8月30日(金):町内会から考えるコミュニティ③
先般にシニア男性向けコミュニティである「メンズ・シェッド」や、温浴施設を住民の憩いの場としている青森県むつ市脇野沢の「コミュニティセントー脇野沢温泉」のことなどを取り上げた流れで一昨日からは自治会・町内会を切り口にコミュニティを捉えていますが、本日もその続きをもう少しばかり。
今回は書籍「町内会 ーコミュニティからみる日本近代」(玉野和志著)を手に取ってみたことで、自治会・町内会組織の成り立ちや機能といったものを改めて考えるきっかけになりましたね。
一昨日は同書の内容をもとに町内会の機能にフォーカスをし、聚落社会の2つの基本的機能である「生活協力」と「共同防衛」のことに触れ、昨日は共同防衛の対象が現在では少しずつ移り変わりつつあるものの、そこが普遍であることも再確認ができました。
一方、書籍の冒頭で触れていたことは、地域に共助の関係をもたらすのは必ずしも自治会・町内会だけではないし、それらを一手に引き受ける必要もない点です。
というのも阪神大震災の際には実質的に「きずな」を維持していた町内会は頼りになった反面、まったく当てにならなかった町内会もあったといいます。
だから自治会・町内会だけにソーシャルキャピタル(社会関係資本)の形成を求める必要はなく、場合によってはごく普通の近所づきあいやママ友、趣味やスポーツのサークル、NPO団体などのつながりが、より有効に機能する面もあるとしています。
そのため地域のつながりは自治会・町内会だけに依存せず、より多様なつながりを形成し、それを維持していくことだと思います。
私たちはスクール制小型フィットネスクラブを運営する民間企業ですが、ここは私たちなりの地域への関与の仕方があって良いわけですね。
地域のなかに無数に張り巡らされるつながりの糸があるのだとしたら、その1本を担ったり、新たなつながりが生まれるハブの役割を果たしていけば、との考え方です。
フィットネスクラブはリアルな店舗を構えているから店舗周辺に居住されている方を中心に、かつ健康維持を念頭に置いた共通のライフスタイルをお持ちの方が集っています。
さらに週に1〜2回の頻度で来館され、定期的に顔を合わせる関係性でもあります。
とりわけ私たちのクラブは、あらかじめ通う曜日と時間を決めてもらうスクール制だから、一般的なフィットネスクラブ以上にお客様同士の関係性が深まりやすいのが特徴です。
昨日は共同防衛の対象が人との接点、つながりを含めた社会的健康にまで広がっているのではないか、と触れましたが、運動による身体的健康だけでなく、ソーシャルキャピタルにも寄与できる場であるのは確かです。
今後も自分たちなりのコミュニティへの貢献を模索していきたいと思っています。