7月22日(土):入居待ちが2,800人もいるミュージション
先般の日経MJではミュージションを取り上げた記事がありました。
ミュージションとは自室で大音量の演奏も可能な防音性の高いマンションのことで、リブランが手掛けるシリーズです。
同社では全部で30棟、計727室あるそうですが、記事を見て驚いたのは入居待ちをしている人が2,800人もいることです。
極めて高い防音性の施工をしていることもあって家賃は周辺相場の3割増ながら、それでもこれだけの入居待ちになっているのはすごいと思います。
これまでに同社が建築して供給している全戸数よりも4倍近い入居待ちですから、それだけのニーズがあり、なおかつ需給ギャップがあったことを示しています。
こうしたマンションに入居する方はこれまでお互い様物件と呼ばれ、似たような背景を持つ人同士が住んで、大きな音を出しても互いの状況に干渉せず、それを許容するような形だったようですが、それでもいろいろな難しさはあるのでしょうね。
このミュージションの入居者は音楽関連の方に留まらず、ゲーム実況の配信をするYouTuberなど、その背景は様々です。
とりわけ、コロナ禍以降でこうした需要が広がったとのことでした。
リモートワークのような変化をはじめ、多くのことがオンラインで提供されるようになった点や、それに伴って在宅時間が長くなったことなどがそれを後押ししているようですね。
ライフスタイルの変化は様々なところで起きており、それによって新たな需要が生起していますが、こうした部分にもそれが現れているのが見て取れます。
とはいえ一番のヒット要因は潜在的なニーズと需給ギャップがある市場を探り当てたことだと思います。
その発端はマーケットにある不満や不快、不足を見逃さずに拾い上げた点にあります。
例えばお互い様物件における「不」としては次のようなものがあげられるでしょうか。
・不安
お互い様とはいえ、自分の発している大音量が迷惑がられていないか。また、それによってご近所トラブルに発展する懸念はないか。
・不快
自分も大きな音を出しているからしょうがないけど、周囲の音が気になることもある。時に眠りを妨げられたりすることもあるのかも。
・不足
本当に周囲へ気兼ねすることなく、自分の好きな時間に好きなだけ練習や実況ができる場がない。
ざっとこんな感じでしょうか。
今回のミュージションはこれらの「不」を見事に解決しているからこその入居待ちなのでしょう。
改めて身の回りにある「不」に目を向ける大切さを教えてくれる事例だと思います。