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「アバター近藤が解説する業界史~逆タイムマシン経営論803」
皆さん こんにちは アバター近藤です。
「逆タイムマシン経営論」として、業界唯一の経営情報誌であるフィットネスビジネス誌のバックナンバーを引用しながら、それぞれの年のトピックスや記事について、示唆することは何かをアバター近藤なりに解説していきます。
「歴史に学ぶ」とは良く使われる言葉ではありますが、フィットネス業界史について、詳細に検証した文献は恐らくないと思いますので、これから良い歴史を作るために何かしらのお役立てになれば大変うれしく思います。
~Fitness Business通巻第36号(2008.5.25発行)「独立系クラブが成功するために必要なことーMAC CEOティム・ロード氏に聞く」7~※名称等は当時、一部文章省略
ー日本でもこうした低価格のクラブは成り立つと思いますか?若年層だけをターゲットにした業態は成り立つでしょうか?
ティム:若年層を対象にした低価格クラブは成り立つでしょう。
社会的には低価格クラブも必要とされていると思います。
こうしたジムやクラブがターゲットしている層は、アクティブ寄りの1/3の層です。
私どもは真ん中にターゲットしています。
ー総合クラブが月会費を200~300円ほど値上げをすることについてはどう思いますか?
ティム:良いことだと思いますが、その根拠をかたちで示し、価値を感じてもらわなければなりません。
先ほど話しましたように、MACもどんどん価値を上げています。
MAC以前に私がマネジメントしたクラブでも同じことをしました。
86年に私がマネジャーに就いた時は、月会費3000円のクラブでしたが、その後、4年間で7900円まで上げました。
こうしたことをすることは決して簡単なことではありません。
価格を上げるにはクラブにまず再投資してその価値を評価してもらう必要があるからです。
例えば、私はプールを付帯して1000円の値上げをしました。
別の時にはマシンを増設したり、ライフスタイルセンターを付設するなどして値上げをしました。
やがて値上げをして集客が進まなくなるタイミングが来ますが、その時から私たちは会員定着志向の経営をすることに切り替えました。
定着を良くすることで、在籍会員数を増やしていったのです。
そうすることで私どもは会費を2倍にしながらも、会員数も2倍にすることができたのです。
MACはもうしばらくしたら、わずかですがまた値上げをして月会費を10000円台に乗せます。
今までタオルサービスをしていなかったのですが、会費の中でそれをすることにするのです。
ボルチモアエリアでは、初めて月会費が10000円を超えるクラブになります。
ー利益の推移はどうなりますか?
ティム:MACは売上高と同期するように利益率も上がってきています。
利益率は当初の15%から現在18%になっています。
リノベーションを実施したその年の利益率は一時的に下がりますが、ロングレンジでみると右肩上がりになっています。
毎年のようにリノベーションをしていることで、あのクラブは年々良くなっているねという評判が広がります。
ー長時間、ありがとうございます。
~ここまで~
ここ数年の様々な要因による運営費用の増加に対し、多くのクラブは一度ならず二度、三度値上げに踏み切りました。
「水道光熱費の上昇に…」と言った文言で、一度目は「まあ、このご時世だからしょうがないね」と許容して下さったお客さまも二度、三度となれば、さすがに自身の生活費も上昇している中、通い続けることに意義を見出せなくなることは間違いありません。
「価格を上げるにはクラブにまず再投資して、その価値を評価してもらう必要がある」というは、至極真っ当な指摘であり、それをせずして、一時的に売上増になっても、間もなく顧客離れが進み、新規集客減、退会増と経営状態が悪化することは当然に考えられるシナリオであると言えるでしょう。
お読みいただきありがとうございました。
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