1月11日(火):入居時のネックを解消
先日の日経産業新聞における「ザ・チーム」のコーナーで取り上げられていたのは不動産賃貸仲介のハウスコムでした。
内容は入居時の敷金などの初期費用の支払い方法を入居者が自由に選べるサービス「スマートレント」を始めた旨を報じています。
同サービスを始めることになった発端は「車の購入時はローンで分割払いできるのに、なぜ賃貸住宅の初期費用だけは一括払いだけなのか」、といった素朴な疑問から生まれたと言います。
入居時の初期費用は敷金や礼金、仲介手数料までを含めると家賃の4~5ヶ月分になるのが一般的ではあるから、初期費用としてまとまったお金が出ていく点は転居者にとってのひとつのネックではあるでしょう。
私も社会人になってから7~8回は転居をしているから、こうした点の煩わしさをはじめ、できることなら初期費用を抑えたい気持ちは十分に理解できます。
加えて最近は転居における運送費用(引越し会社への費用)がかつてよりも値上がりしていることもあって、転居全体における総額が高くなっているから尚更ですね。
今回の新サービスでいえば家賃を自由にデザインでき、初期費用をゼロに設定して、その分を家賃に上乗せして少しずつ負担していく形が可能になっています。
一方、初期費用をゼロにすることは貸主にとっての賃料滞納のリスクが高まるため、このサービスでは入居者の契約時にハウスコムが借り上げ、入居者に転貸するサブリースの形態がとられています。
新サービスはハウスコム約180店舗のうちの10店舗から限定的にスタートし、徐々に導入店舗を増やしていくなかで、問い合わせも右肩上がりで増えてきた経緯が記載されていました。
引き合いが増えている状況を見れば、本サービスが潜在的なニーズを捉えていたことは明確でしょう。
やはり日常のなかにある「不便さ」や「不満」、「不可思議」なこと、そうしたところに顧客創造につながる萌芽がありますね。
改めて日常にある「なんでだろう」という素朴な疑問、それを大切に拾い上げていくことが大事だと思います。
前述した形でユーザーの潜在的なニーズを捉え、新たな顧客創造をしている一方で、この新サービスの参入障壁はそこまで高くなく、模倣可能な点は否めないでしょうか。
転居における初期の費用負担のネックに対して、課金・支払形態の仕組み変更での対応であるからです。
先駆者としての認知度はあるだろうけれども、他社も追随が可能な分だけ持続的な競争優位を担保するほどではないかもしれません。
明日も関連の話を続けようと思います。