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「アバター近藤が解説する業界史~逆タイムマシン経営論669」

皆さん こんにちは アバター近藤です。
「逆タイムマシン経営論」として、業界唯一の経営情報誌であるフィットネスビジネス誌のバックナンバーを引用しながら、それぞれの年のトピックスや記事について、示唆することは何かをアバター近藤なりに解説していきます。
「歴史に学ぶ」とは良く使われる言葉ではありますが、フィットネス業界史について、詳細に検証した文献は恐らくないと思いますので、これから良い歴史を作るために何かしらのお役立てになれば大変うれしく思います。

~Fitness Business通巻第22号(2006.1.25発行)「欧州クラブのトレンドとクア施設最前線」3~※名称等は当時、一部文章省略

クアディレクターの仕事は街全体を売る仕事(オリバー・ハインツ氏)

周辺のクア施設の中で最も経営状態が悪かったバートベリンゲン。
温浴地として有名なバーデンバーデンから約2時間のアウトバーンも走らない小さい街に4年前クアディレクターとしてオリバー・ハインツ氏が着任した。
以来、時代に合わせた変化対応を進め、年間利用者は33万人から50万人へと倍増した。
同氏に現状のクア施設のトレンドと成功のポイントについて講演していただいた。

私の仕事は街全体を売ることです。
クアディレクターにとって、この街にある温泉をはじめとした自然、人、施設などすべての資源を活かしてたくさんの方に来ていただくということが大きな役割となります。
クアに来る方々に対して様々なプログラムやイベントを提供することもします。
我々にとって、毎年の宿泊数が重要な評価指標となります。
この街の人口は4000人ですが、我々の仕事により1100人分の雇用機会を生み出しており、街の存続や発展においても重要な役割を担っているといえます。
今日はクア施設の近年の動向について、我々の施設でやってきていることを例に挙げながらお話ししたいと思います。

温浴施設の利用は従来、医師の処方箋を持った人が治療を目的に訪れ、その利用は保険でカバーされていました。
これが近年、健康保険の財政悪化で、保険でカバーされる部分が少なくなり、人々にとって健康の維持ということの重要性が高まりました。
これにより自分でお金を払って健康状態を維持・改善していこうという人が増えてきています。
このバートベリンゲンでも15年前には利用者の80%が処方箋を持って訪れる人々でしたが、現在では12%にまで減っています。
こうした環境の変化や顧客層の変化に応じて、我々も提供するものも変えていかなければいけません。
4年前に私がこの街に来た時は周辺のクア施設の中でも最も経営状態が悪い状況にありましたが、変化に対応した経営に尽力することによって、昨年は過去最高の宿泊数を記録することができました。

私たちはまず人々が、健康や病気の予防に対してどのようなことに関心があるかを考え、対策を立てました。
1つ目は高齢化社会。
長生きをする人が多くなり、全人口に占める高齢者の割合が高くなってきています。
今後、高齢者の方々が我々にとって重要な顧客になっていくということです。
2つ目は健康志向の高まりです。
病気になるとお金がかかる時代になってきています。
ですので、そこに行くことによって健康になれるということが認識できるものを提供することが重要になります。
3つ目は雇用の流動化です。
複数の仕事をする人が増え、雇用期間契約も限定されたものになってきています。
失業率も高くなってきています。
こうしたことは保険が利用できない人が増えることに繋がり、病気になれない、健康を維持しなければということを痛感している人が増えることに繋がります。
また、その他のトレンドとして、精神的な側面も含めて健康を考える人が多くなってきており、アーユルヴェーダが必須アイテムになってきています。
個性化の傾向も見られ、シングルの人が増えたり、自分に投資しようとする人が増えています。
女性の役割も大きくなってきています。
女性の社会進出が進み、キャリアを積む女性も増えてきています。

~ここまで~

ドイツでは、温浴施設の利用は、医師の処方箋を持った人が治療を目的に訪れ、保険でカバーされていたとあり、まずこの事実にとても驚きます。

恐らく記事当時は高齢化率もそれほどではなく、十分に保険財政が機能していたからだと思われますが、温浴が治療に繋がるという確信がないと出来ない施策ですので、そうした認識が周知されていたことは素晴らしいと思います。

日本でも古来から湯治目的で、お殿様や武将が温泉利用していたといった文献もあることから、同様の認識はあったと推測されますが、保険適用にまで至らなかった理由が気になるところです。

ひょっとしたら、日本人が温泉好き過ぎるので、湯治目的で処方されたらあっという間に保険財政が圧迫されてしまうことを恐れたのかもしれません。シャワー文化とお風呂文化の違いがそうさせたのでしょうか。

お読みいただきありがとうございました。

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