5月15日(水):和歌山県では空き家率21%超で、5軒に1軒が空き家に
先般の日経新聞には「空き家率、和歌山21.2% 全国トップタイ」と題した記事がありました。
同記事で触れていたのは総務省が4月末に発表した2023年10月時点の住宅・土地統計調査で、関西2府4県の空き家は154万8000戸と18年の前回調査から4万1000戸増えた点です。
とりわけ和歌山県では空き家率が5年間で0.9ポイント高まり、徳島県と並んで全国で最も高い21.2%となっています。
高齢化と人口減少によって全国的に空き家率は高まりつつありますが、20%超ということは5軒に1軒が空き家の計算ですから、これは相当に空き家が広がっている状況ですね。
なお空き家をもう少し細かく見ていくと以下の3種類に分類されます。
・二次的住宅
別荘及びその他(たまに寝泊まりする人がいる住宅)
・賃貸用又は売却用の住宅
新築・中古を問わず、賃貸又は売却のために空き家になっている住宅
・その他空き家
上記の他に人が住んでいない住宅で、例えば転勤・入院などのため居住世帯が長期にわたって不在の住宅や建て替えなどのために取り壊すことになっている住宅など
住宅・土地統計調査(総務省)によれば、空き家の総数は1998年~2018年の間の20年で約1.5倍(576万戸→849万戸)に増加をしていますが、先の区分における「その他空き家」(349万戸)が同20年間で約1.9倍に増加しています。
用途が定まっているとは言い難い「その他空き家」の伸びが大きくなっている点はやはり課題といえるでしょう。
空き家率が高まるなかで「空家等対策特別措置法」がつくられ、空き家の所有者へ適切な管理の指導や適切に管理されていない空き家を「特定空家」に指定して、助言・指導・勧告・命令ができるにもなっていました。
それでも目に見える効果が得られなかった面もあってか、その後の令和5年12月には空家等対策特別措置法の一部が改正され、特定空家に加えて管理不全空家も市区町村からの指導・勧告の対象となりました。
基本的には何らかの形で「活用する」ことか、どこかで「仕舞う」ことにするかの二択ですが、いずれもネックがあって進んでいないのが現実でしょう。
ネックとしては賃貸や売買をしない理由にあげられているのが「住宅の質の低さ(古い・狭いなど)」や「リフォーム費用をかけたくない」、「買い手・借り手の少なさ」といった項目で、解体をしない理由では「解体費用をかけたくない」、「更地にしても使い道がない」、「取り壊すと固定資産税が高くなる」などとなっています。
ここの整理を後押ししていくには何らかの助成も含めて、人口減や消滅可能性都市の問題とあわせた検討が必要だろうと思います。
先日に何かのメディアで里山を保全するコミュニティの方が、それを維持管理していくにはその近くに誰かが生活している必要があり、森林の維持と地域コミュニティの維持は車の両輪である旨に触れながら、空き家率が高い地方だからこそできることとして「不動産コストが『0』のまちをつくったらどうなるか?」といった投げかけをしていました。
そんな大胆な発想、逆転の発想も含めて柔軟なアプローチを試みていけると良いんじゃないかと感じた次第です。