「アバター近藤が解説する業界史~逆タイムマシン経営論668」
皆さん こんにちは アバター近藤です。
「逆タイムマシン経営論」として、業界唯一の経営情報誌であるフィットネスビジネス誌のバックナンバーを引用しながら、それぞれの年のトピックスや記事について、示唆することは何かをアバター近藤なりに解説していきます。
「歴史に学ぶ」とは良く使われる言葉ではありますが、フィットネス業界史について、詳細に検証した文献は恐らくないと思いますので、これから良い歴史を作るために何かしらのお役立てになれば大変うれしく思います。
~Fitness Business通巻第22号(2006.1.25発行)「欧州クラブのトレンドとクア施設最前線」2~※名称等は当時、一部文章省略
欧州クラブの5つのトレンド
④会員証で一括管理するITシステム
欧州では自動改札式の入退館システムが、世界のクラブの中でも特に先行して導入されてきたが、ここ数年にオープンしたクラブはほぼ全てがこの自動改札式を導入しており、システムも進化を遂げている。
会員証にはICチップが埋め込まれたものを採用し、入退館だけでなく、館内の利用管理も一括で行えるシステムが導入されていた。
「フィットネスファースト(伊)」では会員カードで入退館はもちろん、ロッカーの施錠・開錠もカードをかざすだけで出来るようになっている。
また、会員カードに予め一定金額をチャージできるようになっており、館内での購買もそのカードで行えるようになっている。
また、「アミダクラブ(英)」ではテクノジムのキーがそのまま会員証になっており、エントランスでは自動改札にキーを差し込むことで入退館ができることになっている。
もちろん運動履歴もキーに蓄積されるようになっている。
同クラブのマシンは全てキーを差し込まないと利用できないようになっており、1回目利用時に必ずオリエンテーションを受けて、そのキーを有効化するようにすることで、より確実にオリエンテーションを受けて貰い、適切な運動プログラムを提供できるように利用システムを構築している。
自由にトレーニングしたい人でも初回利用時にオリエンテーションを受けることは必須で、その際に「フリートレーニング」という設定をすることで、マシンが利用できるようになることにしている。
同クラブでは「エリートメンバー」と呼ぶ、他の会員種別より約倍の金額設定(レギュラー会員93ポンド・約18,600円のところエリートメンバーは179ポンド・約35,800円)を設けているが、そのメンバーへの特別サービスもこのキーで管理できるようになっている。
例えば、このメンバーはエリートメンバー専用ロッカーが利用できるが、その専用ロッカールームの出入りやロッカーの施錠・開錠も全てこのキーで行えるようになっている。
⑤子どもの会員化
これはイギリスで顕著であるが、親がメンバーになっている場合、子どもを1人あたり日本円で3,000~5,000円の追加料金で会員として登録できるようになっている。
子どもに対しても充実したプログラムを提供しており、子ども専用のジムやグループエクササイズを提供しているところも多い。
「ネクストジェネレーション(英)」では、子ども専用のエクササイズルームがあり、家庭用のコンパクトなトレッドミルや子ども向けのエクササイズツールが並べられ、グループエクササイズも提供されていた。
「ヴァージンアクティブ(英)」では、子ども専用アリーナや大きなジャングルジムのような設備、子ども専用の小さなグループサイクリング用バイクも用意されていた。
また、プレイステーションやお絵かき用の部屋などエクササイズ以外のクラスも数多く用意されている。
~ここまで~
記事の時代に日本国内で、自動改札式の入退館システムやIT活用した館内利用システムを導入したのは大手のごく一握りの企業だけでした。
現在は、24H対応ジムの増加により導入クラブも増えましたが、IT分野でも一回り二回り遅れている状況と言えます。
初回利用時に必ずオリエンテーションを受けて、そのキーを有効化する必要があることで、その受講率は自然と100%になりますから、この辺りのシステム設計もとても理にかなっています。
日本でIT活用を考える場合、コスト中心の費用対効果だけで判断してしまうことが多く、積極導入の足かせになっている気がします。
あくまで何のためのIT活用かを十分に吟味する必要があるでしょう。
お読みいただきありがとうございました。
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