「アバター近藤が解説する業界史~逆タイムマシン経営論(最終回)」
皆さん こんにちは アバター近藤です。
「逆タイムマシン経営論」として、業界唯一の経営情報誌であるフィットネスビジネス誌のバックナンバーを引用しながら、それぞれの年のトピックスや記事について、示唆することは何かをアバター近藤なりに解説していきます。
「歴史に学ぶ」とは良く使われる言葉ではありますが、フィットネス業界史について、詳細に検証した文献は恐らくないと思いますので、これから良い歴史を作るために何かしらのお役立てになれば大変うれしく思います。
~Fitness Business通巻第45号(2009.11.25発行)「真のサービスとは(商業アドバイザー・小柳剛照)」2~※名称等は当時、一部文章省略
民間視点での自治体サービス
松戸市は継続しているのに、多くの市町村が挫折した理由。
それは、システムの違いにありそうです。
一般的に、市町村の「課」は、上部に「部」や「局」があり、業務にあたるときは決済を得ることになります。
重要な案件ともなると、決済が何段階も必要になる、ということがありがちです。
ということは、上司がいない時に相談の電話を受けた場合、上司が帰ってくるまでは、対応できないことになります。
「すぐやる課」が、「すぐやる」体制でなければ、必要とされるサービスに応えられないのは当然でしょう。
それに対し、松戸市の「すぐやる課」は、市長直属の組織としてスタート。
だから、担当者の判断で、自由に動けるのです。
そこが、サービス能力を発揮できるかどうかの、分水嶺だったのでしょう。
現場の判断で対応できるか
民間企業でも、サービスレベルの高さで知られるホテル「リッツ・カールトン」などは、一定金額以内なら、上司に相談する必要なく現場で裁量できるシステムがあります。
お客さまからの急な要望やトラブル発生への対応が必要な場合に、「ただいま上司に相談して参りますので…」と言うのと、「はい、了解いたしました。すぐ対処いたします」と言うのとでは、どちらが顧客満足度が高いかは言うまでもありません。
現場の担当者の判断で動けること。
つまり、その裁量が与えられているかどうかが、迅速なサービスを提供できるかどうかのカギのようです。
なお、念のために付け加えるなら、松戸市が設置したのは、「すぐやる課」であって、「何でもやる課」ではありません。
市役所が親切になったというと、「私の部屋の掃除をしてよ」なんていう、わがままな要望をする市民も現れますが、そういう要望は、すべて断られます。
わがままな要望に応えることは、その市民の自立を阻害することになります。
だから、そういう要望は、拒否するのが市民のため、とも言えるのです。
「市民の皆さんも、自分には何ができるか、何をすべきかを、考えていってください」という、市役所からの無言のメッセージを、松戸市民の方々もしっかり受け止めるべきなのでしょう。
サービスとは、お客さまが望むことに速やかに応えることですが、何でもやってあげることではない、ということです。
そのお客さまにとって、いいことかどうか。
それを迅速に判断することも、現場でサービスに当たる人たちにとっては、必要な能力と言えるでしょう。
~ここまで~
記事の事例と同様、フィットネスクラブの現場は、接客、運動指導、設備管理、トラブル対応など、その場その場の状況に応じて素早く判断すべき業務が多く、担当者の裁量で動ける範囲が広いに越したことはありません。
ただそれは、自分勝手に決めて良いということではなく、迅速に判断するために必要な措置であり、的確な判断能力が求められる高度な役割を与えられたと現場は考えるべきだと思います。
松戸市役所からの無言のメッセージは、いまだ米国民の間では根強い人気を誇るケネディー大統領の超有名な就任演説「国が何をしてくれるかを望むのではなく、あなたが国のために何が出来るかを問うて欲しい」をも彷彿とさせます。
現場スタッフ一人ひとりが、このような精神で仕事に取り組むならば、必ずやその店舗はお客さまからの支持を得られることでしょう。
さて前回、業界史をテーマに888回という末広がりな回数となりましたが、本年の仕事納めとともに今回で最終回となります。
丁度、2009年の振り返りを終え、2010年代はまだ最近とも言えますので、歴史的な評価はまた5年、10年経った後に行うべきことかなと考えております。
これまでお読みいただきありがとうございました。
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