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8月28日(水):町内会から考えるコミュニティ①

このところはシニア男性向けコミュニティである「メンズ・シェッド」や、温浴施設を住民の憩いの場としている青森県むつ市脇野沢の「コミュニティセントー脇野沢温泉」のことなどを取り上げてきました。


その流れで本日もコミュニティに関連した話をもう少しばかり。

先般に数日間にわたって記載をしたオーバーツーリズムの問題を解消するにも、地域の共同体における「自治力」がその鍵を握る旨を記しました。

こうした地域の自治を担うのは自治会や町内会だったりするわけですが、昨今は自治会への加入率が低かったり、学校ではPTA不要論なども出ているので、改めて自治会・町内会の意義や役割について考えてみようと思います。

そこで手に取ってみたのが書籍「町内会 ーコミュニティからみる日本近代」(玉野和志著)です。

書籍では自治会・町内会の現状に触れつつ、改めてこれらの組織の成り立ちを振り返りながら、機能や性質といったものの説明などがなされていて、理解を深める助けになりました。

同書内では町内会の機能論として次のようなものに触れており、このあたりは自分の感覚としてもしっくりくるものです。

1、親睦機能
(運動会・祭礼・慶弔)

2、共同防衛機能
(防火・防犯・清掃など)

3、環境整備機能
(下水・街灯・道路の管理・維持)

4、行政補完機能
(行政連絡伝達・募金協力など)

5、圧力団体機能
(陳情・要望)

6、町内の統合・調整機能

町内会・自治会の機能としてはこのような類である一方、同書はこれらの組織が誰でも入れる、もしくは全戸加入といった性質をもった(現在は任意加入)理由として聚落社会の2つの基本的機能にフォーカスをしています。

それは「生活協力」と「共同防衛」です。

人々が比較的近接して集住する理由のひとつは互いに生活上の協力関係を結ぶ意図です。

これは我々人間が一人では生きていけないので、他人と協力しながら生活をする必要があり、それが前者の生活協力の機能になります。

続いて後者は、そこにいる人々が安心して生活協力の機能を営むために、災害や外敵の侵入、内的な秩序破壊に対して備える必要があり、それが共同防衛の機能だとの説明です。

この点は以前に取り上げた野沢温泉村の自治に照らし合わせると非常に合点がいきます。

息子が野沢組の惣代に伺ってきた話では、このような強い結びつきになっている背景として、その地域が置かれている環境への厳しさがあげられていました。

冬になれば2メートル近くも雪が積もり、風邪をひいてしまえばそれだけで難儀になるからこそ助け合いが前提になっており、生活協力の機能を果たしているのがわかります。

また野沢温泉村には温泉の源泉や自然など、村の共有財として皆で守っていくべき対象があるから、共同防衛の観点も色濃く含まれています。

野沢組が江戸時代か現在にいたるまで存続し、いまなお地域の共同体として機能し続けているのは、原理的に必要な要素を満たしているからだと思います。

そこから考えていくと前述した2点が基本機能であることは頷けますね。

明日も関連の話を続ける予定です。

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