11月8日(火):ハンディキャップの越え方
昨日は「シニアコミュニティの入口になる『文化的処方』」から派生して、年齢や体力差をこえて一緒に身体を動かしながら楽しめる「ゆるスポーツ」に触れましたが、これに関連した話をもう少しばかり。
昨日も少し記載をしましたが、先月末には日経新聞で「高校生向け特別版」が発行されており、そこでは「マイノリティー」というキーワードから、運動の得意不得意や障害の有無などのハンディキャップにかかわらず、誰しもが楽しめるという観点で「ゆるスポーツ」を取り上げていました。
そこでピックアップされていたのは「ハンドソープボール」や「500歩サッカー」でしたが、本日はこれらをもう少し詳しく見ていこうと思います。
前述した「ゆるスポーツ」の概要は以下のようになっています。
●ハンドソープボール
こちらのベースになっているスポーツはハンドボールで、基本的には同様なルールが適用されます。
ただ、決定的に異なるのは滑りやすいように調合されたハンドソープをプレイヤーの手にも、ボールにも、それを塗りたくってプレーをします。
それによってパス回しひとつでもボールを「投げる」「キャッチする」という基本のハードルが上がり、展開も緩やかでコミカルな場面が増えることは想像ができます。
従来スポーツをベースにしつつも、「ボールを滑りやすくする」というアレンジを加えただけで一気に従来と異なる様相を呈する点が面白いですね。
●500歩サッカー
500歩サッカーはフットサルをベースにしていますが、名前の通りプレイヤーの全員が「500歩」しか動くことができないルールになっています。
すべてのプレイヤーはスマホのような「500歩サッカーデバイス」を装着してプレーを行い、1歩動くごとに歩数が減るのはもちろんのこと、走ると一気に歩数が5歩や10歩減って、残り0歩になった時点で退場になってしまいます。
ただし、その場で休憩していると歩数が回復していく仕組みになっていて、無理に走らずに休みながらプレーすることが肝になる斬新なルールです。
これにより体力に自信がない人も、また病気などで走ることができない人でも、一緒に皆とサッカーができる楽しさがあります。
昨日も触れましたが、これら「ゆるスポーツ」の特徴は従来のスポーツに新たな「道具」や「ルール」を加えることで以下のような点を満たしていることです。
・プレイヤー間の体力格差を小さくする、無くす
・プレイヤー間の技術格差を小さくする、無くす
・アミューズメントの要素を強めている
こうしたコンセプトやルール設計をするにあたって、同記事では「ゆるスポーツ」を推進してきた方のコメントも出ていましたが、そこで挙げられていた観点は「弱み」にフォーカスすること、「弱さを社会に生かす」ことでした。
先の500歩サッカーであれば、「走れない」というハンディキャップがあるならば、むしろ「走らないほうが有利(強い)」といった具合に前提条件をひっくり返している通りです。
「弱さ」とか「苦手」というのは、ある一定のルール、条件下でのそれであって絶対的に固定されたものではありません。
もともとの前提条件であるルールをひっくり返してしまえば、「弱さ」は「強さ」に、「苦手」は「得意」に置き換わったりします。
そうした妙があるところに「ゆるスポーツ」の面白さがあるように感じます。
年代や性別、ハンディキャップを超えたコミュニティをつくっていくには、そうした観点、発想をもっていくのが大事なのだと感じた次第です。
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