破壊を防ぐアプローチで、治験の結果としてレカネマブはプラセボと比較して臨床症状の悪化を27%抑制する、とのことです。
日本では人口に占める65歳以上の高齢者比率が29.1%を超えて既に超高齢社会に突入していて、2025年には高齢者の5人に1人が認知症になる懸念が示されています。
もちろん、認知症は日本国内だけに限った話ではなく、世界の他の先進国にも共通する社会的な課題です。
そうした背景があるだけに今回のように一定の有効性が認められる治療薬が出てきたことは、健康寿命を引き上げていく意味でも重要だと思います。
ただ、先のレカネマブにしても症状の悪化を27%抑制するだけであって、進行を遅らせることはできたとしても、それを完全にクリアできるようなシロモノではありません。
エーザイのCEOは「画期的」と表現をしていましたが、それはこれまでの治療薬などとの比較であって、状況を劇的に変えられるかといえば、それは違うと思います。
また実際に販売する段階で薬価がどうなるか次第ではありますが、社会的課題になっていく認知症を薬に頼るだけでは医療費の増加にも歯止めがかかりません。
それよりも、もっと有効で建設的なのは、それ以前の日常の習慣を変えていくことです。
運動の習慣化、適切な食事と睡眠、そして社会参加、これらの認知症の予防効果が高いことは既に実証されています。
そして図らずも新型コロナによる活動量の低下や人との関わりが途絶えることで、認知機能の低下に拍車がかかってしまった事実もありました。
それらをふまえれば日頃の健康習慣を整えることが、もっとも建設的で天然の認知症薬だろうと思っています。
今回の認知症薬の報を見て、改めて私たちフィットネスクラブ、トレーナーが果たしていくべき役割のひとつであるとの認識を強めた次第です。
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