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「アバター近藤が解説する業界史~逆タイムマシン経営論608」

皆さん こんにちは アバター近藤です。
「逆タイムマシン経営論」として、業界唯一の経営情報誌であるフィットネスビジネス誌のバックナンバーを引用しながら、それぞれの年のトピックスや記事について、示唆することは何かをアバター近藤なりに解説していきます。
「歴史に学ぶ」とは良く使われる言葉ではありますが、フィットネス業界史について、詳細に検証した文献は恐らくないと思いますので、これから良い歴史を作るために何かしらのお役立てになれば大変うれしく思います。

~Fitness Business通巻第18号(2005.5.25発行)「回り道戦略(商業アドバイザー・小柳剛照」1~※名称等は当時、一部文章省略

ほとんどのクラブでは、インターネットのホームページを開設されておられるでしょう。
たぶん何れも専門会社に依頼されて、洗練されたデザインの、美しいホームページを作られていることと思います。

では、定期的なメールマガジンの発行はどうでしょうか。
たぶん、ほとんど実行されていないでしょう。
確かにクラブの行うサービスは、あくまでもお客さまが足を運んでくれることを前提にしています。
全国の不特定多数の消費者に向けて発信するメールマガジンなどが、クラブの業績アップに直接貢献してくれるとは思えないでしょう。

でもお客さまの側は、そうではないかもしれません。
例えばそれが体力づくりにとても役立つ内容なら、遠方に住むそのメルマガの愛読者はどうでしょう。
あなたのクラブの近くに、その人の知人が住んでいたとすれば、「お宅の近くにはとてもいいクラブがあっていいね」とたぶんメールするのではないでしょうか。
クラブからの勧誘と、知人からのお薦め。
どちらが心を動かすかは明白です。
だから回り道のように見えるサービスが、経営を活性化する意外な戦略になるかもしれないのです。

ケーキを売る魚屋
「名代釜庄楽天市場店」(福島県いわき市)は、楽天市場のフードグルメ部門で、2004年のショップ・オブ・ジ・イヤーを受賞した魚介類販売業者です。
全国から一日千件の注文や問い合わせが殺到する人気店。
いまでこそ本業の魚介類も快調に売上を伸ばしていますが、業績を急激に伸ばすきっかけとなったのは、本業とは関係ない、チーズケーキの販売でした。

名代釜庄の楽天への出店は2000年。
当初は干物などを並べましたが、ほとんど売れませんでした。
そこでカニ、イクラ、ウニなどの海産物の代表を投入。
それによって売上が取れるようになりました。

しかしそれだけだったなら、平凡なネット魚屋のままだったでしょう。
名代釜庄は、地元で幻のチーズケーキと言われる「アリス」を説得し、販売権の獲得に成功しました。
2分で完売するケーキは爆発的な人気を呼び、併せて本業の魚介類の方も、売れ行きをぐんぐん伸ばすようになりました。

魚介類販売業者がチーズケーキを売るのは、ミスマッチにも思えます。
でもケーキ目的であっても、ホームページを訪れた人は、新鮮なイクラやマグロの写真が目に飛び込んでくれば、「ついで買い」をしたくなるでしょう。
このように異業種の商品の販売が、回り回って自社の業績向上に繋がることもあるものです。

~ここまで~

記載の通り、フィットネス企業は直接、お客さまへサービスを提供することがメインの業種のため、回り道という考え方はこれまでしてこなかったと言えます。

ただ、今回のパンデミックでは、直接の顧客接点を作るのが難しくなったり、業種として忌避されやすかったこともあり、本業が傷ついたこともまた事実です。

ある業界企業は、ホームフィットネス事業があったことで、クラブ事業の損失を埋められた事例もあり、頭の片隅にはこのような視点を備えていくこともVUCAの時代には必要ではないかと感じた次第です。

お読みいただきありがとうございました。

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