見出し画像

1月24日(水):パワハラ防止のための確認事項①

労働施策総合推進法(通称、パワハラ防止法)の改正によって現在は中小企業にも組織内でパワーハラスメントの防止、対応に向けた整備が義務付けられています。

それを受けて自社でも就業規則にパワハラ禁止の文言を盛り込んだり、ハラスメントに対する方針、対応マニュアル、相談体制の整備、相談者のプライバシー保護などを定めて運用を進めていますが、組織内でパワハラが生じないように、確認もかねて整理をしていきたいと思います。

よく聞くワードとして「受け手がパワハラだと感じたら、それはパワハラだ」と認識している人もいるかもしれませんが、それは誤りであってまずは正しく定義を理解するところがスタートです。

パワハラは冒頭に触れた労働施策総合推進法のなかで以下のように定義が明文化されています。

「職場において行われる優越的な関係を背景とした言動であって、業務上必要かつ相当な範囲を超えたものにより、労働者の就業環境が害されること」

この定義としての一文は次の3つの要件に区分けされます。

「職場において行われる優越的な関係を背景とした言動であって」
(第1要件)

「業務上必要かつ相当な範囲を超えたものにより」
(第2要件)

「労働者の就業環境が害されること」
(第3要件)

これら3要件が揃った場合はパワハラとなります。

前述した3要件の意味合いが掴みやすいように、もう少し平易な言葉に置き換えると次のように表現することができます。

「職場において行われる優越的な関係を背景とした言動であって(第1要件)」
⇒職場での役職や年齢による上下関係のもと、受け手側が「NO」を言えない状況下での言動

「業務上必要かつ相当な範囲を超えたものにより(第2要件)」
⇒業務上の必要性がないもの、指示や指摘などの接し方の態度や言動が逸脱しているもの

「労働者の就業環境が害されること(第3要件)」
⇒労働者が①身体的苦痛か、②精神的苦痛によって就業環境が不快になり、③さらに就業上看過できない程度の支障が生じた
※①、あるいは②によって③を招いた場合がこれにあたる

なお、これらは「平均的労働者」の感じ方を対象に判断されることになっています。

言葉や態度から受ける印象は人によって程度の差があり、それによって精神的苦痛と感じるかどうかにも個人差があるため、その基準が平均的労働者に置かれます。

例えば10人ほどの部署に対してリーダーが業務指示や課題の改善を明示した際に、そのうちの9人は合理性があって真っ当な内容だと受け止めた一方、ある1人は要求水準や言い方が厳しくて不適切だと感じ、それによって精神的なショックを受けた場合であっても、それが個人に向けたものではなく部署全体に発しているものであれば、これはパワハラに当たるものではないと解釈されます。

まずは先に記した定義とそこに盛り込まれている3つの要件について、ポイントを的確に理解していくことが大事だと思います。

宜しければサポートお願い致します!